「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解(オシロロジー)」 関連の皆様
大変お世話になっております。 オシロロジー広報・アウトリーチ委員会です。
メルマガVol.43です。
さっそくですが、今号の目次です。
今号より、特集として、各計画班代表より「5年間を振り返っての総括」のテーマで
原稿を執筆いただくこととなりました。
今号は、A04班の飛松省三先生に原稿をご執筆いただきました。
飛松先生、お忙しいなか原稿ご執筆まことにありがとうございました。
==◆オシロロジー Mail Magazine Vol.43目次◆==
【1】飛松省三先生(A04班):「5年間を振り返っての総括」(★注目★)
【2】2019年度事業実施報告 2019年度に実施された事業について。
【3】その他の行事予定 今後予定されている行事について。
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【1】 飛松省三先生(A04班):「5年間を振り返っての総括」(★注目★)
来春退職する。教授としての最後の5年間を計画班員としてオシロロジーに
参加できたことを誇りに思っている。
本領域に参加し、医学系のみならず数理系、工学系の班員と知り合いになることができ、
いろいろなチャレンジができたことが想い出として残った。
当教室の研究テーマの柱はヒトを対象にした、
「脳を診る」、「脳を読む」、「脳を変える」の3つである。
A04班の「先端的脳機能計測によるヒューマンネイチャー解明」は、
これらの柱に沿ったものであった。
ただし、余りにもテーマが大きく、どうやって攻めるかが課題であった。
分担者として松橋(京大)、麻生(京大)、小池(生理研)先生に加わっていただき、
脳磁図、機能的MRI研究を補完してもらった。
「脳を診る」では、代表的論文として
「Monaural 40-Hz auditory steady-state magnetic responses can be useful for
identifying epileptic focus in mesial temporal lobe epilepsy. Clin Neurophysiol, 130: 341-351, 2019」
が挙げられる。
内側側頭葉てんかん(mTLE)では海馬硬化(HS)がみられ、
HSが聴覚野の情報処理を調節していることが我々の先行研究で分かっていた。
40 Hzクリック音刺激による聴覚野の40 Hz振動を検討したところ、
HSと同側の聴覚野の位相同期度が低下し、mTLEの側方性と一致することが分かった。
「脳を読む」では、代表的論文として
「Connectopathy in autism spectrum disorders: A review of evidence from visual evoked
potentials and diffusion magnetic resonance imaging. Front Neurosci, 09 November 2017」
が挙げられる。当教室の自閉症(ASD)研究を基に、
「connectopathy(機能的結合障害)」という概念を着想した。
そこで、文献的レビューを行い、ASDの脳内基盤は「connectopathy」であると提唱した。
現時点でtotal viewsが5,974であり、かなりの反響があったと考えている。
「脳を変える」では、代表的論文として
「Modified ischemic nerve block of the forearm: use for the induction of cortical plasticity in
distal hand muscles. J Physiol, 597: 3249-3503, 2019」が挙げられる。
前腕の虚血神経ブロック(INB、収縮期血圧+80 mmHg)を改良して、
平均血圧で30分間前腕を虚血した。
1次感覚野(S1)の機能は体性感覚誘発電位で1次運動野(M1)の機能は
運動感覚誘発電位でモニターした。
駆血帯解放後、S1は興奮性にM1は抑制性の変化を示す一過性の皮質可塑性が誘導された。
片麻痺患者の急性期では、健側が患側を抑制しているという説がある。
新しいニューロリハビリテーションの手技として修正版INBの臨床応用が期待される。
最後に、B03班(ネットワーク自己再組織化の数理的基盤の創成)との共同研究で、
「錯視: 回転する蛇」において回転していると錯覚する直前の脳活動を
「隠れマルコフモデル」で「状態遷移」が予想できるかもしれない結果を得た。
この領域ならではの知見なので、是非とも、論文化したいと考えている。
A04班 飛松省三
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【2】2019年度事業実施報告
2019年度に新たに実施された事業です。
今回は、新たな報告はありませんでした。
皆様、共同研究のための打ち合わせ、セミナー、会議等開催に際しては、
オシロロジーHP内会員ページの「書類(申請・報告)」
にある書類をご提出下さい。
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【3】その他の行事予定 今後予定されている行事について。
□ 第2回Advanced ECoG/EEG Analysis in Epilepsy(AEEE)研究会
第2回Advanced ECoG/EEG Analysis in Epilepsy(AEEE)研究会を
てんかん学会のプレコングレスシンポジウムとして開催します!
本年10月31日(木)から11月2日(土)の第53回日本てんかん学会学術集会
会期前日の10月30日(水)、
大会長の加藤先生からご援助いただき、
第2回「AEEE」研究会が学術集会の行われる神戸ポートピアホテル偕楽において開催されます。
詳細は下記をご参照ください。
本企画では、基礎・理論系の研究者がてんかん研究に興味を持ち
積極的に加わるための敷居を下げ、かつ臨床家にとっても数学理論などに対する苦手意識を克服し、
双方のさらなる協力関係が発展することを目標としております。
皆様のご参加をお待ちしております!
AEEE研究会事務局 京都大学大学院医学研究科てんかん・運動異常生理学講座
宇佐美清英
―開催概要―
I) 名称:第53回日本てんかん学会学術集会 プレコングレスシンポジウム
Ⅱ) 開催日程:2019年10月30日(水)
Ⅲ) 開催時間:16:00-18:40
Ⅳ) 開催テーマ:第2回Advanced ECoG/EEG Analysis in Epilepsy(AEEE)研究会
Ⅴ) 開催場所:神戸ポートピアホテル 「偕楽」の間
プログラム:
16:00-16:05 Opening remark:
松橋眞生(京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動異常生理学講座) 座長: 露口 尚弘(近畿大学医学部 脳神経外科) 長峯 隆(札幌医科大学医学部 神経科学講座)
16:05-16:30 1) 『皮質脳波律動からせまるてんかん原性ネットワーク』 (Epileptogenic network revealed by cortical oscillations) 大坪 宏(Division of Neurology, The Hospital for Sick Children)
16:30-16:55 2) 『てんかん発作の神経ダイナミクス』 (Neural dynamics in epileptic seizures) 北城 圭一(自然科学研究機構・生理学研究所・システム脳科学研究領域
神経ダイナミクス研究部門)
16:55-17:10
~休憩 15分~
座長: 伊藤 浩之(京都産業大学 コンピュータ理工学部) 飛松 省三(九州大学大学院医学研究院 臨床神経生理学教室)
17:10-17:45 3) 『Characterization and Decoding of Speech Processes from Intracranial Recordings』 Department of Biomedical Engineering, Virginia Commonwealth University, Richmond, Virginia, USA. Dean J. Krusienski
17:45-18:10 4) 『皮質脳波コヒーレンス解析による皮質情報構造の評価』 (Evaluation of cortical information structure using an electrocorticogram coherence analysis) 佐藤 直行(公立はこだて未来大学 複雑系知能学科)
18:10-18:35 5) 『皮質脳波を用いた体内埋込型ブレイン・マシン・インターフェース』 (ECoG-based Implantable Brain Machine Interfaces) 平田 雅之(大阪大学 臨床神経医工学寄附研究部門)
18:35-18:40 Closing remark: 松本 理器(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 脳神経内科学分野)
□ 2019年度オシロロジー国際会議
2019年11月17日(日)〜19日(火曜)に、2019年度オシロロジー国際会議が開催されます。
会場:芝蘭会館 京都大学医学部創立百周年記念施設
〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町 京都大学医学部構内
http://www.med.kyoto-u.ac.jp/shiran/
参加方法 以下のホームページから必要事項を登録してください。 https://www.nips.ac.jp/oscillology/blog/news/
登録締め切り:10月4日(金)17:00
参加費:無料 情報交換会:1000円
□ オシロロジー共催:生理研研究会「力学系の視点からの脳・神経回路の理解」
2019年11月28日~29日に、
オシロロジー共催:生理研研究会「力学系の視点からの脳・神経回路の理解」が
生理学研究所にて開催されます。
研究会の概要:
経時的に変化する外界に柔軟に適応できる脳機能は、
脳神経系が有する動的な特性により実現されると考えられ、実際に、この特性は、
単一ニューロンやシナプスなどのミクロなスケールから全脳レベルの大域的回路に至る
あらゆる階層において観測することができる。
しかしながら、こうした動的特性が、脳機能の仕組 みにおいて、
どのように寄与しているかはまだ十分に理解されていない。
とりわけ、リズムや同期といった脳活動は、認知機能のみならず、
脳疾患時の機能不全とも密接な関係があるが、その詳細は不明な点が多い。
一方、マルチニューロン活動計測や脳波・皮質脳波など、多点計測データの取得により、
脳神経系の動的特性やその機能的意義について、
多自由度力学系の観点から解析することが可能となり、
近年、こうした研究に注目が集まりつつある。
本研究会が、国内の関連する研究の議論の場となり、
この分野における研究を推進することを期待する。
詳細については、研究会ホームページをご覧ください。 https://www.nips.ac.jp/nd/meetings/2019/09/20191128.html
□ 2019年度第2回領域会議
2019年度の第2回領域会議が、2019年12月20日(金)〜 21日(土)に開催されます。
日程
12 月 20 日(金)受付 13:00~ 開始 13:25 終 了 16:45 情報交換会 18:00~
12 月 21 日(土)受付 9:00~ 開始 9:15 終 了 16:30
場所 国立大学法人一橋大学 一橋講堂(学術総合センター内)2F 中会議場 〒101-8439 東京都千代田区一ツ橋 2-1-2 HP:http://www.hit-u.ac.jp/hall/index.html
電話:03-4212-3900
2019年度第2回領域会議の参加登録を開始いたしました。
参加登録: 以下の申し込みフォームから必要事項を登録してください。 http://oscillology.umin.ne.jp/apply/view/index.php?id=17
(パスワード:2019Winter)
(登録締め切り:11 月 21 日 (木)17:00)
オシロロジー最後の領域会議となりますので、計画班、公募班の皆様に
口述発表をお願いしたく存じます(質疑応答含め15分)。
抄録を 11 月 21 日 (木)17:00 までに oscillology@gmail.comまで
送付していただきますようよろしくお願いいたします。
領域会議は、原則として班員はご参加ください。
最後まで読んで頂いた皆様、誠にありがとうございました。
今後も月1回のメルマガで情報を発信させて頂ければと思います。
次号は2019/11/25 発行予定です。
皆様、本年も引き続きよろしくお願い致します。
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文部科学省新学術領域研究(H27-31)
「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」
Mail Magazine Vol.43 2019/10/25 発行(毎月25日発行)
発行・編集人:武山博文(広報・アウトリーチ委員会)
京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター内
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
*本誌に関するご意見・お問い合わせは oscillology[at]nips.ac.jp までお寄せ下さい。
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