脳基盤

(平成24年9月に終了いたしました)

  精神・神経疾患の発症の仕組みを明らかにし、新しい治療・予防法の開発につなげていくためには、死後脳を用いた研究が必要不可欠であると考えられています。実際に、諸外国においては、国あるいは国際的レベルにおいて死後脳を収集・保存するとともに、広く研究者に提供する仕組みが整備されています。

  しかしながら、我が国においてはこのような仕組みの整備が遅れており、筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病などの死後脳を収集・保存している病院等は一部存在するものの、統合失調症、気分障害などの精神疾患の死後脳は極僅かしか収集されていないとされています。さらに、死後脳を収集・保存している病院等であっても、その利用は自らの研究に使用されることが多く、広く研究者に提供できる仕組みは整備されている状況にはないところです。

  そのため、精神・神経疾患の死後脳を収集するとともに、これら疾患の解明に携わる研究者へ死後脳を提供するための基盤の整備に向けた課題を整理するとともに、本基盤の取組の具体化に向けた検討を実施します。

具体的なミッション

・精神・神経疾患の克服のために必要な基盤を整備するにあたり、これら疾患のリソースのあり方について検討するため、現状と課題について整理する。
・国内で死後脳を収集するにあたり、疾患別の死後脳の保有状況を調査する。
・諸外国の状況も参考に、国内で最も確実かつ効率的な死後脳の収集・保存・提供方法について、フィージビリティ・スタディ(死後脳の研究基盤整備事業を実施する場合に、その実現の可能性を外的要因や内部的な資源・能力といった要因との関連で評価・検証すること)を実施する。
・収集及び提供のための必要要件、ルール等を検討する。
・登録・同意等の枠組み及び必要な文書の様式等を検討する。
・死後脳を収集するにあたりクリアすべき問題点(制度上の問題、設備整備、人員の確保等)を抽出し、解決法を検討・提案する。
・死後脳の研究基盤拠点を整備する場合に必要な経費(人件費等を含む)も検討する。

代表機関

国立精神・神経医療研究センター病院 第一精神診療部 部長
有馬 邦正

「精神・神経疾患克服のための研究資源(リサーチリソース)の確保を目指した脳基盤の整備に関する研究」

  神経科学研究と精神・神経疾患の病態解明のためには、精神・神経疾患の死後脳を収集し、医学研究者に提供する機構が必要です。凍結脳などの剖検病理検体は、遺族の同意を得たうえで病理解剖により摘出され保存され、遺族の同意の範囲内で研究に提供されます。本調査研究では、死体解剖保存法や病理解剖指針などの現行法と医学研究倫理指針等を遵守したシステムのあり方を示し、運営上の諸課題の解決策を提示することを目標とします。また、神経病理研究施設に保存されている多施設共同研究に使用可能な病理検体の調査と、病理検体を研究使用する研究者側の調査を行います。
↑このページのトップへ

CopyRight © SRPBS All Rights Reserved.