プログラム概要

プログラムの目的


  高齢化、多様化、複雑化が進み、様々な課題に直面している現代社会において、その克服に向けて、科学的・社会的意義の高い脳科学に対する社会的な関心と期待が急速に高まっています。

  このような社会的状況を鑑み、文部科学省では、『社会に貢献する脳科学』の実現を目指し、社会への応用を見据えた脳科学研究を戦略的に推進するため、平成20年度より本プログラムを開始しています。

  初年度の平成20年度には、脳内情報を解読・制御することにより、脳機能を理解するとともに脳機能や身体機能の回復・補完を可能とする「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」(課題A、課題B)、及び脳科学研究の共通的な基盤となる先進的なリソースの「独創性の高いモデル動物の開発」(課題C)について、研究開発拠点の整備等を行いました。(平成24年度をもちまして終了いたしました。)

  2年目の平成21年度には、豊かな社会の実現に貢献する脳科学を目指して、ヒトの社会性障害の解明・診断等や社会性の健全な発達促進に応用することを目標とした「社会的行動を支える脳基盤の計測・支援技術の開発」(課題D)について、研究開発拠点の整備を行いました。(平成25年度をもちまして終了いたしました。)

  3年目の平成22年度には、健やかな人生を支える脳科学を目指して、「発生から老化まで」という人間の一生の「健やかな育ち」「活力ある暮らし」「元気な老い」の3段階に着目し、心身の健康を支える脳の機能や健康の範囲を逸脱するメカニズム等を「分子基盤と環境因子の相互作用」という視点で解明することを目標とする「心身の健康を維持する脳の分子基盤と環境因子」(課題E)を統合的に推進する研究開発拠点を整備しました。(平成26年度をもちまして終了いたしました。)

  4年目の平成23年度には、これらに加え、「精神・神経疾患の克服を目指す脳科学研究」(課題F)を統合的に推進する研究開発拠点の整備を行い、本課題は、精神・神経疾患(発達障害、うつ病、認知症等)の発症のメカニズムを明らかにし、早期診断、治療、予防法の開発につなげることを目標としています。また、本研究を進めるに当たり必要不可欠な死後脳の収集・提供等を行うための基盤の整備に向けた課題の検討も実施しています(平成24年9月終了)。さらに、本研究を促進するに当たり、包括的な倫理的・法的・社会的課題に対する注意深い検討が不可欠であり、新たな問題等を解決するための体制を整備しています。

  同じく平成23年度から開始した課題Gは、複雑かつ多階層な脳機能を解明するために、脳機能を全体システムとして捉え、脳をありのままに解析できる基盤を整備することが重要であることから、様々なモデル動物から発生する多階層・多種類情報を集約化・体系化した情報基盤の構築を目指した研究を実施しています。

  6年目の平成25年度には、これまで脳プロで開発されたBMI技術の実用化及び臨床への応用を目指し、BMI技術を用いて、身体機能の回復・代替・補完や精神・神経疾患の革新的な診断・治療・予防法につなげることを目標とした「BMI技術を用いた自立支援、精神・神経疾患等の克服に向けた研究開発」について統合的に推進する研究開発拠点の整備しました。

  同じく平成25年度から開始した、脳科学研究のみならず創薬を推進する基盤強化を目指す、「霊長類モデル動物の創出・普及体制の整備」を統合的に推進する課題を実施しています。これは、利用者のニーズの高い精神・神経疾患に対するモデルマーモセットの遺伝子改変等による創出及び低コストでの供給を可能とする普及体制の整備を目標としています。

  また、科学技術・学術審議会の下に設置された脳科学委員会においては、我が国における脳科学研究を戦略的に推進するため、その体制整備のあり方、人文・社会科学との融合、さらには大学等における研究体制等を含めた長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策を議論し、平成21年6月に第1次答申「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について」としてまとめました。本事業の遂行においては、脳科学委員会における検討及び本第1次答申を踏まえつつ、戦略的に脳科学研究を推進していくこととしています。

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