15 トレーニングコース
15.1 概要
第19回生理科学実験技術トレーニングコース
“生体機能の解明に向けて” ―分子・細胞レベルからシステムまで―
2008年度の生理研トレーニングコースは、7月28日(月)より8月 1日(金)まで生理学研究所の明大寺、山手の両キャンパスで行われた(担当:重本隆一教授)。例年通り下記のようなコースを設定し、受講者を公募したところ204名の応募があった。本来であれば全員の方に受講していただきたいところであるが、受け入れキャパシティの問題があり、この中から152名の方々を採択し148名の方々が実際に受講された。
プログラム
7月28日(月)
13:00 | 挨拶 岡田 泰伸 生理学研究所 所長 |
13:05 | 講演 深田 正紀 生理学研究所・生体膜研究部門・教授 「AMPA型グルタミン酸受容体の制御機構」 |
15:00 | 研究紹介:各部門・研究室から関連領域で注目されている実験技術を中心に話題を提供した。 |
7月29日(火)~ 8月 1日(金)
下記の各コースに分かれて実習を行った。
7月30日(水)18:00より交流会を実施した。
実習コース
- 位相差電子顕微鏡の原理と実践
- 神経幹細胞の培養法
- 海馬神経初代培養と生細胞イメージング
- 遺伝子改変マウス作製の基礎から応用へ
- in vitro発現系を用いたイオンチャネル・受容体の機能解析
- 2光子顕微鏡による細胞の動態と機能の可視化解析法ーその基礎と応用
- パッチクランプ法
- スライスパッチクランプ法(基礎コース・応用コース)
- ゼブラフィッシュを用いた神経回路機能の解析
- 摂食・飲水行動発現機構入門
- 麻酔下動物での急性電気生理実験
- 慢性動物実験法入門
- 視知覚の脳内メカニズムの実験的解析
- 脳磁図によるヒト脳機能研究の基礎
- 脳機能画像解析入門
- 生理学実験のための電気回路・機械工作・プログラミング
各コースのさらに具体的な内容に関しては、生理学研究所のホームページで公開されているので、そちらを参照されたい。 http://www.nips.ac.jp/training/2008/courses.html
15.2 アンケート結果
トレーニングコース終了時には、例年参加者からアンケートをいただいている。次ページに最近5年間のアンケートの主な質問項目に対する回答結果の集計を示す。ほとんどの項目について、毎年似かよった結果が出ており非常に安定した高評価を得ていることが分かる。具体的なコメントについてもpdfファイルに公開されている。 http://www.nips.ac.jp/training/2008/TC2008Q.pdf
トレーニングコース全体への感想としては好意的なものがほとんどであるが、各参加者のバックグラウンドや研究レベルによって、一層多様な対応が必要な点も見受けられる。また、アンケートではコース中の食事のサポートが乏しいことが問題点として多くの方々から指摘されている。特に山手地区における福利厚生施設の充実が今後の課題であると考えられる。アンケートの詳細は、TCアンケート参照。
15.3 今後の課題
開始から19年目となり、生理科学実験技術トレーニングコースは若手研究者や学生の間によく知れ渡っており、完全に定着しているということが言える。本コースをきっかけとして生理研との共同研究が始まったり、総研大に入学したりすることも少なくない。本年度より、多次元共同脳科学推進センターが発足し、生理学研究所は神経科学の若手研究者を育成する拠点としての使命を一層はっきりと帯びるようになっている。生理科学実験技術トレーニングコースは、このよう生理研の使命を果たしていく上でも中心的な行事として一層発展していくものと考えられる。今後は、より多くの多様な若い研究者や学生の方々にどのように対応していくのか、一週間という限られた時間では習得しきれない研究方法や技術についてどのような継続的なサポートを提供していけるか、といったことが課題であると考えられる。