6 労働安全衛生

6.1 概要

研究所の安全衛生管理も、4 年目に入り、岡崎3機関安全衛生委員会および生理学研究所安全衛生小委員会の開催、安全衛生管理者による巡視により着実な運用が進められている。今年度から、(1) 3名の衛生管理者資格の取得による巡視体制の充実、(2) 毎週月曜日には5名の衛生管理者によるミーティングによる巡視の打ち合わせ等、(3) 毎月第3火曜日には、安全衛生担当主幹を交えての安全衛生に関する意見交換等を行い、安全衛生への取り組みをさらに充実させた。また、産業医による定期的な巡視と指摘による安全衛生の改善も進めた。

職員の精神面でのケアーについては、インターネットを用いたカウンセリングの場と、月一回の対面カウンセリングの場を設け、相談の体制の充実を行った。セクシャルハラスメントの防止については、防止委員会の元、相談員、防止活動協力員を配置し、面談と、教育ビデオを配布する等の啓蒙活動にあたっている。また相談員に第5回中部地区セクシュアル・ハラスメント防止研修リーダー養成コースを受講させ、相談員の意識向上に努めた。

6.2 整備事項

安全衛生の確保と整備を進めるために、今年度も、具体的な巡視目標の年間計画を策定し、山手、明大寺両地区の毎週の巡視による問題点の指摘と改善の指導を行った。その指摘、改善事項は、毎月、岡崎3機関安全衛生委員会および生理学研究所教授会において、報告されているが、昨年度の巡視報告の中の特記事項等を受けて、今年度は、以下のような活動を行った。

1.2006(平成18)年度、第2 回の健康診断において、肝機能検査値に異常値がやや多く見られたため、再検査の受診を促し、その再検査の結果に注意を払ったところ、特に問題はない状況と考えられた。しかし、検査値の異常値が、エチレンオキシドガス滅菌器を使用している部署に多くみられたため、直接の因果関係は報告されていないとはいえ、以下の注意喚起等を行った。すなわち、エチレンオキシドガス滅菌器の使用についてのガイドラインを作成し、機器の使用手順を確認し、また、換気を徹底させ、作業環境測定の充実を図るとともに、エチレンガスオキシドガス漏洩器と防毒マスクの設置を行った。

2.2006(平成18)年度、サルを実験動物として使用する実験室で、飼育ケージに指をはさむ事故と、サルによる咬傷の事故があった。そこで、関連研究室のメンバーに対し具体的な注意を喚起するために、実験用サル委員会によるサル業務従事者を対象に安全衛生教育を行った(開催日:4月25日、参加者数:57名)。

3.注射等の接合部から飛び出た固定試薬が目にはいる事故、実験具の刃で指を切る事故、容器先端から飛び出した瞬間接着剤が目に入る事故の、3件の事故があったが、後遺症等の大事には至らなかった。これらを岡崎3機関安全衛生委員会に報告すると共に、再発を繰り返さないために、事故状況分析と防止策について、安全衛生メールを全所員に送付し、注意を喚起した。

4.耐震対策の強化として、(1)ガスボンベ立ての固定作業を完了し、(2)固定具を使った棚等の固定を進め、(3)耐震用固定用具、毛布等の防災用品、緊急時食品等を安全衛生管理室と備蓄倉庫に常備した。

5.新任者に対する生理学研究所オリエンテーションを開催し、研究・実験を安全に行うための方法、試薬・設備等の使用上の注意点等の、安全衛生教育を行った。(開催日:4月16日、参加者数:26名)。

6.全職員を対象に労働安全衛生講習を実施した。主たる内容は、(1)東南海地震の近未来の発生の可能性を想定し、岡崎消防署の石橋予防課長による地震発生時にとるべき行動についての講演、(2)安全衛生概論、(3)平成18年度巡視に基づく注意事項であった。(開催日:7月13日、参加者数:186人)。

7.岡崎3機関の後藤敏之産業医による定期巡視を行い、産業医としての立場から、指導と改善を行った。(第1回:6月19日、第2回:10月16日、第3回:1月15日)

8.労働安全衛生講習会において、安全衛生概論テキストと各種の資料をこれまで配布してきたが、これらの配布資料をまとめ、 「労働安全衛生マニュアル」 を作成した。来年度からの生理学研究所オリエンテーションや労働安全衛生講習会で配布、使用する予定である。また、そのダイジェスト版の英語版を基生研と共同で作成した。

9.地震、火災を含む各種の緊急時における対応をまとめた「緊急時対応マニュアル」 を作成した。来年度からのオリエンテーションや労働安全衛生講習会で配布、使用する予定である。

6.3 課題

1.地震対策として、転倒防止策の必要な棚等の物品の固定を、危険度の高いものから優先して進めているが、まだ未完了である。早期完了を目指して、今後も進めていくことが必要である。

2.今年度作成した緊急時対応マニュアルについても、英語版の作成を行う必要がある。

3.エチレンオキシドガスの件については、今後も特殊健康診断の受診、およびその度の要再検者の再検査受診を徹底させ、異常値者の出現を注意深く見守っていく必要がある