課題B

具体的なミッション

(平成25年3月に終了いたしました)

研究開発拠点整備事業(課題A)における研究を補完する要素的研究や関連技術の開発を推進します。

参画機関

大阪大学大学院医学系研究科 感覚機能形成学教室 教授
不二門 尚

「高解像度人工網膜電極の開発・評価」

  我々が開発した脈絡膜上-経網膜刺激型人工網膜は視細胞変性患者に指数弁程度の視力回復をもたらします。この視力を文字認識が可能なレベルに引き上げるため、本研究では電荷注入能力の高い素材を用いて高密度のマルチ刺激電極を奈良先端科学技術大学院大学と共同で開発します。また、開発した刺激電極について以下の点を検討する:眼球に埋植する術式、耐久性・生体適合性、空間分解能。さらに、硝子体内に設置する帰還電極に神経栄養因子の徐放機能を持たせて網膜変性を抑制する技術を開発します。

奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科 光機能素子科学研究室 教授
太田 淳

「高分解能人工網膜デバイスの開発」

  電荷注入能力の高い酸化イリジウムや窒化チタン、酸化タンタルなどの材料と半導体集積回路技術を用いる事で、生体に安全で、安定して作動する高密度の人工網膜用多点電極デバイスを開発します。またこれらのデバイスを大阪大学医学部と共同で生体での安全性および機能評価を動物実験で行います。この開発により、大きな文字が認識できる程度の視力を提供できる人工網膜の実現を目指します。

日本大学医学部 脳神経外科学系 神経外科学分野 医学部長・教授
片山 容一

「ヒトにおける脳内植込み電極と体内埋設刺激デバイスを用いたBMIの開発」

  脳深部刺激療法(DBS)は、脳内植込み電極と体内埋設刺激デバイスを用いてヒトの脳機能を直接に制御するものです。1970年代から本邦における先駆けとしてDBSの研究を開始し、DBSを不随意運動や神経障害性疼痛の治療方法として確立するとともに、世界でも最高水準の治療実績をあげるに至っています。この研究では、DBSをBMIに発展させ(BMI-DBS)、神経リハビリテーションを促進する技術としての応用を試みます。

理化学研究所 脳科学総合研究センター 副センター長
認知機能表現研究チーム チームリーダー

田中 啓治

「連合野1ミリ領域の平均神経活動が表す物体カテゴリー関連情報」

  サル下側頭葉皮質の個々の神経細胞が中程度に複雑な図形特徴に反応することはかなり確立されました。サルの下側頭葉皮質の0.5~1ミリ程度の局所領域から慢性留置電極で多くの細胞の活動を記録し、局所領域の細胞集団の刺激選択性の類似性が図形特徴のレベルだけにあるのか、これを越えて物体カテゴリーのレベルでの類似性に及んでいるのか決めます。この研究の結果は、局所領域を単位として行われるヒトでの情報読み取りおよび電気刺激による知覚補綴の方法開発に指針を与えます。

理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チーム チームリーダー
藤井 直敬

「大規模双方向グリッド電極システムの開発」

  本プロジェクトでは、日本ザルを実験対象として、長期間使用可能かつ双方向性の情報伝達が可能な大規模双方向グリッド電極システムの開発を行うことを目的とします。このため、侵襲型BMIに必要となる必須要素技術、1)長期硬膜下電極留置・記録技術、2)慢性電極刺激技術、3)低侵襲インプラント術式等を開発し、神経活動および行動の詳細を含む記録データをBMI関連領域の研究者へ公開・提供します。

平成23年度より課題Aへ参画

東京工業大学 ソリューション研究機構 教授
小池 康晴

新潟大学大学院医歯学総合研究科 神経生理学分野 教授
新潟大学超域学術院

長谷川 功

平成23年度終了機関

東京大学大学院医学系研究科 医療倫理学分野 教授
赤林 朗平成24年度より生命倫理課題に統合

平成22年度終了機関

京都大学大学院文学研究科 心理学研究室 教授
櫻井 芳雄

「BMI用マルチニューロン記録解析法の開発と神経可塑性の解析」

  高性能の運動出力型BMIを構築するため、ラットのマルチニューロン活動の斬新な記録解析法を開発します。また、BMIを活用したニューラルオペラント課題を用いることで、BMI惹起性の神経回路網の可塑的変化を機能と構造の両面から明らかにします。さらに、サル運動野のマルチニューロン活動による高精度なリアルタイムBMIを、課題Bの飯島グループ(東北大学)及び小池グループ(東京工業大学)と共同で実現します。

京都大学大学院医学研究科 附属脳機能総合研究センター 准教授
美馬 達哉

「BMI操作性向上を可能とする脳可塑性誘導手法の研究開発」

  脳梗塞などの障害からの回復には脳の可塑性が重要な役割を果たします。私たちは、人間がBMI操作に習熟することにも可塑性が関わると考えています。この研究プロジェクトでは、BMIが人間の脳機能に与える影響を非侵襲的脳機能イメージングで検討するとともに、電磁気的脳刺激法で脳の可塑性を効率的に発揮させ、BMI操作に適した脳活動を誘導する技術(例えば、脳波振幅増大)の開発を目指します。また、動物モデルを用いた分子生物学的手法による基礎実験を行います。

順天堂大学医学部 生理学第一講座 教授
北澤 茂

「脳情報の解読と制御に関する統合的研究」

  サルやヒトなどの大型の脳にも刺入可能なボルタメトリ用の電極を開発し、長期にわたりドパミンの放出を高時間分解能(10 Hz)で計測する技術を開発します。さらにパーキンソン病の動物モデルに適用して、病態生理を解明するとともに、線条体のドパミン濃度をモニターしながら発症前にL-Dopa投薬または脳深部刺激を行って、症状をコントロールする手法を開発します。

玉川大学脳科学研究所 教授
坂上 雅道

「前頭葉のニューロン集団の活動から、意図・運動・知覚を分離してデコーディングするための基礎研究」

  認知型BMI実現のための基礎研究として、サルを被験体として、その前頭前野ニューロンの活動から、サルの行動の意図をデコーディングすることを目指します。ニューロン活動による行動の予測精度を上げるために、最終的には数十から百チャンネルの電極による同時記録を行い、デコーディングのための最適なアルゴリズムを開発します。単一ニューロン活動の記録を基本とするが、EcoG電極の導入による臨床応用につながる基礎研究も視野に入れています。

筑波大学大学院システム情報工学研究科 サイバニクス研究室 教授
山海 嘉之

「非侵襲型ブレインマシンインタフェースの研究開発」

  脳表面近傍におけるヘモグロビン濃度変化を計測するとともに、同一箇所にて脳の活動電位を計測する小型半導体素子の研究開発およびアレイ状に集積化した非侵型ヘッドマウント・ブレインインターフェースの開発を行い、脳の活動領域に焦点を当てた脳波計測を行います。これにより、装着者の運動意志推定を行い、筋活動電位が計測できない脊椎損傷患者などの上肢作業および歩行の支援を目的とした機器の制御に利用することで、各支援機器の開発を加速させることを目的とします。

東北大学大学院生命科学研究科 脳情報処理研究室 教授
飯島 敏夫

「超NIRS解像度脳シグナルを用いた次世代BMIの開発」

  これまでの研究で我々は運動野の脳神経活動に加え筋活動情報も利用することにより、少数のニューロン活動でも精度の高いロボットアームの制御を可能とするBMIシステムが構築できることを明らかにしました。本研究では、この侵襲型BMIの基本構造をさらに改善しつつ、近赤外光計測と膜電位感受性プローブの組み合わせで解像度を大幅に改善した脳活動光シグナルにより動作する非侵襲型BMIの開発を目指します。

東北大学大学院生命科学研究科 脳機能解析分野 教授
八尾 寛

「光を用いた脳への情報入力を可能にするフォトバイオ-オプト・エレクトロBMIシステムの構築とその定量的評価」

  私たちは、生物の生み出した光感受性のタンパク質や発光・蛍光タンパク質をあつかう遺伝子工学とオプトエレクトロニクスの融合技術をもとに、光を媒体とする脳への情報入力システム、オプト・エレクトロBMIを開発しています。これにより、視細胞が失われたモデル動物の網膜に光感受性を与えたときに、どこまで視覚が回復するかを検証します。また、脳との双方向的に情報交換することにより、脳情報を高い精度で解読します。

豊橋技術科学大学 電気・電子工学系 集積回路・センサシステムグループ 准教授
河野 剛士

「低侵襲高空間分解能シリコンウィスカ剣山型神経電極アレイの開発」

  ブレイン-マシン・インタフェース(BMI)の重要な要素技術である、神経細胞記録/刺激電極(神経電極)を開発します。提案する神経電極は、"選択的シリコンウィスカー結晶成長法"という独自の全く新しい手法を用いたもので、1)低侵襲プローブ(直径2~4μm)、2)高空間分解能プローブアレイ、3)様々なプローブ長(数μm~数百μm以上)、4)これらのプローブを集積回路(IC chip)上に直接形成可能、等の神経電極として解決すべき重要な課題を克服することが可能なものであり、これまでの神経電極の限界を打ち破る技術として期待されています。今回のプロジェクトでは、低侵襲、長期安定細胞計測の実証を含め、本デバイスを脳機能解析用、及びBMI用として実用すること主要目的とします。米国が開発してきた神経電極がBMIの分野で先行しているが、"日本オリジナル"の電極技術を確立します。

(株)日立製作所中央研究所 情報システム研究センタ 主任研究員
相良 和彦

「脳内情報表現を用いたヒューマンインタフェース技術の研究」

  外傷や神経疾患で四肢が不自由な人々が、様々な情報伝達手段を利用して意思の伝達やスムーズな会話が実現できるように、ブレイン・マシン・インタフェースの基本技術を開発します。近赤外分光法(NIRS)を利用したスイッチを開発し、自分の意思でエアコンやテレビなどの情報機器を操作できるようにします。また動作や運動に伴う脳内情報表現を明らかにして、ロボットなどの多自由度の装置を制御できるインタフェースの開発を目指します。

山梨大学大学院医学工学総合研究部 生理学講座第二教室 教授
佐藤 悠

「大脳聴覚野の直接電流刺激法による聴覚BMIの開発」

  覚醒動物における聴覚野細胞の音の特徴選択反応性の生理研究成果に基づき、大脳聴覚野を直接に電流刺激することにより聴覚BMIを開発します。具体的には先ず聴覚野の特徴抽出細胞の音刺激へのスパイク反応を覚醒動物で研究し、反応特徴性を模して音入力をスパイク列へ変換し電流刺激装置へ出力することにより、動物に音を認知させます。将来は一次聴神経以上の聴覚上行路が障害された患者を含めたヒトの聴覚獲得を可能とします。
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