新着情報

掲載日 内 容
15/03/31 京都大学
「創造性と統合失調症の陽性症状再考:拡散テンソル画像による構造的結合性解析」
"Creativity and positive symptoms in schizophrenia revisited: Structural connectivity analysis with diffusion tensor imaging. (S. Son et al.)"-Schizophrenia Researchにて掲載(京大・高橋准教授他)

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<概要>
創造性と統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想)はいずれも、珍しいあるいは離れた概念の結びつきとも考えることもできる。統合失調症と創造性の関係は古くから研究されてきたが、結果は一致していない。また、適応的な創造性と奇異で病的な精神症状との違いは何であろうか?統合失調症患者を対象に、語彙、デザイン、アイデアの創造性の課題を施行し、その結果と精神症状と白質統合性との関係を調べた。脳梁前方の白質統合性が低い患者ほど、語彙の創造性の高く、妄想が重症であった。大脳半球間(前方)の結合性が低いことが、意味ネットワークの制御不能につながり、適応的ではない病的な妄想や陽性症状につながると示唆された。
14/03/30 ATR
「脳の配線図を変更し、長期間維持するニューロフィードバック学習法の開発に成功 -脳ネットワークの構造をピンポイントで変える訓練-」
"Functional MRI neurofeedback training on connectivity between two regions induces long-lasting changes in intrinsic functional network. (M. Fukuda et al.)"-Frontiers in Human Neuroscienceにて掲載(ATR・今水所長、川人所長他)

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<概要>
精神疾患・発達障害などでは、脳領域間の機能的結合が異常となり、ネットワークダイナミクスが変更されている。従来の薬物や心理行動療法ではなく、脳のダイナミクスを直接変更する有効な治療法の開発が急務であった。本研究では、参加者自らのシナプス可塑性にもとづく学習型治療法などの基礎技術として、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を用いて、参加者へ機能的結合をオンライン・フィードバックすることにより、2つの脳領域間結合を、わずか4日間の訓練で変化させ、それを2ヶ月以上持続させる『結合ニューロフィードバック法』の開発に成功した。

15/03/24 東京医科歯科大学
「アルンジン酸はグルタミン酸輸送体GLASTの発現を増加させ、正常眼圧緑内障モデルの網膜神経節細胞死を抑制する」
"Arundic acid attenuates retinal ganglion cell death by increasing glutamate/aspartate transporter expression in a model of normal tension glaucoma. (M. Yanagisawa et al.)"-Cell Death and Diseaseにて掲載(東京医科歯科大・柳澤特任助教、田中教授他)

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<概要>
グルタミン酸輸送体の障害は、緑内障・筋萎縮性側索硬化症・統合失調症・うつ病などの様々な精神神経疾患に関与することが知られている。従って、グルタミン酸輸送体を活性化する化合物は、上記疾患に共通する新規治療薬として有望である。我々は、グリア型グルタミン酸輸送体の転写を活性化することによりグルタミン酸の取り込みを亢進させる化合物arundic acidを見つけ、それが興奮毒性による網膜神経節細胞の変性を改善することを明らかにした。さらに、arundic acidはヒトの細胞株に発現するグルタミン酸輸送体の発現も亢進させることを明らかにした。Arundic acidは、緑内障だけでなく、上記精神神経疾患の治療薬としても期待できる。
15/03/24 国立長寿医療研究センター
「アルツハイマー病脳におけるアミロイド蓄積に関連するガングリオシド脂肪酸鎖長の変化」
"Imbalance in Fatty-Acid-Chain Length of Gangliosides Triggers Alzheimer Amyloid Deposition in the Precuneus. (N. Oikawa et al.)"-PLoS ONEにて掲載(国立長寿医療研究センター・柳澤副所長他)

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<概要>
脳内におけるアミロイド蓄積開始機序の解明を目的に、ヒト剖検脳よりアミロイド蓄積好発部位(楔前部大脳皮質)と同回避部位(鳥距溝)の大脳皮質を採取し、シナプス膜を分離精製し、脂質を抽出し、液体クロマトグラフィー-質量分析等で詳細に脂質組成を解析した。その結果、アミロイド蓄積を始めた楔前部は鳥距溝部に比し有意に、ガングリオシド脂肪酸鎖が長いことを見出した。原子間力顕微鏡下で、この鎖長の違いはアミロイドß蛋白重合誘導の分子基盤となることが確かめられた。
15/03/20 慶應義塾大学
「リーリンのC末端領域は大脳皮質の生後発達と維持に重要であり、特異的タンパク質分解によって制御される」
"Importance of Reelin C-Terminal Region in the Development and Maintenance of the Postnatal Cerebral Cortex and Its Regulation by Specific Proteolysis. (T. Kohno et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(慶應大・本田助教、久保講師、仲嶋教授他)

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<概要>
統合失調症等との関連が指摘され、環境因子によって発現が変動することが知られているリーリン分子は、脳において様々な機能を有する。我々は以前、リーリンシグナルを効率良くニューロンに伝えるためにはリーリンのC末端部分が重要であることを報告した。本研究では、リーリンのC末端領域を欠失したマウスを作成して解析した。その結果、胎生期に正常に形成された辺縁帯内に、生後になってから浅層ニューロンが進入してしまい、その樹状突起の向きや分岐が異常になることを見出した。また、C末端を切る酵素を同定した。すなわちリーリンは、そのC末端領域を介して大脳皮質浅層ニューロンの樹状突起の発達を制御し、辺縁帯(分子層)を正常に維持するために必須な役割を有することを見出した。
15/03/19 東京医科歯科大学
「世界初、小脳運動学習を定量的に評価するシステムを開発-ヒトの小脳の機能を簡単な手の動作より、短時間で数値化可能に-」
"Quantitative evaluation of human cerebellum-dependent motor learning through prism adaptation of hand-reaching movement. (Y. Hashimoto et al.)"-PLoS ONEにて掲載(東京医科歯科大・石川講師、水澤特任教授他)

3/20 日刊工業新聞Business Lineにて掲載「東京医科歯科大、ヒトの小脳の運動学習を定量評価するシステム開発-認知症を迅速診断」
3/20 日刊工業新聞 27面にて掲載「小脳の運動学習 定量評価 東京医科歯科大 認知症診断迅速に」
3/23 QLife Proにて掲載「小脳の運動学習を定量的に評価するシステムを世界で初めて開発-東京医科歯科大」
3/23 Science Portalにて掲載「小脳の運動学習の定量的測定法を開発」
3/27 認知症ねっとにて掲載「認知症診断測定への応用に期待!世界初の運動学習測定システム開発【東京医科歯科大】」

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<概要>
小脳が重要な役割を担う運動学習について、小脳の生理機構と症候から手の到達動作でのプリズム適応を新しい指数(Adaptability Index)により定量評価することに世界で初めて成功した。軽微な小脳障害を鋭敏に検出可能で、健常者と明瞭に識別できることから小脳疾患の診断に有用である。また、本指標は小児では小さく、70歳以降も低下する傾向が見られ、小脳の発達や老化の指標となる可能性も示された。
15/03/18 大阪大学
「経頭蓋磁気刺激法におけるお椀型コイルの提案」
"Characteristics of bowl-shaped coils for transcranial magnetic stimulation. (K. Yamamoto et al.)"-Journal of Applied Physicsにて掲載(阪大・齋藤特任教授他)

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<概要>
経頭蓋磁気刺激法において、在宅で患者本人が疼痛治療を行えるよう、コイルの位置決め誤差を吸収するよう広く均等な範囲を刺激できる"お椀型"コイルを新規に提案した。有限要素法によるシミュレーションを通し本手法が有効であることを確認し、また、コイルの物理的パラメータに対する渦電流の広がり・強さ・インダクタンスの変化の傾向を明らかにした。
15/03/13 東京大学
「神経突起局所における膜構造変化が不要突起の区画化と除去を誘導する」
"Local endocytosis triggers dendritic thinning and pruning in Drosophila sensory neurons. (T. Kanamori et al.)"-Nature Communicationsにて掲載(東大・榎本教授他)

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<概要>
幼弱期の未熟な脳神経回路が機能的に成熟する際に、胎児期にできた不要な神経回路を取り除く必要がある。これまでに私達はショウジョウバエ神経をモデルとして、不要突起が除かれる3-4時間前に不要突起が細胞体から区画化されること、さらに区画突起内で生じるカルシウム振動が突起除去を誘導する初発因子であることを明らかにしている。今回は、不要突起が区画化されるメカニズムに取り組み、不要突起の根元付近において発生する局所的エンドサイトーシスが急激な膜構造の変化を生み出すことが引き金となることを示した。
15/03/11 藤田保健衛生大学、名古屋大学
「近年の大規模試験で示された抗うつ薬反応性関連遺伝子多型は、日本人サンプルでは追試できない」
"No support for replication of the genetic variants identified by a recent mega-analysis of the treatment response to antidepressants. (M. Hatano et al.)"-Journal of Human Geneticsにて掲載(藤田保健衛生大・池田講師、岩田教授、名大・尾崎教授他)

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<概要>
今回我々は、先行研究の結果を基にして、抗うつ薬(セロトニン再取り込み阻害薬:SSRI)で治療されている270名の日本人サンプルを用いて、寛解ならびに反応率と関連がある多型を探索し、その追試を試みた。多重比較補正の結果、我々のサンプルにおいて有意を示す多型はなく、先行研究の結果は追試されなかった。先行研究とのメタ解析においても同様の結果であった。本結果は、抗うつ薬反応性においては、反応性に関連する一塩基多型の効果量は低いと想定された。

15/02/26 東京医科歯科大学
「自閉スペクトラム症などの病的な繰り返し行動を脳のグリア細胞の異常が引き起こす仕組みを解明-強迫症や自閉スペクトラム症に伴う繰り返し行動の治療薬の開発に拍車-」

"Astroglial Glutamate Transporter Deficiency Increases Synaptic Excitability and Leads to Pathological Repetitive Behaviors in Mice. (T. Aida et al.)"-Neuropsychopharmacologyにて掲載(東京医科歯科大・相田助教、田中教授他)

2/26 日刊工業新聞Business Lineにて掲載 「東京医科歯科大、自閉症・強迫症などが発症する仕組み解明-グリア細胞機能が異常に」
2/26 日刊工業新聞21面にて掲載「自閉症発症機構を解明 東京医科歯科大 グリア細胞機能 異常に」

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<概要>
繰り返し行動は、強迫性障害や自閉症スペクトラム障害などで見られる主要な症状であるが、その病態は不明である。我々はマウスを用い、グルタミン酸輸送体GLT1欠損による脳内の過剰なグルタミン酸が、皮質-線条体間のシナプス伝達を亢進し、繰り返し行動を引き起こすことを明らかにした。さらに、グルタミン酸受容体の阻害剤であるアルツハイマー病治療薬メマンチンが繰り返し行動を、即効性に抑制することを明らかにした。本研究は、繰り返し行動の病態解明やより有効な治療法の開発につなげることができると期待される。
15/02/17 関連ニュースを更新しました

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15/02/10 国立精神・神経医療研究センター
「脳波でコンピューターを操作する才能の神経基盤」
"Neuroanatomical correlates of brain-computer interface performance. (K. Kasahara et al.)"-NeuroImageにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・花川部長他)

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<概要>
脳波を用いたBMIの操作成績は個人で大きく異なり、リハビリテーション応用のためにはBMI操作能力の個人差を理解しつつ技術を洗練させていく必要がある。今回、MRIで測定できる大脳皮質運動野の量がBMI操作成績の個人差と相関することを始めて示した。本研究は脳波BMI操作の神経メカニズムの理解に貢献するばかりでなく、今後個人差を考慮に入れたBMI設計に資するバイオマーカーとして大脳皮質運動野量を活用できる可能性を示すものである。
15/01/30 国立精神・神経医療研究センター
「多発性白質障害に伴うすくみ足の病態解明」
"Freezing of gait and white matter changes: a tract-based spatial statistics study. (K. Iseki et al.)"-Journal of Clinical Movement Disordersにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・花川部長他)

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<概要>
多発性の脳虚血性障害に伴い、「すくみ足」と呼ばれる歩行障害を呈することがあるが、その病態は未知である。本研究では、拡散強調MRI解析により、右運動前野直下白質、脳梁及び大脳脚の異常が「すくみ足」の病態と関わることを示した。脳卒中による運動障がいを再建するためのBMIバイオマーカー設計の基礎データとして寄与する研究である。
15/01/21 金沢大学
「オキシトシンより作用時間の長い新しいオキシトシン様化合物」
"Lipo-oxytocin-1, a Novel Oxytocin Analog Conjugated with Two Palmitoyl Groups, Has Long-Lasting Effects on Anxiety-Related Behavior and Social Avoidance in CD157 Knockout Mice. (A. Mizuno et al.)"-Brain Sciencesにて掲載(金沢大・Cherepanov研究員、東田特任教授他)

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<概要>
オキシトシンはペプチドホルモンで、体内で分解されやすく、分子の大きさと電荷から脳へ移行しないとされている。薬の観点から、それらの欠点を解決するため、長い脂肪鎖であるパルミチン基[CO(CH2)14CH3]を2個、オキシトシンに添加した化合物を合成した(LOT-1)。LOT-1は、投与24時間後に、CD157ノックアウトマウスの示す社会性行動障害をオキシトシンより効率よく回復させた。

15/01/16 ATR
「ブレイン・マシン・インタフェースと外骨格ロボット技術に基づく脳機能理解に向けた新しい方法論を提案功 ~動作支援を可能とする外骨格ロボット技術の脳科学への応用に向けた展開~ 」
"Creating the brain and interacting with the brain: an integrated approach to understanding the brain. (J. Morimoto and M. Kawato)"-Journal of The Royal Society Interfaceにて掲載(ATR・森本室長、川人所長)

1/14 京都新聞 電子版にて掲載「脳波読み取りロボ使い、脳の機能回復へ 京都の研究所」
1/15 京都新聞朝刊 27面にて掲載「動作支援ロボで脳機能回復実験 ATR、治療法確立へ」
1/19 産経新聞朝刊 26面にて掲載「四肢の動き補助するロボット 脳機能回復にも期待 ATR発表」

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<概要>
近年、脳科学とロボティクスはそれぞれに大きく発展し、その二つの領域が融合することにより、学祭的な研究分野が生まれてきた。その中でも特に計算論的神経科学、脳のような機能の実装を目指したロボティクス、ブレインマシンインタフェースの3つの分野の理論的背景について概観し、これら3つのアプローチを統合することによる脳機能理解のための新しい方法論の開発の可能性について紹介する。

15/01/16 国立精神・神経医療研究センター
「うつ病における脳脊髄液中エタノールアミン濃度の減少」
"Reduced cerebrospinal fluid ethanolamine concentration in major depressive disorder. (S. Ogawa et al.)"-Scientific Reportsにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・小川研究員、功刀部長他)

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<概要>
大うつ病性障害の診断や類型化に用いられる生化学的マーカーは今のところなく、いまだに問診によって行われている。我々はうつ病のバイオマーカーを探索するために、脳脊髄液中のアミノ酸およびその関連分子に着目して解析した。その結果、エタノールアミンの濃度はうつ病患者群で有意な減少を示し、約40%のうつ病患者が健常者群の下位5パーセンタイル値を基準とした値よりも低値を示した。患者群においてエタノールアミン低値群は髙値群と比べて重症度が高かった。また、エタノールアミン濃度はドパミン代謝物質であるホモバニリン酸やセロトニンの代謝物質である5-ヒドロキシインドール酢酸と有意な正の相関を示した。これらはうつ病の類型化マーカーあるいは状態依存的マーカーとなりうる可能性が示唆された。
15/01/15 自治医科大学
「オキシトシン末梢投与→迷走神経による脳への情報伝達→摂食抑制と肥満改善の新経路の発見」
"Peripheral oxytocin activates vagal afferent neurons to suppress feeding in normal and leptin-resistant mice: A route for ameliorating hyperphagia and obesity. (Y. Iwasaki et al.)"-American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology にて掲載(自治医科大・岩﨑助教、矢田教授他)

1/15 マイナビニュースにて掲載「オキシトシンが求心性迷走神経を活性化することで食欲を抑制-自治医科大」

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<概要>
脳内オキシトシン(OXT)が社会性行動、摂食抑制、記憶学習などに関与することが分かってきた。以前我々は、OXTの末梢投与が、肥満動物の過食、肥満を改善する事を報告した。本研究では、OXTが求心性迷走神経を直接活性化して、脳に情報伝達し摂食を抑制する経路を発見した。この末梢OXTによる求心性迷走神経活性化の経路は、過食肥満を呈するレプチン抵抗性db/dbマウスでも正常に機能したことから、レプチン抵抗性が深く関与するヒト肥満の治療ターゲットになると推察される。さらに、ヒトで臨床試験が行われている経鼻OXT投与による自閉症および肥満治療において、脳への情報伝達の主要な経路となっている可能性があり、治療の作用基盤を与えるものである。
15/01/15 自治医科大学
「オキシトシン経鼻投与の選択的な摂食抑制効果: 副作用の少ない肥満・自閉スペクトラム症治療ルートの可能性」
"Nasal oxytocin administration reduces food intake without affecting locomotor activity and glycemia with c-Fos induction in limited brain areas. (Y. Maejima et al.)"-Neuroendocrinologyにて掲載(自治医科大・前島助教、矢田教授他)

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<概要>
 脳ペプチドのオキシトシンは社会性、摂食を調節しているが、末梢投与により自閉症、肥満を改善する効果が動物およびヒト臨床試験で報告されている。本研究では、有効かつ安全なヒト臨床応用の実現のために、動物実験に用いられる腹腔内vs臨床試験で用いられる経鼻投与ルートの効果の異同を検討した。両投与ルートは同程度に摂食を抑制した。腹腔内投与と異なり、経鼻投与は自発行動(鎮静、覚醒)に影響しなかったことから直接に摂食行動を抑制しており、自閉症の社会性行動にも直接作用する可能性が示唆された。経鼻投与は、血糖にも影響せず、副作用が少ない安全な肥満、自閉症治療ルートである可能性を示唆する。

15/01/14 国立精神・神経医療研究センター
「ADHD児における認知的シフティング能力に関わる脳機能」
"Cognitive Shifting in Children with Attention-Deficit Hyperactivity Disorder: A Near Infrared Spectroscopy Study. (A. Yasumura et al.)"-Journal of Psychiatryにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・安村研究員、稲垣部長他)

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<概要>
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の中核症状として、主に前頭前野が関わる実行機能の障害が示唆されている。本研究では、実行機能のうち注意の柔軟な転換を必要とする認知的シフティング能力が求められるDimension-Change Card Sort(DCCS)課題を用いて7-14歳のADHD児に行動学および生理学指標の両面からの検討を加えた。その結果、ADHD児は定型発達児と比較して、DCCS課題において誤答数が多く、前頭前野における酸素化ヘモグロビンの賦活が乏しいことが分かった。これらの結果は、発達障害におけるADHDの鑑別診断のために役立ち、認知的、脳機能的な障害の理解に貢献すると示唆される。

15/01/14 名古屋大学
「MMRワクチンおよびチメロサール含有ワクチンの早期暴露とASD発症のリスク」
"Early exposure to the combined measles-mumps-rubella vaccine and thimerosal-containing vaccines and risk of autism spectrum disorder. (Y. Uno et al.)"-Vaccineにて掲載(名大・宇野助教、尾崎教授他)

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<概要>
幼児期早期のMMRワクチンやチメロサール含有ワクチンの接種が、自閉スペクトラム症(ASD)発症の危険因子となるか否かを、日本人の症例・対照研究により検討した。すなわち、生後1、3、6、12、18、24、36ヶ月の時点でのMMR接種およびワクチン接種によるチメロサール摂取量を症例群と対照群とで比較した。その結果、いずれの月齢においてもMMR接種やチメロサール摂取量と、ASD発症との関連を見出すことはできなかった。今回の結果から、幼児期早期のMMRやチメロサール含有ワクチンの接種がASD発症のリスクとなるとは考えられないことが確認された。
15/01/08 慶應義塾大学   名古屋大学
「リーリンは、フェンサイクリジンによって誘発される認知機能障害及び感覚運動ゲーティング障害に対して予防的効果を有する」
"Reelin has a preventive effect on phencyclidine-induced cognitive and sensory-motor gating deficits. (K. Ishii et al.)"-Neuroscience Researchにて掲載(慶應大・石井助教、廣田助教、久保講師、仲嶋教授、名大・永井准教授他)

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<概要>
PCPは統合失調症様症状を誘発する薬物として知られている。我々は以前、抑制性神経前駆細胞をマウスの内側前頭前野(mPFC)に移植すると、後頭葉に移植した時とは異なり、PCPに対して抵抗性を獲得し認知機能障害等の発症を予防できることを報告した。またその際、移植した前駆細胞からは、発症予防効果のあるmPFC移植時特異的にリーリン/ソマトスタチン二重陽性の抑制性神経細胞が多く分化することを発見した。リーリンは統合失調症等との関連が示唆されているため、本研究でリーリンそのものがPCPに対する抵抗性を付与できるかを検討したところ、確かに発症を予防できることを見いだした。リーリン受容体の一つがmPFCの神経細胞に発現していることも確認した。
15/01/08 電気通信大学
「視覚誘発性のBMIにて、臨界融合周波数を超える点滅刺激でもSSVEPが誘発できることを実証」
"Use of high-frequency visual stimuli above the critical flicker frequency in a SSVEP-based BMI. (T. Sakurada et al.)"-Clinical Neurophysiologyにて掲載(電気通信大・神作客員教授他)

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<概要>
BMIの構成方法のひとつに、点滅する視覚刺激を注視することで発生する定常状態視覚誘発電位(SSVEP)と呼ばれる脳波を利用するものがあるが、刺激注視時の不快感や目の疲労が問題点としてあげられていた。今回、視覚刺激の色や輝度を適切に調整することで、ちらつきが目に見えなくなる臨界融合周波数(CFF)を超える視覚刺激でもSSVEPを精度よく検出できることが確認された。さらに、こうした視覚刺激を用いることで、BMI利用時における目の疲労を軽減できることを明らかにした。

15/01/06 ATR
「安静にしているときの脳活動から作業記憶トレーニング効果の個人差を予測することに成功 ~認知機能を回復させる方法の開発に大きく前進~」
"Predicting learning plateau of working memory from whole-brain intrinsic network connectivity patterns. (M. Yamashita et al.)"-Scientific Reportsにて掲載(ATR・今水所長、川人所長他)

1/5 毎日新聞 電子版にて掲載「さっきの記憶:訓練で向上する度合い 安静時の脳から予測」
1/5 産経ニュースにて掲載「記憶力アップにつながるか?! 「脳トレ」効果の個人予測に成功、京都の研究チーム」
1/6 日本経済新聞朝刊 16面にて掲載「記憶力低下防止訓練の効果予測」
1/6 毎日新聞朝刊 25面にて掲載「脳トレ成果「配線図」で予測 京都の研究所発表」
1/6 産経新聞朝刊 26面にて掲載「あなたに合った脳トレは? 京都の研究所 血流で効果予測」
1/6 京都新聞 電子版にて掲載「脳の能力、個人の上限測定に成功 京都の研究所」
1/6 京都新聞朝刊 27面にて掲載「脳活動の”上限”予測 個人ごとに数値化 ATRが測定 認知症など改善効率的に」
1/6 中日新聞 CHUNICHI Webにて掲載「脳内血流で記憶力予測 京都の研究所チーム」
1/6 中日新聞朝刊 3面にて掲載「短期的記憶力 脳内血流で予測 京都の研究チーム」
1/12 読売新聞朝刊 16面にて掲載「短期記憶 脳活動から推測 ATR発表 安静時 文字見せ分析」

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<概要>
電話番号などを短時間記憶する「作業記憶」は精神疾患で顕著に低下する認知能力である。健常者が5分間安静にしているときの脳活動を機能的磁気共鳴画像(fMRI)装置で計測し、脳内の繋がり方のパターン(配線図)を解読した。配線図の個人差から、その人が作業記憶の訓練を受けたとき、どれだけ成績が良くなるかを、訓練前から予測することに成功した。これにより、作業記憶の上限を規定する脳のネットワークを明らかにした。

15/01/06 関連ニュースを更新しました

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