メルマガハッシン!<オシロロジー Mail Magazine Vol.9>を発行しました。

「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解(オシロロジー)」  関連の皆様

大変お世話になっております。 オシロロジー広報・アウトリーチ委員会です。 歳末の候、皆様におかれましては変わらずご壮健のことと存じます。

メルマガVol.9です。 さっそくですが、今号の目次です。

==◆オシロロジー Mail Magazine Vol.9目次◆==

【1】計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介(★注目★) 各班間のさらなる連携を目指して。

【2】2016年度事業実施報告 2016年度に実施された事業について。

【3】第3回領域会議(2017年1月6日(金)-7日(土)、(大阪・茨木)) 計画班・公募班の皆様、開催が近づいてまいりました。

【4】その他の行事予定 2016年度に予定されている行事について。

【5】受賞報告 2016年に行われた学会・ワークショップでの受賞について。

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【1】計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介(★注目★) 各班間のさらなる交流・連携を目指して、連載中です。 引き続き毎号、計画班研究代表の先生1名と公募班の先生方2名の 紹介を予定しております。

今回は、

1. 森田賢治 先生(東京大学大学院教育学研究科 、B01班代表)

2. 橋本浩一 先生(広島大学医歯薬保健学研究院神経生理学、A05班)

3. 苅部冬紀 先生(同志社大学脳科学研究科神経回路形態部門、A05班)

の3名の先生方をご紹介させて頂きます(原文通り)。

<< 1. 森田賢治 先生(東京大学大学院教育学研究科、B01班代表)>> 私は、価値・広い意味の報酬に基づく学習・意思決定や情動の脳神経機構の研究を行っています。 具体的には、脳において神経修飾物質ドーパミンが、貰えた報酬・貰えると期待される報酬から、 貰えると期待していた報酬を差し引いた誤差を表すことが示唆されていますが、 そうした誤差(報酬予測誤差)の計算がどのような神経回路メカニズムで行われているかについて、 大脳皮質・基底核の生理学・解剖学的知見の検討・解析を踏まえた 数理モデリング・解析・シミュレーションを用いて、研究を進めています (Morita et al., 2012, Trends Neurosci; Morita et al., 2013, J Neurosci; Morita, 2014, J Neurophysiol; Morita & Kawaguchi, 2015, Eur J Neurosci)。

また、ドーパミンは、やる気・モチベーションと強く関わることが示唆されていますが、 その神経機構に関わる研究も行っています (Kato & Morita, 2016, PLOS Comput Biol)。

また、上記と並行して、人において、価値学習・意思決定がいかに成されるかについて、 実験とモデルフィッティング(学習・選択課題の選択結果の強化学習モデルによる フィッティング)や統計解析を用いて研究を行っています。

たとえば、思春期の子どもたちにおいて、他者との競争が、 リスクを伴う意思決定や価値の学習にいかに影響を及ぼしうるかなどにも着目し、 スマートフォンを用いて学校の教室で学習・選択課題の実験を行う方法なども模索しつつ、 研究を進めています。

皆様と色々と交流させて頂けたら幸いに思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

<< 2. 橋本浩一 先生(広島大学医歯薬保健学研究院神経生理学、A05班)>> 広島大学 医歯薬保健学研究院 神経生理学の橋本浩一と申します。 この度は新学術領域「オシロロジー」公募班に参加する機会を与えていただきまして ありがとうございます。

私は主に電気生理学的な手法を用いて、延髄下オリーブ核神経細胞の 膜電位オシレーションの発生メカニズムの研究を行っています。

特定の脳領域の神経細胞は、1-10Hzの閾値下膜電位振動(Subthreshold oscillation;STO)を 起こすことが知られていますが、このSTOが安定に発生するために、resonance特性と呼ばれる 神経細胞の細胞膜が持つ電気的特性が重要であると考えられています。

Resonance特性とは、ある特定の周波数(resonant周波数)を持った電流入力を 大きな電圧変化として出力する電気特性のことであり、この特性があるおかげで resonant周波数で膜電位が自立的に振動しやすくなるとされています。

Resonance特性にはイオンチャネルの関与が示唆されており、実験を行うに当たっては 遺伝子工学や形態学的な解析をされている先生方との共同研究が不可欠になると思われます。 また、膜電位オシレーションが持つ機能的な意義を探る研究も行いたいと考えており、 本公募班への参加が、動物行動や理論の研究をされている先生方のご意見を伺うことができる 貴重な機会となると心から楽しみにしております。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

<<3. 苅部冬紀 先生(同志社大学脳科学研究科神経回路形態部門、A05班)>> オシロロジー公募班員の苅部 冬紀です。簡単な研究略歴と自己紹介をさせていただきます。 院生までは遺伝学に興味を持っており、昆虫(と言ってもショウジョウバエでなくお蚕様)を 使って、行動異常を起こす突然変異系統の解析をしていました。 その過程で神経系に興味が移り、初歩的な生理学を学びました。

神経系はどちらにしてもややこしいのだから、いっそ6本足より4本足にしようと思っていた所、 1998年に齧歯類の形態学・電気生理学の研究をしている現生理研の川口研究室に ちょっとした縁で潜り込むことができました。 以来、免疫組織化学とスライスの電気生理学の技術を中心に用い、 大脳皮質・大脳基底核・視床等を対象に細胞タイプとそれに関連する神経回路の解明を 目標に研究を続けています。 また、ハンガリー留学中には、視覚野のユニット記録・細胞内記録とイメージングによる 研究を幾つか行っていました。

本領域では、基底核の多くの場所で見られる振動現象の解明を、神経細胞内因性として 起こる機構に加えて、大脳皮質―大脳基底核―視床回路がどのように影響を与えるのかを、 電気生理学と形態学の手法で明らかにするという目的で公募課題を採用していただきました。

電気生理学やモデルなどについては教えを請いたいことばかりですが、 この領域では形態学をやられている方はあまりおられませんので、 そちらの面から貢献できることがあれば、と考えています。

最近はScaleを用いた透明化に免疫組織化学を組み合わせる手法を導入し、 どうやら軌道に乗り始めたところです。

どうぞ宜しくお願いいたします。

森田賢治先生、橋本浩一先生、苅部冬紀先生、誠にありがとうございました。

自己紹介は原稿を頂いた順番に、紹介させて頂いております。 既に原稿をお送り頂いておりますが、今回ご紹介させて頂けなかった先生方、 ご理解賜れましたら幸いです。

まだ原稿をお送り頂いていない計画班研究代表・公募班の先生方(あと数名の先生のみです!)、 お待ちしておりますのでどうかよろしくお願いします。 (小林勝哉 31258a[at]kuhp.kyoto-u.ac.jp まで、お送り下さい。)

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【2】2016年度事業実施報告 2016年度に新たに実施された事業です。

□ A02-C01班共同研究 (2016年6月29-30日、生理学研究所(岡崎))

2016年6月29-30日に、A02班(知見先生)とC01班(虫明先生・渡辺先生)が 生理学研究所において霊長類への遺伝子導入技術の共同研究を行いました。 ウイルスベクタを用いて霊長類神経細胞に導入する方法を 東北大学で確立するためにベクタ注入電極を作成しました。

□ A02-C01班共同研究 (2016年9月1-2日、東北大学(仙台))

2016年9月1-2日に、A02班(南部先生・知見先生・佐野先生)と C01班(虫明先生・渡辺先生)が東北大学において共同研究の実験を行いました。 実験は第3回目においてベクタ注入されたサルにおける遺伝子発現を同定するために、 光刺激に対する神経応答を計測しました。

□ A02-C01班共同研究 (2016年10月30日-11月1日、東北大学(仙台))

2016年10月30-11月1日に、A02班(知見先生・佐野先生)と C01班(虫明先生・渡辺先生)が東北大学において共同研究の実験を行いました。 これまでの実験結果を元に導入に用いるウイルスベクタ及び光活性化タンパク質を 生理学研究所で実績のある仕様に改めました。

□ A02-C01班共同研究打ち合わせ (2016年12月11日、生理学研究所(岡崎))

2016年12月11日に、A02班(南部先生・他7名)とC04班(笹岡先生)が 生理学研究所生体システム研究部門において共同研究会議を開催しました。 C04班(笹岡先生)の共同研究者であるYanyan Wang准教授 (米国イリノイ大学 アーバナ・シャンペーン校ベックマン研究所)の来日の折に本共同研究会議にて 「大脳基底核回路の主要分子ドーパミン受容体の遺伝子改変マウスを用いた 運動調節機能と学習記憶の行動解析及び電気生理学的解析」に関するセミナーと、 研究内容に関する討論が行われました。

また、Wang准教授、A02班、C04班の研究者が連携し、 今後の新たな共同研究を行うことについて打合せを行いました。

□ 包括脳全体集会:次世代脳プロジェクト2016年度冬のシンポジウム (2016年12月19日(月)-21日(水)、学術情報センター(一橋講堂、東京)) http://www.nips.ac.jp/brain-commu/2016/outline.html

12/21(水)AMに、「オシロロジー」「こころの時間学」公開シンポジウムが開催されました。

タイムテーブル12/21(水) 9:10 ~ 9:20 領域概要の紹介  北澤茂(大阪大学)、南部篤(生理学研究所) 9:20 ~ 9:45 ネットワーク自己再組織化による機能分化の数理モデル  津田一郎 (北海道大学) 9:45 ~ 10:10刺激の時間変調による周波数引き込みを利用した、時間知覚の脳内機 序の検証  四本裕子(東京大学) 10:10 ~ 10:35機能的MRI信号に含まれる種々の振動現象  麻生俊彦(京都大学) 10:35 ~ 10:45休憩 10:45 ~ 11:10海馬シータ波位相前進による時間順序の表現  藤澤茂義(理化学研究所) 11:10 ~ 11:35グリア細胞による神経系発振ステート制御機構の解明  松井 広(東北大学) 11:35 ~ 12:00過去と未来をブリッジする海馬鋭波  池谷裕二(東京大学)

皆様、新たに関連事業がございましたら、 事務局までご連絡頂けますようよろしくお願いします。

また、共同研究のための打ち合わせ、セミナー、会議等開催に際しては、 オシロロジーHP内会員ページの「書類(申請・報告)」 にある書類をご提出下さい。

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【3】第3回領域会議(2017年1月6日(金)-7日(土)、(大阪・茨木)) 第3回領域会議の開催が近づいて参りました!

新学術領域「オシロロジー」第3回領域会議 日程:2017年1月6日(金)~7日(土) 場所:立命館大学茨木キャンパスB棟フューチャープラザ 〒567-8570大阪府茨木市岩倉町2-150 TEL:072-665-2500 http://www.ritsumei.ac.jp/accessmap/oic/

今回の会議では、 1日目には、 総括班会議(10:00-12:00)、 計画班(+希望者)のポスター発表、 そしてまだ自分の研究を紹介していない公募班員の方々による口演、 情報交換会(18:00-) を予定しています。

すでにお知らせした通り、計画班の先生方には1月の領域会議で今年度の進捗を 1分間のショートプレゼンテーションとポスターという形で報告していただく事になっております。

ポスターについてはパネルのサイズが幅90cm×高さ210cmとなっております。 そしてショートプレゼンテーションについては、A4ヨコで2枚に収まるように スライドを作成していただき、PDFにして事務局までお送りください。 12月25日(日)を締切とさせていただいております。

師走でお忙しいところ大変恐縮なのですが、会議直前に年末年始をはさむこともあり できるだけ早めにお送りいただければ幸いです(後で差し替える事も可能です)。 よろしくお願い致します。

2日目には、今回新たな試みとして、 30名程度を対象とした技術ワークショップ2件と、 計画班と公募班の共同研究を後押しするためのマッチングセッション を開催することを予定しています。 会議スケジュールの詳細については別途メールをご参照下さい。

参加費用 領域会議:無料(宿泊費は各自負担) 情報交換会:有職者5000円、学生2000円

茨木キャンパスは新大阪からJRで約10分、 伊丹空港からもモノレールで20分程度の距離です。 フューチャープラザはB棟にあります。 JR茨木駅から来られる場合は、「東口」を出て線路を右手に見ながら 線路沿いの道を南へ7-8分ほど歩けば到着です。 西口から出ますと、イオンモールを過ぎて高速道路に着くまで キャンパス側には渡れないので気を付けてください。

周辺にホテルはそれほど多くないですが、 JRと阪急が通っており京都や大阪から通う事も可能です。

ただ、外国人観光客の激増により京都・大阪市内は ホテルが取りにくい状況が続いています。 今回は事務局の方で宿泊の手配を行いませんので、 各自できるだけ早くホテルを確保していただくようお願い致します。

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【4】その他の行事予定 今年度(2016年度)に予定されている行事です。

□ 第17回「脳と心のメカニズム」冬のワークショップ (2017年1月11日(水)-13日(金)、ルスツリゾート(北海道))

皆様奮ってご参加の程、よろしくお願い致します。

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【5】受賞報告 2016年に行われた学会・ワークショップでの受賞の一覧です。

□ 行木孝夫先生(B03班研究協力者) 2016年11月22-25日に広島で行われた The 4th International Symposium on Computing and Networkingにおいて、 B03班の研究協力者である行木孝夫准教授(北海道大学大学院理学研究院)と 斎藤健さん(平成27年修士課程修了)との共著ポスター論文が Best Poster Paper Award を受賞しました。

Takao Namiki and Ken Saito. Zeta function of a class of subshifts of Dyck shift. Proceedings of the 4th International Workshop on Applications and Fundamentals of Cellular Automata, pp.262-265.会議論文、査読有 北海道大学ホームページでの紹介:http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/topics/award16.php

□ 大封昌子先生(A03班) 2016年3月10-12日にドイツ・フライブルグで行われた 2nd international workshop on High Frequency Oscillations in Epilepsyにおいて、 A03班研究代表者池田昭夫先生の関連講座所属の大封昌子先生 (京都大学大学院医学研究科臨床神経学博士課程大学院生)のポスター発表が HFO 2016 Poster Award: 3rd Prizeを受賞しました。

演題名:Intracranially recorded octal DC shifts and HFOs as surrogate markers of     epileptogenicity in human focal epilepsy 京都大学てんかん・運動異常生理学講座ホームページでの紹介: http://epilepsy.med.kyoto-u.ac.jp

□ 武山博文先生(A03班) 2016年10月7-9日に静岡で行われた第50回日本てんかん学会学術集会において、 A03班研究代表者池田昭夫先生の関連講座所属の武山博文先生 (京都大学大学院医学研究科臨床神経学博士課程大学院生)の口演発表が English Presentation Awardを受賞しました。

演題名:The clinical features of elderly onset temporal lobe epilepsy 京都大学てんかん・運動異常生理学講座ホームページでの紹介: http://epilepsy.med.kyoto-u.ac.jp

□ 村井智彦先生(A03班) 2016年10月7-9日に静岡で行われた第50回日本てんかん学会学術集会において、 A03班研究代表者池田昭夫先生の関連講座所属の村井智彦先生 (京都大学大学院医学研究科臨床神経学博士課程大学院生)の口演発表が English Presentation Awardを受賞しました。

演題名:Invasive 3D source localization by wide-band EEG finding 京都大学てんかん・運動異常生理学講座ホームページでの紹介: http://epilepsy.med.kyoto-u.ac.jp

□ 本多正幸先生(A03班) 2016年10月7-9日に静岡で行われた第50回日本てんかん学会学術集会において、 A03班研究代表者池田昭夫先生の関連講座所属の本多正幸先生 (京都大学大学院医学研究科臨床神経学EEG/Epilepsyフェロー)のポスター発表が ふじさん賞(優秀ポスター賞)を受賞しました。

演題名:Ictal deafnessを認めた3症例(Three cases presenting ictal deafness) 京都大学てんかん・運動異常生理学講座ホームページでの紹介: http://epilepsy.med.kyoto-u.ac.jp

その他、受賞等ございましたら、皆様お知らせ頂けますよう、よろしくお願い致します。

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最後まで読んで頂いた皆様、誠にありがとうございました。 今後も月1回のメルマガで情報を発信させて頂ければと思います。 次号は2017/1/25 発行予定です。

次号も、計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介を 連載させて頂きたいと考えております。

本年も大変お世話になりありがとうございました。 皆様引き続きよろしくお願い致します。 領域メンバーの皆様、第3回領域会議でお会いできますことを楽しみにしております。

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文部科学省新学術領域研究(H27-31) 「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」 Mail Magazine Vol.9 2016/12/25 発行(毎月25日発行) 発行・編集人:小林勝哉(広報・アウトリーチ委員会)・小野健太郎(総括班事務局) 京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター内 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54 *本誌に関するご意見・お問い合わせは oscillology[at]nips.ac.jp までお寄せ下さい。

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