イベント情報

「心身の健康を維持する脳の分子基盤と
環境因子(生涯健康脳)ワークショップ」                                      



日 時 : 平成22年2月2日(火) 10:00~12:30
会 場 : 文部科学省旧庁舎6階 第二講堂
主 催 : 文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」
           シンポジウム運営委員会

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196名の方にお集まりいただきました。
多数のご来聴ありがとうございました。


◇開催趣旨
    文部科学省では、脳科学研究戦略推進プログラムの平成22年度の新規課題として、「心身の健康を維持する脳の分子基盤と環境因子(生涯健康脳)」の実施を予定しています。本課題では、「発生から老化まで」という人間及び脳神経の一生の「健やかな育ち」、「活力ある暮らし」、「元気な老い」の3段階に着目し、心身の健康を支える脳の機能、健康の範囲を逸脱するメカニズム等を「分子基盤と環境因子の相互作用」という視点で解明することを目指します。本課題の実施に向けて、本課題の趣旨・意義等を当該領域の研究者に広く周知し、研究者の本課題に関する理解と研究者間の情報交換を促し、以って本課題を効果的に推進するため、本ワークショップを開催しました。




◇開会の辞
    ご来賓の日本学術会議会長、文部科学省脳科学委員会主査の金澤一郎氏からご挨拶を賜り、文部科学省より、文部科学大臣政務官の後藤斎氏が開会の挨拶を申し上げました。





◇新規課題説明
    文部科学省ライフサイエンス課より、新規課題「心身の健康を維持する脳の分子基盤と環境因子(生涯健康脳)について説明
※新規課題説明資料は上のタイトル部分に掲載しております




    その後、当該分野の最新の研究動向や今後更なる発展が望める研究領域、社会貢献を見据えた場合に解決が必要な研究課題等について、2名の講演者による講演が行われ、さらに当該分野の有識者(6名)によるパネルディスカッションが行われました。




◇第1部講演
10:15~10:35
「脳と環境-生涯に於ける心身の恒常性と適応-」
本間研一(北海道大学大学院医学研究科)

    脳は、個体が社会を含めた外部環境に適切に対応し、行動や精神活動を含めた広い意味での内部環境の恒常性、心身の健康を維持することに決定的に重要である。生涯に渡って健康な生活を送るためには、発達の各段階における主要な環境因子と脳との相互作用を明らかにし、その効果が後の生体機能の如何に影響するかを知ることが課題である。例えば、老化のプロセスは個体差が大きいと言われるが、これは成年期のライフスタイルが関係している可能性がある。個体の生涯を見据えた脳科学が重要な理由はここにある。重点的に取り組むべきテーマとしては、胎内環境や養育環境と脳機能の発達、健康指標としての生体リズムと睡眠、慢性的ストレスと心身機能や老化における個体差との関係が想定される。動物モデルを用いた研究では、従来の研究パラダイムの再検討と時間の概念を導入した新しい実験デザインの開発、ヒトを対象とした研究ではテーマを定めたコホート研究が必要になるだろう。


◇第1部講演
10:35~10:55
「脳と心の健康:体系的環境脳科学研究の提案」
和田圭司(国立精神・神経センター神経研究所)

    少子高齢化を迎え、かつ人口減少の道をたどり始めた我が国では、国の活力維持に向けた対策が急務である。健康な心身は社会的・経済的生産性を支えるが、健康な心身を保証する最大の要素は脳が健全に機能することにある。しかし、近年の脳や心の健康障害の増加と質的変容は予想を超えた進行を示し、脅威の序章ともなりかねない事態となっている。これら難問の打開のため、今脳科学に求められているものは多大で、またその達成への国民の期待は極めて大きい。なかでも、環境要因がもたらす健康被害は各方面からその対策が要求されており、環境と脳機能の関連について徹底した解明を行うことは脳科学者の責務と言って過言でない。本ワークショップでは、環境と脳機能発達に関する研究を紹介し、環境と脳を結びつける研究に重要な視点を整理するとともに、必要な解析モデルとは何か、環境受容とは分子で見た場合どういうことかについて問題提起し、環境と脳機能に関する今後の脳科学研究のあり方を提案したい。特に、環境情報を生体情報に変換するインターフェースの実態解明の必要性、多種多様な分野と接点を持つ脳科学の特徴を踏まえた取り組みの必要性を訴える。




◇第2部パネルディスカッション
10:55~12:25
座長 : 「脳科学研究戦略推進プログラム」プログラムディレクター
津本忠治(理化学研究所)、中西重忠(大阪バイオサイエンス研究所)
パネリスト(五十音順) :
大隅典子(東北大学) 苧阪直行(京都大学)
神庭重信(九州大学) 高橋良輔(京都大学)
武田雅俊(大阪大学) 柳澤勝彦(国立長寿医療センター研究所)

    ご参加いただいた方々も交えた活発なパネルディスカッションとなりました。




◇閉会の辞
    プログラムディレクター中西重忠氏が閉会の挨拶を行い、ワークショップは終了いたしました。





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