生理学研究所 総合生理研究系 生体システム研究部門

研究概要Research Projects

日常生活において私達ヒトを含め動物は,周りの状況に応じて最適な行動を選択し,自らの意志によって四肢を自由に動かすことにより様々な目的を達成している。このような運動には,例えばピアノを弾くように手指を巧妙・精緻に自由に使いこなす運動から,歩行や咀嚼などのように半ば自動化されたものまで幅広く存在する。このような随意運動を制御している脳の領域は,大脳皮質運動野と,その活動を支えている大脳基底核と小脳である。一方,例えばパーキンソン病などのように運動に関連したこれらの脳領域に病変が生じると,運動遂行が著しく障害される。

本研究部門では,脳をシステムとして捉え,これらの脳領域がいかに協調して働くことによって随意運動を可能にしているのか,そのメカニズムや,これらの脳領域が障害された際に,どのような機構によって症状が発現するのかなどの病態生理を明らかにし,さらにはこのような運動障害の治療法を開発することを目指して,以下の研究を遂行している。

  1. 神経解剖学的あるいは電気生理学的手法を用い運動関連領域の線維連絡やその様式を調べる。
  2. 運動課題を遂行中の動物から神経活動を記録することにより,脳がどのように随意運動を制御しているのか明らかにする。また,特定の神経経路の機能を調べるため,薬物注入などにより,その経路を一時的にブロックする方法も併用する。
  3. パーキンソン病やジストニアなどの疾患モデル動物から神経活動の記録を行い,どのようなメカニズムによって症状が発現するのか,また,異常な神経活動を抑制することによって治療が可能か検討する。
  4. ヒトの定位脳手術の際の神経活動のデータを解析することにより,ヒトの大脳基底核疾患の病態を解明する。

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