生命倫理

    高齢化、多様化、複雑化が進み、様々な課題に直面している現代社会においては、その克服に向けて、科学的・社会的意義の高い脳科学に対する社会的な関心と期待が急速に高まっています。これを背景に、文部科学省は、脳科学委員会*における議論を踏まえ、平成20年度より「脳科学研究戦略推進プログラム」(脳プロ)を開始いたしました。

    脳プロは、「社会に貢献する脳科学」の実現を目指して、特に重点的に推進すべき政策課題を選定し、その課題解決に向けて、社会への応用を見据えた脳科学研究を戦略的に推進するプログラムです。

    脳プロ及び脳科学研究を進めるに当たっては、包括的な倫理的・法的・社会的課題に対する注意深い検討を行うことが不可欠であり、新たな問題等を解決する体制を整備するため、平成23年度より「生命倫理等に関する課題の解決に関する研究」(生命倫理課題)を開始しました。

*脳科学研究を戦略的に推進するための長期的展望に立つ基本的構想及び推進方策の検討を行うため、平成19年11月、文部科学省の科学技術・学術審議会の下に設置。

具体的なミッション

・精神・神経疾患の克服を目指す研究の実施にあたり、将来発生しうる倫理的問題等を想定し、あらかじめ対応及び解決法を提示する。
・脳科学研究戦略推進プログラムの各課題において、ヒトを対象とした研究の増加に伴い発生しうる倫理的問題等に対する十分な検討を行うとともに、解決法を提示する。
・本事業のPD・PO及び参画機関からの倫理的問題等の相談について、迅速かつ的確に問題の解決法を助言・指導する。

実施機関

東京大学大学院医学系研究科 医療倫理学分野 准教授
瀧本 禎之

「脳科学研究における倫理的問題の解決に関する研究」

  社会に貢献する脳科学を実現するには、脳科学研究に協力する研究参加者(被験者)の保護や、脳科学やその応用技術に潜む倫理的・法的・社会的問題(ELSI)への対応など、倫理的側面の検討が欠かせません。本研究課題では、東京大学と東京医科歯科大学の連携により、脳科学研究に携わる研究者、研究機関、施設の倫理委員会等に対して倫理相談窓口等の具体的な倫理支援を提供します。また、脳画像データの長期保存と二次利用に伴う倫理的問題や、神経変性疾患の遺伝子診断と結果開示の問題など、神経・精神疾患分野を含む脳科学のELSI研究にも取り組みます。以上により、脳科学研究における被験者保護と倫理審査体制の確立を成し遂げるのが最終目的です。
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