メルマガハッシン!<オシロロジー Mail Magazine Vol.6>を発行しました。

非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解(オシロロジー)」  関連の皆様

大変お世話になっております。 オシロロジー広報・アウトリーチ委員会です。 早涼の候、皆様におかれましては変わらずご壮健のことと存じます。

メルマガVol.6です。 さっそくですが、今号の目次です。

==◆オシロロジー Mail Magazine Vol.6目次◆==

【1】計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介(★注目★) 各班間のさらなる連携を目指して。

【2】2016年度事業実施報告 2016年度に実施された事業について。

【3】今後の行事予定 2016年度に予定されている行事について。

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【1】計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介(★注目★) 各班間のさらなる交流・連携を目指して、連載中です。

引き続き毎号、計画班研究代表の先生1名と公募班の先生方2名の 紹介を予定しております。

今回は、 1. 飛松省三先生(九州大学大学院医学研究院・臨床神経生理学分野、A04班代表) 2. 田村弘先生(大阪大学大学院生命機能研究科、A05班) 3. 三枝理博先生(金沢大学医薬保健研究域医学系、A05班) の3名の先生方をご紹介させて頂きます(原文通り)。

<< 1. 飛松省三先生(九州大学大学院医学研究院・臨床神経生理学分野、A04班代表)>> 皆様 初めまして。 九州大学大学院医学研究院・臨床神経生理学分野の飛松省三です。 A04班の代表と総括班執行部として、この新学術領域の運営に深く関わっていますので、 皆様のご協力よろしくお願いいたします。 2013年11月より日本臨床神経生理学会の理事長を務めています。

研究テーマは、脳の発達(定型発達と自閉症)、脳の加齢変化と認知症、 経頭蓋磁気・電気刺激による脳の可塑性誘導、神経疾患(てんかん、多発性硬化症、 パーキンソン病、難治性疼痛など)の病態生理の解明です。 最近、自己運動知覚を誘導する放射状方向の共同運動を用いた視覚誘発電位が 軽度認知障害(アルツハイマー病予備群)の早期診断バイオマーカーに成りうることを 報告しました(九州大学プレスリリース; 2016年5月26日)。

還暦を過ぎると、今までの経験と知識を後生の人に伝えたいという欲望がふつふつと湧き、 「Clinical Applications of Magnetoencephalography, Springer, 2016」、 「ここに目をつける! 脳波判読ナビ, 南山堂, 2016」、 「ここが知りたい! 臨床神経生理, 中外医学社, 2016」を上梓しました。 ご笑読いただければ幸いです。ちなみに脳波判読ナビは、売れ行き好調です。

脳の電磁気活動と機能統合に興味がありますので、 特にB班の先生方とのコラボレーションを希望しています。

<< 2. 田村弘先生(大阪大学大学院生命機能研究科、A05班)>> 大阪大学大学院生命機能研究科の田村弘です。 公募班(A05)に採択して頂きありがとうございます。 申請プロジェクトでは、大脳皮質領域間の効率的な情報伝達における神経活動振動の 役割について明らかすることで、オシロロジーの発展に貢献できればと考えております。

具体的には、自由に眼を動かしながら画像を観察しているサルを用いて、 多領野大規模並列神経活動データ計測手法を適用することで、 眼球運動に関連した振動的神経活動とその領野間同期現象の神経メカニズムの解明を目指します。 データ解析については、ドイツユーリッヒ研究所のGruenさんや伊藤淳司さんらと 共同で研究を進めていきます。

これまで私は、大脳皮質の局所神経回路を機能的な手法、すなわち神経活動の相互相関、を 用いて明らかにすることに取り組んできました。 特に各細胞の反応選択性と神経回路との関連に注目した研究を行ってきました。 今回の申請研究では、これまでの研究を発展させて、領野間神経回路に焦点を絞って 研究を進めていきます。

"情報が神経活動にどのようにコードされているのか"という 符号化の問題にも取り組めればと考えています。 現在主流の符号化様式は発火率コーディングですが、 その根拠が脆弱であることは繰り返し指摘されています。 例えば、自然画像観察時の一回の注視(0.1~0.2秒)時には、1~2発程度の スパイク発火しか生じないために、発火率で表現できる情報は限られたものになります。 一方、複数神経細胞の同期発火を含むタイミングコーディングを用いることで 多様な情報を表現することが可能になります。 タイミングコーディングは発火率コーディングにかわる魅力的な符号化様式と 考えられていますが、発火率コーディング以上にその根拠は脆弱です。 本領域での研究を進める中で、符号化の観点からもデータを検討することを 目指していきたいと考えています。

これらの研究を進めるに際して、領域の先生方との共同研究は必須になりますので、 ご連絡いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

<< 3. 三枝理博先生(金沢大学医薬保健研究域医学系、A05班)>> 金沢大学医薬保健研究域医学系の三枝理博(みえだみちひろ)です。 この度は公募班に加えていただき、ありがとうございます。 テキサス大学の柳沢正史教授(現・筑波大学)の下で神経ペプチド、オレキシンによる 睡眠・覚醒調節に関する研究を始め、また概日時計にも研究対象を拡げました。 その後、東京医科歯科大の田中光一教授、さらに金沢大学の櫻井武教授(現・筑波大学)の下で、 マウスを用いて睡眠覚醒や概日リズムの神経メカニズムの研究を行ってきました。

今回は、中枢概日時計・視交叉上核(SCN)の神経メカニズムに関する研究で班に入れて頂きました。 SCN神経ネットワークは、不安定な概日振動能を持つ多種・多数の時計ニューロンが 集った集団発振機構で、極めて頑強な概日振動を生み出します。 マウスでニューロンタイプ特異的な遺伝子や神経活動の操作・計測を行うことで、 そのメカニズムに迫りたいと思っています。

約24時間周期のリズムですので、オシロロジー領域の大多数の研究とは趣を異にしていますが、 「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」を目指す本領域の 多様性の一部と自負しております。

もっと速い振動現象にも大いに興味があります。 SCNニューロンの神経活動は睡眠・覚醒ステージ(齧歯類では数分?数十分サイクル) によって変化することが知られています。 時計ニューロン間の同調にはGABAによる細胞間相互作用が重要と考えていますが、 GABA放出の時刻による変動もカルシウム振動などで制御されているのかもしれません。 概日振動ともっと周期の短い振動現象との相互作用、重ね合わせによって中枢概日時計や 諸生体機能がどのように制御されるのか、その理解に繋げられればと思っています。

オシロロジー領域には神経科学のみならず、数理科学、臨床医学の先生方も 多く参加されておりますので、様々な角度から貴重なご意見・サジェスチョンを頂けるのではと、 楽しみにしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

飛松省三先生、田村弘先生、三枝理博先生、誠にありがとうございました。

自己紹介は原稿を頂いた順番に、紹介させて頂いております。 既に原稿をお送り頂いておりますが、今回ご紹介させて頂けなかった先生方、 ご理解賜れましたら幸いです。

まだ原稿をお送り頂いていない計画班研究代表・公募班の先生方、 お待ちしておりますのでどうかよろしくお願いします。 (小林勝哉 31258a[at]kuhp.kyoto-u.ac.jp まで、お送り下さい。)

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【2】2016年度事業実施報告 2016年度に新たに実施された事業です。

■ 札幌医科大学神経科学講座特別セミナー 「てんかん原性におけるCl-ホメオダイナミクス説:理論から症例まで」 演者:浜松医科大学神経生理学講座 福田敦夫先生(A01班) 座長:札幌医科大学医学部神経科学講座 長峯隆先生(A03班)

2016年9月9日(金)札幌医科大学臨床教育棟1階共用実習室で、 神経科学特別セミナーとして、福田敦夫先生(A01班)による特別セミナーが 開催されました。

皆様、新たに関連事業がございましたら、 事務局までご連絡頂けますようよろしくお願いします。

また、共同研究のための打ち合わせ、セミナー、会議等開催に際しては、 オシロロジーHP内会員ページの「書類(申請・報告)」 にある書類をご提出下さい。

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【3】今後の行事予定 今年度(2016年度)に予定されている行事です。

■ 包括脳全体集会:次世代脳プロジェクト2016年度冬のシンポジウム (2016年12月19日(月)-21日(水)、学術情報センター(一橋講堂、東京)) http://www.nips.ac.jp/brain-commu/2016/outline.html 12/21(水)AMに、「オシロロジー」「こころの時間学」公開シンポジウムがあります!

□ 第3回領域会議 (2017年1月6日(金)-7日(土)、(京都))

□ 第17回「脳と心のメカニズム」冬のワークショップ (2017年1月11日(水)-13日(金)、ルスツリゾート(北海道))

皆様奮ってご参加の程、よろしくお願い致します。

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最後まで読んで頂いた皆様、誠にありがとうございました。 今後も月1回のメルマガで情報を発信させて頂ければと思います。 次号は2016/10/25 発行予定です。

次号も、計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介を 連載させて頂きたいと考えております。

皆様引き続きよろしくお願い致します。

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文部科学省新学術領域研究(H27-31) 「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」 Mail Magazine Vol.6 2016/09/25 発行(毎月25日発行) 発行・編集人:小林勝哉(広報・アウトリーチ委員会)・小野健太郎(総括班事務局) 京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター内 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54 *本誌に関するご意見・お問い合わせは oscillology[at]nips.ac.jp までお寄せ下さい。

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