我々は脳活動の非線形ダイナミクスの機能的な役割を研究しています。 脳は多数の非線形素子(ニューロン、グリア等)が結合した大自由度の力学系とみなすことができ、多様な神経活動のダイナミクスを示します。我々は計算論的神経科学の観点で、神経活動の振動、同期、ノイズ誘起現象をはじめとする多様な非線形ダイナミクスが知覚、認知、運動、社会性機能にかかわる脳情報処理において果たす機能的役割の理解を試みています。

 認知課題時、安静時、もしくは、TMS(経頭蓋磁気刺激)をはじめとする脳刺激時のヒトの頭皮脳波(EEG)、皮質脳波(ECoG)、脳磁図(MEG)、fMRI等で計測したヒト神経活動データや動物の多モダリティでのイメージングデータを扱います。これらのデータ解析と数理モデル化を非線形動力学、情報理論、信号処理理論、複雑ネットワーク解析、統計的機械学習手法等の多面的な手法で行います。

 さらに共同研究機関で取得した患者データの解析により神経活動ダイナミクスの変容と各種病態との関連の解明を試みます。また自律神経活動様相や興奮/抑制回路バランス等の多階層での現象と神経活動ダイナミクスとの関連にもアプローチし、神経活動ダイナミクスの機能的な役割の統合的な理解に挑戦します。このような研究活動により科学コミュニティと社会への貢献を目指します。

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