臨床連携研究

臨床研究と基礎研究の相互理解を目的として、現在、皮質脳波(electrocoticogram, ECoG)と頭皮脳波(Electroencepharogram, EEG)を用いた、てんかん及び脳卒中に関する臨床研究が進行中です。臨床研究を通して、通常とは異なる神経活動から正常な神経活動のダイナミクスを理解し、知覚・運動・記憶・注意・言語・学習・社会性など様々な脳機能に関する基礎研究へ還元できると考えています。

1. 病態によって変化する脳のダイナミクス

てんかん発作は突発的に脳神経細胞が過剰に興奮することによって生じます。 私たちは発作と関連した脳波の振動ダイナミクスと情報流に焦点をあて、発作の原因やメカニズムの解明に取り組んでいます。

2. 環境に適応する脳のダイナミクス

脳卒中による神経損傷の結果、運動機能や感覚・認知機能障害が起こります。これらの障害は局所的な脳領域の損傷によるものですが、私たちは脳の大域的なネットワークダイナミクスの障害としてとらえています。なぜなら、損傷した局所領域が再生することなく機能回復できるのは、損傷したネットワークの再編が起こっていると考えているからです。そこで損傷から回復に向かう過程で、脳がどのように変化に適応するのか、ネットワークダイナミクスに焦点を当て「脳の可塑性」を研究しています。最終的には、操作的手法(脳刺激、ニューロフィードバック)を含む新しいリハビリテーション治療の設計や機能回復の最大化に貢献したいと考えています。

研究成果:
Teiji Kawano, Noriaki Hattori, Yutaka Uno, Megumi Hatakenaka, Hajime Yagura, Hiroaki Fujimoto, Tomomi Yoshioka, Michiko Nagasako, Hironori Otomune, Keiichi Kitajo, Ichiro Miyai, Electroencephalographic phase synchrony index as a biomarker of post-stroke motor impairment and recovery. Neurorehabilitation and Neural Repair (in press) 2020.

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