新着情報

掲載日 内 容
11/12/31 理研BSI
"Ablation of Mrds1/Ofcc1 induces hyper-γ-glutamyl transpeptidasemia without abnormal head development and schizophrenia-relevant behaviors in mice. (T. Ohnishi et al.)"-PLoS ONEにて掲載(理研・大西研究員、吉川チームリーダー他)

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<概要>
統合失調症の連鎖解析から染色体6番短腕に感受性遺伝子が2つあることがアイスランドの家系を使った研究で報告されていた。そのうちの1つであるDTNBP1遺伝子はよく研究されてきたが、もう1つのMRDS1については、機能も含めて全く研究されてこなかった。今回我々は、MRDS1は日本人統合失調症にも関与している所見を得た。ただ、ノックアウトマウスを作製して詳細に調べたところ、統合失調症を思わせる所見はなく、無症候性の高ガンマGTP血症が見出された。これらの結果から、生物種の違いにより、遺伝子によっては機能が異なる可能性が示唆された。
11/12/21 名古屋大学、藤田保健衛生大学   理研BSI
"A Case Control Association Study and Cognitive Function Analysis of Neuropilin and Tolloid-Like 1 Gene and Schizophrenia in the Japanese Population. (M. Banno et al.)" -PLoS ONEにて掲載(名大・尾崎教授他、藤田保健衛生大・岩田教授他、理研・吉川チームリーダー他)

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<概要>
Neuropilin and tolloid-like 1(NETO1)は、NMDAR複合体の構成分子である。NETO1領域の8SNPのgenotypingを行なった。我々の実施したGWASとの meta-analysisとの結果、統合失調症と関連を示す3SNPsが検出された。しかし、これらSNPsは、中間表現型であるCPT score, WCST scoreとの関連は示さなかった。
11/12/20 自治医科大学
「オキシトシン注射によって肥満症が改善」
"Peripheral oxytocin treatment ameliorates obesity by reducing food intake and visceral fat mass. (Y. Maejima et al.)"-Agingにて掲載(自治医科大・前島助教、矢田教授他)

12/25 YOMIURI ONLINEにて掲載「脳内ホルモン体内投与でメタボ治療も…自治医大」
12/21 日本経済新聞のweb版にて掲載「母乳出させるホルモンに肥満防止作用  自治医科大」

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11/12/19

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<概要>
高頻度逆行性遺伝子導入ベクターは、神経終末より取り込まれ、遠方に局在する細胞体へ遺伝子を導入する。本ベクターは経路選択的な神経機能や遺伝子機能の操作・改変に有効であり、高次脳機能の研究に新しいツールを提供する。今回、新規の融合糖タンパク質を利用し、神経細胞特異的な逆行性遺伝子導入ベクター(neuron-specific retrograde gene transfer or NeuRet vector)を開発した。従来の逆行性遺伝子導入ベクターは、神経細胞ばかりでなく注入部位のグリア細胞や神経幹細胞などの分裂性細胞にも導入されたが、NeuRetベクターは神経細胞に特異的で、主に、逆行性輸送を介して細胞に導入される性質を持つ。本ベクターは、注入部位の組織損傷を大幅に抑制でき、脳内での逆行性輸送を介する効率的な遺伝子導入を可能とする。
11/12/19 ATR   沖縄科学技術大学院大学
"MOSAIC for Multiple-Reward Environments. (N. Sugimoto et al.)"-Neural Computationにて掲載(ATR・杉本研究員、川人所長、沖縄科学技術大学院大・銅谷教授他)

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<概要>
複雑な環境を複数個の単純なものに分割し、それぞれに個別の学習器を割り当てて制御を行うモジュール強化学習手法を提案した。既存のモジュール強化学習手法は環境の分割方法が十分な柔軟性を持っておらず、複雑な環境、特に報酬関数が複雑な環境に対処できない可能性があった。一方提案手法では新しく報酬予測モジュールを導入することで、既存手法では対処できないような環境化においても高い性能を発揮することに成功した。
11/12/16 平成23年度新規課題「脳科学研究を支える集約的・体系的な情報基盤の構築」(課題G:神経情報基盤)課題について実施機関等が決定いたしました

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11/12/09 ATR
「新たに開発したデコーディッドニューロフィードバック法を用いて、ヒト大脳皮質視覚野に、空間的な活動パターンを引き起こし、意識や視覚刺激を伴わずに、視覚知覚学習を生じさせることに成功」
"Perceptual Learning Incepted by Decoded fMRI Neurofeedback Without Stimulus Presentation. (K. Shibata et al.)"-Scienceにて掲載(ATR・柴田研究員、川人所長他)

12/9 日経産業新聞10面にて掲載「意識せず学習できた!-ATRが基礎実験成功」
12/9  日刊工業新聞19面にて掲載「脳に情報をフィードバック 視覚的能力高める」
12/9 mail onlineにて掲載 "'Downloading' new skills into our brains like characters on The Matrix set to become a reality, say scientists"
12/13 Yahoo! NEWSにて掲載 "'Matrix'-Style Learning Implants New Skills in Brain"
12/14 livedoorニュースにて掲載「まさにマトリックスの世界!将来新しい技術を脳に「ダウンロード」できるようになるらしい」
12/18 読売新聞19面にて掲載「脳の訓練で認識力アップ」
その他、世界300件以上のサイトにて紹介されました

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11/12/06 慶應義塾大学
12/5発売の週刊東洋経済(12/10号)67ページ目にて掲載「脳へのフィードバック 完全まひも回復に道」(慶應大・里宇教授)

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11/12/05 福島県立医科大学   北海道大学
"Selective Neural Pathway Targeting Reveals Key Roles of Thalamostriatal Projection in the Control of Visual Discrimination. (S. Kato et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(福島県立医大・加藤助教、小林教授、北大・渡辺教授他)

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<概要>
高頻度逆行性ベクターについて新しい融合糖タンパク質タイプを開発し、逆行性遺伝子導入の頻度を向上させた。そのベクターを利用して、選択的な神経路除去技術に発展させ、視床線条体路が視覚弁別学習の獲得と実行に重要な役割を持つことを明らかにした。
11/12/05 北海道大学   東京大学
"Climbing fiber synapse elimination in cerebellar Purkinje cells. (M. Watanabe et al.)"-European Journal of Neuroscienceにて掲載(北大・渡辺教授、東大・狩野教授)

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<概要>
生後発達期のげっ歯類の小脳において、初期には複数の登上線維がプルキンエ細胞にシナプスを作っているが、生後20日のうちに、このうちの1本の登上線維のみが強くなって残り、その他はすべて除去される。この“シナプス刈り込み” のメカニズムについて、渡辺と狩野のこれまでの研究成果と、関連分野の最新の成果を踏まえて概説した。
11/12/05 北海道大学   東京大学
"Developmental Switching of Perisomatic Innervation from Climbing Fibers to Basket Cell Fibers in Cerebellar Purkinje Cells. (R. Ichikawa et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(北大・渡辺教授、東大・狩野教授他)

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<概要>
生後発達期のマウス小脳において、生後7日目から20日にかけて、プルキンエ 細胞の細胞体上のシナプスは、グルタミン酸作動性の興奮性シナプスからGABA作動性の抑制性シナプスに置き換わる。今回、この過程の詳細を初めて明らか にした。即ち、抑制性シナプス終末が一過性に細胞体上のスパ インに結合すること、抑制性シナプス終末に対応するシナプス後部では、グルタミン酸受容体とGABA受容体のクラスターが一過性に共存することを示した。
11/12/05 慶應義塾大学
"Cytoarchitecture of mouse and human subventricular zone in developing cerebral neocortex. (H. Tabata et al.)"-Experimental Brain Researchにて掲載(慶應大・田畑講師、仲嶋教授他)

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<概要>
最近、霊長類の大脳皮質発生過程において、脳室下帯の浅層(OSVZ)に神経前駆細胞が、深層(ISVZ)により分化の進んだ細胞が配置されることが報告された。この組織構築は霊長類に特徴的なものとされていたが、マウス胎生期の大脳皮質における個々の細胞の動態を可視化した我々の以前の報告と比較すると、両者は良く似ていることがわかった。本稿では、新たな解析データを加えてこれをさらに支持する結果を提示するとともに、特にヒトとマウスの胎生期における細胞動態の異同に注目して議論した。
11/11/25 ATR、慶應義塾大学
「リハビリテーションに応用可能な脳ダイナミクス推定技術の開発に成功」
"Cortical current source estimation from electroencephalography in  combination with near-infrared spectroscopy as a hierarchical prior. (T. Aihara et al.)"-NeuroImageにて掲載(ATR・相原研究員、川人所長他、慶應大・里宇教授他)

11/28 asahi.comにて掲載「ATR・慶大など、脳活動を可視化できるシステム開発-リハビリ効果確認しやすく」
11/28 日刊工業新聞Business Lineにて掲載「ATR・慶大など、脳活動を可視化できるシステム開発-リハビリ効果確認しやすく」
11/24 時事通信にて掲載「リハビリ中に脳活動が分かる=新システム開発、効果向上期待-ATRと慶応大」
11/25 日経産業新聞にて掲載「ATRと慶大、リハビリ中の脳活動を小型装置で正確測定」
11/25 マイナビニュースにて掲載「ATRと慶応大、リハビリに応用可能な脳ダイナミクス推定技術を開発」

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<概要>
これまで、大型非侵襲脳活動計測装置であるfMRIとMEGを組み合わせることで、高い時空間分解能で皮質電流を推定できることが示されてきた。しかし、それらをリハビリテーションなどの臨床現場で利用するには、高コスト、非可搬性、体動の制限が制約になっていた。そこで、これらの制約を受けにくい可搬型非侵襲脳機能計測装置であるNIRSとEEGを組み合わせることで、脳活動の推定を試みた。皮質電流推定手法VBMEGを利用して、NIRSを事前情報とすることによって、高い時空間分解能でEEGの電流源を推定することができることが、シミュレーションデータおよび実験データにより示された。これは、本手法の臨床現場への応用可能性を示唆するものである。
11/11/15 基礎生物学研究所
"Differential Expression Patterns of Striate Cortex-Enriched Genes among Old World, New World, and Prosimian Primates. (T. Takahata et al.)"-Cerebral Cortexにて掲載(基生研・山森教授他)

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<概要>
我々は、霊長類領野間で顕著な発現差のある遺伝子の解析から、視覚野特異的発現遺伝子と連合野特異的発現遺伝子の2群を報告してきた(Yamamori, T., Prog. Neurobiol., 94, 201-222, 2011)。今回, Vanderbilt大学の高畑亨博士、Jon Kaas博士は、視覚野特異的発現遺伝子(OCC1, tetstican-1, tetsican-2, 5-HT1B, 5-HT2A)を原猿、新世界ザル、旧世界ザルの視覚野で調べた。その結果、5-HT1Bの一次視覚野特異的発現は、原猿から良く保存されているが、他の遺伝子では、領野特異性は原猿では弱く、新世界ザル、旧世界ザルになるに従って、強くなることが示された。これらの結果は、一次視覚野特異的な遺伝子発現と原猿、新世界ザル、旧世界ザルにおける視覚進化の密接な関連を示唆する。本研究では、共同研究として、主にマーモセットの遺伝子発現解析を行った。
11/11/11 自治医科大学
"Insulin suppresses ghrelin‐induced calcium signaling in neuropeptide Y neurons of the hypothalamic arcuate nucleus. (Y. Maejima et al.)"-Agingにて掲載(自治医科大・前島助教、矢田教授他)

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<概要>
視床下部弓状核NPYニューロンは末梢情報を感知する摂食一次中枢ニューロンである。末梢ホルモンの血漿グレリンは空腹時に増加し、インスリンは食後に増加し、身体の栄養代謝状態を脳に伝える中心的役割を担うと考えられている。しかし、NPYニューロンレベルでの2つのホルモンの相互作用は未解明であった。本研究では、グレリンはNPYニューロンの細胞内Ca2+を増加させ、インス リンはこれに拮抗して細胞内Ca2+を低下させることを発見した。この生理的意義として、食事摂取に伴い血漿インスリンが増加しグレリンが低下することに加えて、NPYニューロンへの作用においてインスリンがグレリンに拮抗することにより、全身代謝変化を効率よく脳に伝え、食事の終焉をはじめとした脳機能が発揮されることが示唆される。
11/11/10 慶應義塾大学
"Segregation and Pathfinding of Callosal Axons through EphA3 Signaling. (M. Nishikimi et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(慶應大・仲嶋教授他)
**本論文は、This Week in The Journalに取り上げられました**

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<概要>
発生期大脳皮質の神経細胞の動態を可視化し、脳梁に交連線維を伸ばす神経細胞の軸索投射パターンを解析した。その結果、内側皮質由来の線維が脳梁の背側半分を、外側皮質由来の線維が脳梁の腹側半分を走行することを見いだすとともに、この脳梁線維の正しい選別と経路選択をEphA3分子が制御していることを明らかにした。
11/11/10 ATR、慶應義塾大学
"Quantifying the quality of hand movement in stroke patients through three-dimensional curvature. (R. Osu et al.)"-Journal of NeuroEngineering and Rehabilitationにて掲載(ATR・川人所長、慶應大・里宇教授他)

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<概要>
脳卒中片麻痺上肢の運動機能を定量的評価に評価することは、リハビリテーションによる機能回復を判定するためにも重要である。そこで、運動軌道の空間的滑らかさに注目し、繰り返し到達運動中の手先軌道の曲率分布の中央値をとることで空間的滑らかさを定量化した。この曲率による指標は、SIASやFugl-Meyer Assessmentといった、検者の視認に基づく機能評価指標ともよく相関しており、定量的評価法として利用できる可能性が示唆された。また、時間的な滑らかさをとらえる躍度の指標よりも、今回提案する曲率の指標のほうが、麻痺上肢の運動の特徴をより的確にとらえていることが示された。
11/11/04 大阪大学、電気通信大学、ATR
「頭蓋内脳波で麻痺患者がロボット制御~ブレイン・マシン・インターフェースの実現に最も近い成果~」
"Electrocorticographic control of a prosthetic arm in paralyzed patients. (T. Yanagisawa et al.)"-Annals of Neurologyにて掲載(阪大・柳澤助教、吉峰教授、平田特任准教授他、電気通信大・横井教授、ATR・神谷室長他)

11/4 毎日jpにて掲載「ロボット:想像した動き再現 阪大、ALS患者で臨床研究へ」
11/3 日刊工業新聞Business Lineにて掲載「阪大、運動まひ患者の脳波でロボアーム操作-ATR・東大と実証」
11/3 時事ドットコムにて掲載「手や腕まひ、脳波でロボ動作=高精度で実現、臨床目指す―大阪大など」
11/3 共同通信にて掲載「動作念じてロボット操作 阪大教授ら、脳波解析で」
11/3 NHKnewswebにて掲載「脳波でロボットアームを操作」
11/3 YOMIURI ONLINE(関西版)にて掲載「頭でイメージ、義手動く…阪大研究グループが成功」
11/3 asahi.comにて掲載「手や腕まひ、脳波でロボ動作=高精度で実現、臨床目指す-大阪大など」

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11/10/24 ATR
"Differential Neural Correlates of Reciprocal Activation and Co-contraction Control in Dorsal and Ventral Premotor Cortices. (M. Haruno et al.)"-Journal of  Neurophysiologyにて掲載(ATR・川人所長他)

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<概要>
ヒトは外界に働きかえる際、トルクと筋肉の硬さ(stiffness)の両者を巧みに調節するが、これらは同じ脳内メカニズムによるのだろうか?今回、手首の筋活動量をバランスした上で等尺性にトルク制御、stifness制御を行う課題実行中にfMRI計測を行った。その結果、トルク制御量と背側運動前野の活動が、stiffnessの制御量と腹側運動前野の活動が、それぞれ有意な相関を示した。この結果は、二種類の制御がある程度別々に高次運動野内で計画される可能性を示唆する。
11/10/24 理研BSI
「神経細胞にたまった異常タンパク質を分解する新たな制御機構を解明~タンパク質品質管理の新しい制御メカニズムの提唱~」
"Serine 403 Phosphorylation of p62/SQSTM1 Regulates Selective Autophagic Clearance of Ubiquitinated Proteins. (G. Matsumoto et al.)"-Molecular Cellにて掲載(理研・貫名チームリーダー他)

10/21 マイナビニュースにて掲載「理研、アルツハイマーなどの「神経変性疾患」の治療につながる仕組みを解明」

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<概要>
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病などの神経変性疾患に共通する特徴は、神経細胞内に異常タンパク質の蓄積が認められることである。異常タンパク質は細胞毒性を持つため、蓄積すると細胞死を引き起こす。細胞にはプロテアソームやオートファジーといった、タンパク質を分解するシステムが備わっているが、それらのシステムを制御するメカニズムはまだよく分かっていない。本研究では異常タンパク質の分解に関与するp62タンパク質(p62)に注目し、p62のアミノ酸配列403番目にあるセリン(S403)がリン酸化されることで、分解するために目印を付加された(ユビキチン化)タンパク質と強く結合することを発見した。そしてこの複合体は、p62小体※6を形成し、タンパク質分解システムである選択的オートファジーによって分解されるメカニズムを明らかにした。実際に、ハンチントン病のモデル細胞では、分解されずに蓄積してしまう毒性のある異常ハンチンチンタンパク質(ハンチントン病の原因タンパク質)が、p62のS403リン酸化を促進させることで顕著に減少することが確認できた。細胞内異常タンパク質の蓄積によって引き起こされる他の神経変性疾患においても、S403のリン酸化を促進させることで、発症抑制の可能性が期待できる。
11/10/06 慶應義塾大学
「薬剤誘発性の統合失調症様認知機能障害の予防手段を発見~統合失調症の病態理解や治療法開発の手掛かりとなる可能性~」
"GABAergic Precursor Transplantation into the Prefrontal Cortex Prevents Phencyclidine-Induced Cognitive Deficits. (D. H. Tanaka et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(慶應大・仲嶋教授他)

10/7 マイナビニュースにて掲載「慶応大など、薬剤誘発性の認知機能障害を予防手段を発見」
10/6 化学工業日報朝刊8面にて掲載「総合失調症の認知障害  抑制性神経細胞が予防」
11/4 日刊工業新聞朝刊13面にて掲載「統合失調症治療に朗報  認知機能の低下防ぐ手法発見」
**本論文は、Schizophrenia Research ForumのResearch Newsとして取り上げられました**

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<概要>
抑制性ニューロンの前駆細胞をあらかじめ前頭前皮質に移植しておくと、統合失調症様の認知機能障害を引き起こす薬物PCPに対する抵抗性が高くなり、健康な状態をよりロバストに維持できるようになることを示した。同じ抑制性ニューロン前駆細胞を大脳皮質の他の領域に移植してもその効果はなく、また前頭前皮質に興奮性ニューロンを移植しても効果はなかった。細胞の活動性を調べた実験から、移植され分化生着した抑制性ニューロンは、神経回路のリズム活動に影響を与えるなど、神経回路を機能的に再構成することによって予防効果を発揮した可能性が考えられた。また、大脳皮質の他の領域に移植した時と違い前頭前皮質に抑制性ニューロンの前駆細胞を移植すると、なぜかリーリン陽性/ソマトスタチン陽性の抑制性ニューロンに多く分化することを発見した。リーリンは統合失調症や自閉症などとの関連が指摘されている分子であり、認知機能障害の予防効果のカギがリーリンである可能性も考えられた。
11/10/04 慶應義塾大学
"Between-subject variance in the magnitude of corticomuscular coherence during tonic isometric contraction of the tibialis anterior muscle in healthy young adults. (J. Ushiyama et al.)"-Journal of Neurophysiologyにて掲載(慶應大・牛山特任助教、里宇教授他)

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<概要>
随意筋収縮中、体性感覚運動野近傍から導出される脳波は、特徴的な律動性を示し、これが脳波を用いたブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)システムを駆動させる信号源となっている。本研究は、運動実行中の脳波の律動性に個人差があることに着目し、これと筋活動との間にみられる活動連関強度の個人差を健常成人100名において検討した。結果、脳波-筋電図間の活動連関には大きな個人差が存在し、概ね半数の被験者において有意な連関が観察された。また、この脳波ー筋電図間の活動連関強度は、脳波ならびに筋電図の律動性の強さと強い正の相関を示した。これまでBMIの操作のしやすさは、個人間で大きくことなることが経験的に知られていたが、本研究の結果は、体性感覚運動野の神経活動の律動性といったユーザーの器質的な特徴が、こうした操作性能の規定因子となることを明らかにした、基礎神経科学上の所見である。
11/10/03 慶應義塾大学
"Effects of neurofeedback training with an electroencephalogram-based Brain–Computer Interface for hand paralysis in patients with chronic stroke: A preliminary case series study. (K. Shindo et al.)"-Journal of Rehabilitation Medicineにて掲載(慶應大・新藤医長、里宇教授他)

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<概要>
脳卒中後の重度運動障害に対して有効とされるアプローチは未だ確立されていない。本研究では、慢性期脳卒中片麻痺患者を対象とし、脳波を用いたBMIニューロフィードバック訓練の効果を検証した。結果、随意的な筋活動のない患者では、新たな随意的な筋活動が見られるようになり、指の動きのある患者では運動麻痺が改善した。その機序として、経頭蓋磁気刺激による評価により、障害側の皮質脊髄路の興奮性向上が示唆され、また、運動イメージ中の感覚運動野の事象関連脱同期(ERD)はより大きくなっていた。今後、BMIを用いた訓練は、新たなリハビリテーションアプローチとして期待される。
11/09/26 生理学研究所
"Short and Intense Tailor-Made Notched Music Training against Tinnitus: The Tinnitus Frequency Matters. (H. Teismann et al.)"-PLoS ONEにて掲載(生理研・岡本特任准教授他)

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<概要>
耳鳴りは非常に一般的な病気で、患者数が多いにもかかわらず、その治療法は限られている。今回の実験で、各患者の耳鳴りの状態に適した周波数除去音楽を、1日あたり6時間、計5日間聴くことで、耳鳴周波数が8kHz以下の患者の場合、主観的な耳鳴りの状態が改善し、耳鳴りに関連した神経活動も変化することが分かった。この発見は、新しい耳鳴りの治療法の開発に役立つものと考える。
11/09/26 国立精神・神経医療研究センター
"Support for association between the Ser205Leu polymorphism of p75(NTR) and major depressive disorder. (T. Fujii et al.)"-Journal of Human Geneticsにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・藤井研究員、功刀部長他)

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<概要>
p75(NTR)のアミノ酸置換型多型Ser205Leuは大うつ病性障害リスクと関連する神経栄養因子はうつ病の発症や治療において重要な役割を果たすことが指摘されている。我々は、以前にニューロトロフィン共通の低親和性受容体p75NTRに比較的頻度の高いアミノ酸置換型多型(Ser205Leu:rs2072446)を発見し、大うつ病性障害のリスクと関連することを報告した。今回、独立したサンプル(患者668人、健常者1130人)で関連性の再現を検証したところ、Leu205アリルをもつ者はやはり健常者と比較して患者群において有意に減少しており(P=0.021, OR 0.74, 95% CI 0.58-0.96)、Leu205アリルは患者群で有意に減少していた(P=0.037, OR 0.78, 95% CI 0.61-0.99)。男女別にみると、女性において強い関連がみられたが(遺伝子型: P=0.0039, OR 0.60, 95% CI 0.43-0.85; アリル: P=0.0069, OR 0.64, 95% CI 0.47-0.89)、男性では有意な関連は認められなかった。本研究結果から、p75NTRのLeu205アリルが大うつ病性障害の発症に対して保護的効果を持ち、この関連は女性において顕著であることが示唆された。
11/09/21 東京工業大学
"Reconstruction of flexor and extensor muscle activity from electroencephalography cortical currents. (N. Yoshimura et al.)"-NeuroImageにて掲載(東工大・吉村助教、小池教授他)

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11/09/21 理研BSI
"Association study of the KCNJ3 gene as a susceptibility candidate for schizophrenia in the Chinese population. (K. Yamada et al.)"-Human Geneticsにて掲載(理研・山田副チームリーダー、吉川チームリーダー他)

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<概要>
我々の行った日本人統合失調症のゲノムワイド解析で、KCNJ3というカリウムチャンネル遺伝子が強いシグナルを示した。欧米で行われた研究では、統合失調症および双極性障害の共通感受性遺伝子としてイオンチャンネル遺伝子群が浮かび上がっていたが、KCNJ3は入っていなかった。疾患の民族による異質性に鑑み、KCNJ3は他のアジア民族でも関連するか確認するために台湾の統合失調症サンプルを解析した結果、有意な関連を示した。よって、KCNJ3は日本人と中国人に共通する疾患感受性遺伝子と考えられた。
11/09/21 生理学研究所
"Conflict caused by visual feedback modulates activation in somatosensory areas during movement execution. (T. Wasaka et al.)"-NeuroImageにて掲載(生理研・和坂特任助教、柿木教授)

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<概要>
身体運動の認識には、身体部位の体性感覚や視覚の情報と運動指令のコピーの整合性が大切である。本研究では、運動遂行中の感覚情報と運動情報の統合に関わる神経機構を解明することを目的として、実際の運動の情報とは異なる視覚情報がフィードバックされたときにみられる脳磁場反応を計測した。運動部位の視覚情報が予想していたものと異なる時、体性感覚と視覚が統合することが報告されている頭頂葉皮質に加えて、二次体性感覚野近辺の活動にも変化がみられた。この結果は、二次体性感覚野の体性感覚-運動統合に関するニューロン活動が視覚情報の影響を受けることを示しており、自己身体運動の認識に関わることを示唆している。
11/09/12 ATR
"Individuals' and groups' intentions in the medial prefrontal cortex. (T. Chaminade et al.)"-NeuroReportにて掲載(ATR・川人所長他)

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<概要>
内側前頭前野は『心の理論』の座であるが、その中に個人の意図の推定と複数のエージェント間のコミュニケーションの推定が別々に表現されているか否かは明らかでなかった。ランダムドットを用いた単純な視覚刺激で、個人とグループの意図に対応する刺激を作成し、fMRI実験を行った。その結果、内側前頭前野尾側は個人とグループの両方で賦活するのに対し、吻側はグループ刺激のみで賦活した。
11/09/07 玉川大学
「目標達成までの収益予測を計算する脳のしくみを発見~脳のドーパミン細胞の活動を記録~」
"Dopamine neurons learn to encode the long-term value of multiple future rewards. (K. Enomoto et al.)"-PNASにて掲載(玉川大・榎本研究員、木村教授他)

9/6 時事ドットコムにて掲載「ドーパミン、利益予測に関与=依存症の解明に期待-玉川大」
9/6 毎日jpにて掲載「ドーパミン:長期的利益予測に関与  玉川大が解明」
9/6 NIKKEIにて掲載『「将来の報酬」、脳はどう予測  玉川大が一部解明』

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11/09/02 国立精神・神経医療研究センター
「緑茶の旨味成分テアニンの向精神薬作用を明らかに」
"Behavioral and molecular evidence for psychotropic effects in L-theanine. (C. Wakabayashi et al.)"-Psychopharmacologyにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・若林研究員、功刀部長他)

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<概要>
疫学的データによって、緑茶の摂取はうつ病や認知症などの予防に有効である可能性が指摘されている。本研究は緑茶の旨味成分であり、グルタミン酸の誘導体であるL-テアニンの向精神薬作用について、マウスを用いた包括的な前臨床的検討を行った。その結果、L-テアニンの持続投与は、強制水泳テスト(うつ病様行動)の無動時間を減少させ、プレパルスインヒビション(統合失調症様行動)を改善させることを初めて見出した。また、L-テアニンの持続投与は海馬での脳由来神経栄養因子の発現を増加させた。培養ニューロンにL-テアニンを投与すると、細胞内カルシウムを上昇させ、この効果はNMDA受容体拮抗薬によって阻害された。以上から、緑茶の成分のL-テアニンは、抗うつ様作用、抗精神病様作用をもち、その薬理学的効果はNMDA受容体への作用やBDNFの発現上昇が関与する可能性が示唆された。
11/09/02 基礎生物学研究所

基生研・山森教授の論文が、Progress in Neurobiologyの8月号の表紙に選ばれました。
対象論文:T. Yamamori. "Selective gene expression in regions of primate neocortex: Implications for cortical specialization." Progress in Neurobiology, Vol. 94, Issue 3, 201-222, August 2011.
Cover figure:Expression of SLIT1 in macaque brain. Yamamori et al., Progress in Neurobiology, this issue pp. 201-222. The figure is cited from Sasaki et al. Cerebral Cortex 20, 2496-2510(2010).

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11/09/02 理研BSI
理研の前川素子研究員が2011 年度日本脂質栄養学会の学会賞(大塚賞)を受賞されました。
対象論文: M. Maekawa, et al. "Excessive ingestion of long-chain polyunsaturated fatty acids during developmental stage causes strain- and sex-dependent eye abnormalities in mice." Biochemical and Biophysical Research Communications, Vol. 402, Issue 2010, 431-437, 2011.

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11/09/02 理研BSI
"Schizophrenia with the 22q11.2 deletion and additional genetic defects: case history. (M. Toyosima et al.)"-The British Journal of Psychiatryにて掲載(理研・豊島研究員、吉川チームリーダー他)

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<概要>
統合失調症は、遺伝学的観点からは、複数の遺伝子/ゲノム変異が「閾値」を超えると発症に至ると考えられている。しかし、これまで特定の個人で危険変異の組み合わせを報告したものはなかった。我々は22q11.2欠失の症例を経験した。22q11.2欠失は、もっとも危険率の高いゲノム変異であるが、それでも30-40%しか統合失調症を発症しない。精査の結果、この症例はさらに GLO1遺伝子、PMX2B遺伝子の変異をもっていた。
11/09/01 慶應義塾大学
日本科学未来館の常設展示「2050年くらしのかたち[技術革新と未来]」にて、慶應大の里宇教授・牛場講師のグループのBMIを用いたリハビリテーション(ニューロリハビリ)が紹介されています
*日本科学未来館の常設展示「2050年くらしのかたち[技術革新と未来]」のHPはこちら
*ニューロリハビリの詳細はこちら

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11/08/25 平成23年度新規課題「精神・神経疾患の克服を目指す脳科学研究」(課題F:発達障害に関する研究領域、うつ病等に関する研究領域、脳老化に関する研究領域)、「精神・神経疾患の克服のための研究基盤の整備に向けた課題の検討」、「生命倫理等に関する課題の解決に関する研究」の3つの課題の実施機関等が決定いたしました

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11/08/24 ATR
"Impedance Control is Selectively Tuned to Multiple Directions of Movement. (A. Kadiallah et al.)"-Journal of Neurophysiologyにて掲載(ATR・川人所長他)

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<概要>
著者らの従来研究で、ヒトは不安定なダイナミックな環境では不安定性を打ち消すように不安定な方向のみ主動筋、拮抗筋の同時活性化によりスティッフネスの増加を学習することが分かっていた。本研究では、複数の方向に異なる不安定ダイナミックスが与えられたときに、ヒトは複数のダイナミックスを同時に学習できることを明らかにした。
11/08/12 【公募情報】※終了しました
平成23年度「脳科学研究戦略推進プログラム」(神経情報基盤)実施機関の公募について
・公募期間: 8/11(木)~9/13(火)13時(必着)
・公募説明会: 8/25(木)11時~12時15分 @新霞ヶ関ビル NISTEP会議室

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11/08/09 理研BSI
"Multidimensional Recording (MDR) and Data Sharing: An Ecological Open Research and Educational Platform for Neuroscience. (Y. Nagasaka et al.)"-PLoS ONEにて掲載(理研・長坂研究員、藤井チームリーダー他)

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<概要>
我々は、サルを用いたこれまでにない新しい研究プラットフォームとして、多次元生体情報記録技術とデータ共有サービスNeurotycho.orgを開発した。これにより、脳内の広範囲からの神経活動と詳細な行動情報を同時に記録でき、これまでに無い自由度の高い研究が可能となった。また、その莫大なデータを無償で提供することで、幅広い研究者の神経科学分野への参入を促すことが期待される。
11/07/12 横浜市立大学
「トラウマ記憶形成の分子細胞メカニズムを解明~心の傷をコントロールする新薬開発の糸口になると期待~」
"Contextual learning requires synaptic AMPA receptor delivery in the hippocampus. (D. Mitsushima et al.)"-PNASにて掲載(横浜市大・美津島准教授、高橋教授他)

7/12日本経済新聞38面(社会面)、7/12毎日新聞26面(社会面)、7/12共同通信、7/12神奈川新聞21面(社会面)、7/14朝日新聞27面、7/24読売新聞15面等に掲載「『トラウマ』の一端解明 恐怖体験でシナプス変化」

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<概要>
文脈恐怖記憶ができる際に海馬のCA3からCA1にかけて形成されているシナプスにAMPA受容体が移行し、その移行が記憶獲得に必要であるということを証明した。
11/07/11 国立精神・神経医療研究センター
"Modulation of cortisol responses to the DEX/CRH test by polymorphisms of the interleukin-1beta gene in healthy adults. (D. Sasayama et al.)"-Behavioral and Brain Functionsにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・篠山研究生、功刀部長他)

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<概要>
インターロイキン-1β(IL-1β)はストレス応答を司る視床下部―下垂体―副腎(HPA)系を活性化させることが知られており、うつ病の病態への関与を示唆する報告も多い。IL-1β遺伝子の機能的多型(rs16944)は抗うつ薬反応性に影響を及ぼすという報告もある。一方、デキサメサゾン/コルチコトロピン遊離促進ホルモン(DEX/CRH)負荷テストによって評価されるHPA系の異常も、うつ病の病態や抗うつ薬の反応性に関与するとい報告がある。本研究では、健常成人179人を対象としてDEX/CRH負荷テストを行い、IL-1β遺伝子とのgene-wideな遺伝子関連解析をおこなった。その結果、IL-1β遺伝子rs16944がデキサメサゾン投与後のコルチゾール値と関連があること(P<0.001)を初めて見出した。この結果は、IL-1βなどのサイトカインがストレスホルモンを制御するメカニズムを明らかにするうえで有用な知見となると考えられる。
11/07/08 東京大学
"Schema-Dependent Gene Activation and Memory Encoding in Neocortex. (D. Tse et al.)"-Scienceにて掲載(東大・遠山教授他)

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<概要>
以前の知識をもとに新たな学習を行う際は、新情報は既存の「スキーマ」に同化される。これにより脳は、その知識基盤を広げていくことができる。この神経機構について我々は、ラットにおける海馬依存性の対連合課題を用いて解析、 IEG産生物の組織学的解析と薬理学的実験により、内側前頭前皮質がスキーマ依存性学習の獲得と想起の双方に重要であることを明らかにした。
11/07/08 ATR   生理学研究所
「動作開始時の大脳基底核の活動から未来の運動の不安定性を予測することに成功~課題の得意・不得意は運動開始時の脳活動をみるだけでわかる~」
"Movement Initiation-Locked Activity of the Anterior Putamen Predicts Future Movement Instability in Periodic Bimanual Movement. (Y. Aramaki et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(ATR・大須室長、生理研・定藤教授他)

「ピアノの得意、不得意…脳の動きで判別可能」-Yahooニュースにて記事掲載

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<概要>
周期的な両手運動において、左右の手の運動が逆位相となるパタンは、同位相パタンに突然遷移する。この遷移確率は個人差があるうえ、開始直後の動作は比較的安定であるため、初期の運動状態から将来の運動の不安程度を予測するのは難しい。本研究は大脳基底核被殻前部の運動開始時の活動が、将来の運動の不安定度合いと強い相関をもつことを明らかにした。これは脳活動から将来の運動パフォーマンスを予測できることを示唆する。
11/07/04 【内閣府より】
平成24年度予算編成における「科学技術重要施策アクションプラン」に関する意見募集(※終了しました)

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11/06/30 基礎生物学研究所
"Selective gene expression in regions of primate neocortex: Implications for cortical specialization. (T. Yamamori)"-Progress in Neurobiologyにて掲載(基生研・山森教授)

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<概要>
私たちは、霊長類大脳皮質領野間で顕著な発現差のある遺伝子を網羅的に解析し、霊長類で特に発達した視覚野と連合野で顕著な発現を示す2つの遺伝子群を見出した。本総説では、これら視覚野、及び連合野特異的発現遺伝子群と伊佐等により運動野特異的発現を示ことが報告されている遺伝子群を加えた3群のそれぞれの遺伝子発現パターンの特徴と霊長類大脳皮質における機能的意義を示し、次に、これらの遺伝子発現が霊長類の大脳皮質の特異化に果たす役割を論じた。最後に、霊長類での遺伝子操作を含めた今後の研究の方向性を示した。
11/06/29 理研BSI
"Tau assembles into isoform- and disulfide-dependent polymorphic fibrils with distinct structural properties. (Y. Furukawa et al.)"-The Journal of Biological Chemistryにて掲載(理研・貫名チームリーダー他)

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<概要>
老化に伴う神経変性疾患にはタンパク質の異常凝集を伴うものが多い。タウタンパクはアルツハイマー病や前頭側頭型認知症などのタウオパチーの神経細胞に蓄積する、病態と密接に関連する分子である。これらの疾患においてはタウの凝集した線維の形態に違い・多様性があることがしられていたが、その違いを生ずる分子メカニズムは明らかではなかった。本研究ではタウタンパクの異なるアイソフォームのジスルフィド結合様式が凝集した線維の多様性をもたらすことを示した。また多様性のある線維のそれぞれに異なるプロテアーゼ抵抗性になる部分が生じ、これらがシード(核)となることでさらに多様性をもつ線維を生ずる可能性を示した。これにより老化脳にもっともよくみられる、タウ線維の多様性形成のメカニズムについて新たな知見がえられ、疾患特異的な凝集抑制が発症予防に必要なことが示唆された。
11/06/27 理研BSI
"A Seeding Reaction Recapitulates Intracellular Formation of Sarkosyl-insoluble Transactivation Response Element (TAR) DNA-binding Protein-43 Inclusions. (Y. Furukawa et al.)"-The Journal of Biological Chemistryにて掲載(理研・貫名チームリーダー他)

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<概要>
老化に伴う神経変性疾患にはタンパク質の異常凝集を伴うものが多い。TDP- 43は前頭側頭型認知症や筋萎縮性側索硬化症の神経細胞に蓄積する病態と密接に関連する分子である。これまでTDP-43を過剰発現などしても凝集体を形成する細胞モデルができなかった。本研究では精製したTDP-43から凝集体を形成し、その骨格となるC末端を同定するとともに、その凝集体を細胞外から細胞に導入することにより、これがシード(核)となり、細胞内凝集体を形成することを示した。これにより細胞内凝集体を形成する細胞モデルができ、今後の凝集抑制性など病態コントロールの探索の可能性ができた。
11/06/24 東京大学

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<概要>
個体レベルでのシナプスイメージングの技術を利用して、全身性の炎症反応を起こしたマウスの脳では長期間グリア細胞の一種であるミクログリアが活性化し続け、またシナプスの形成・消失も亢進することが明らかになった。今回の研究結果は脳の急性炎症後に神経回路の機能が持続的に影響を受ける可能性を示唆する。
11/06/23 慶應義塾大学

"The outermost region of the developing cortical plate is crucial for both the switch of the radial migration mode and the Dab1-dependent “inside-out” lamination in the neocortex. (K. Sekine et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(慶應大・仲嶋教授他)
**6/22号の表紙に選ばれました**
図説明:連続子宮内電気穿孔法により、マウス大脳皮質の早生まれの神経細胞(緑、胎生14.5日生まれ)と遅生まれの神経細胞(赤、胎生15.5日生まれ)を可視化し、最終配置部位を解析した。遅生まれの細胞のDab1をノックダウンすることによって移動の最終段階(terminal translocation)が阻害され、最終的な”inside-out”様式の層構造が障害されることを証明した。(シアン:Reelin、マゼンタ:核染色)

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11/06/23 東京医科歯科大学
"Dynamic Changes of the Phosphoproteome in Postmortem Mouse Brains. (T. Oka et al.)"-PLoS ONEにて掲載(東京医科歯科大・岡特任助教、岡澤教授他)

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<概要>
リン酸化タンパクの脳病態における変化が注目されているが、その研究の基盤となる脳サンプルにおける死後変化についてはほとんど知られていない。本論文では最新の質量解析を用いた網羅的解析からリン酸化タンパクの死後変化が予想外に大きいことを明らかにした。アルツハイマー病などヒト脳におけるタンパク質リン酸化解析には死後変化に対する十分な注意が必要であることが示された。
11/06/20 理研BSI
"Zic2 hypomorphic mutant mice as a schizophrenia model and ZIC2 mutations identified in schizophrenia patients. (M. Hatayama et al.)"-Scientific Reportsにて掲載(理研・吉川チームリーダー他)

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<概要>
Zic2タンパクは、片方のアレルが完全に障害されると全前脳胞症という脳奇 形を引き起こす。今回理化学研究所の有賀らは、片方のアレルの発現を部分的に減少させるマウスを作製して複数の統合失調症様表現型を観察した。そこで吉川 らがヒトサンプルをスクリーニングしたところ、統合失調症のみで409番目のアルギニンがプロリンに変化しているサンプルを見出した。このアミノ酸変化によって、Zic2の転写活性能の低下、DNA結合能の低下などが生じることが判明した。統合失調症の一部には、ZIC2の部分機能低下が関与している群が あると推測された。
11/06/17 ATR
"Cerebellar supervised learning revisited: biophysical modeling and degrees-of-freedom control. (M. Kawato et al.)"-Current Opinion in Neurobiologyにて掲載(ATR・川人所長他)

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<概要>
小脳の教師あり学習について、シナプス可塑性のバイオインフォマティクスモデ ルや、最近のシステム神経科学のデータにもとづいて、3つの新しい理論的展開を行った。まず第1にLTD,LTPの初期過程をカルシウムの増加に絞ってモ デル化し、小脳、大脳、大脳基底核が教師あり学習、統計学習、強化学習に対応している事を支持した。第2に、1個のシナプスの少ない分子数から生じる、記 憶の感受性?長寿性ディレンマを指摘し、これを解決する双安定ダイナミクスのカスケードを提案した。第3に、プルキンエ細胞ー小脳核ー下オリーブ核が作る 閉回路が、発火の同期を制御し、学習の各段階で最適の自由度を保障するというモデルを提案した。以上により、小脳の学習に関しての計算論的理解が深まり、 BMIの学習を理解することに貢献した。
11/06/15 自治医科大学
"AMP-activated protein kinase activates neuropeptide Y neurons in the hypothalamic arcuate nucleus to increase food intake in rats. (D. Kohno et al.)"-Neuroscience Lettersにて掲載(自治医科大・矢田教授他)

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<概要>
空腹/食事による脳機能調節において、視床下部弓状核による栄養素・ホルモン 感知が最初のステップとなる。空腹は弓状核のAMP-activated protein kinase (AMPK)を活性化する。しかしAMPKにより活性化される弓状核ニューロン種は同定されていなかった。本研究は弓状核においてAMPK活性化は特異的 にNPYニューロンを活性化し、NPY依存性に摂食を亢進することを明らかにした。
11/06/15 理研BSI
"Genome-Wide Association Study of Schizophrenia in Japanese Population. (K. Yamada et al.)"-PLoS ONEにて掲載(理研・山田副チームリーダー、吉川チームリーダー他)

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<概要>
我々は、統合失調症の発症に関与しているゲノム多型を探索すべく、日本人およ び近縁人族である中国人サンプル、合計2,355のサンプルを用いてゲノムワイドに10万箇所以上の一塩基多型を調べた。その結果、アジア人統合失調症で はELAVL2というRNA結合蛋白ファミリーに属する遺伝子がトップヒットとして検出された。
11/06/13 京都大学霊長類研究所
"Development of a compact and general-purpose experimental apparatus with a touch-sensitive screen for use in evaluating cognitive functions in common marmosets. (A. Takemoto et al.)"-Journal of Neuroscience Methodsにて掲載(京大霊長研・竹本研究員、中村教授他)

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<概要>
脳科学・医科学研究の実験動物として重要であるコモンマーモセットの認知機能 を効率よく検査するための装置を開発した。小型PCをベースに専用の給餌器を組み合わせた装置で、小型化・コードレス化・軽量化(およそ3kg)を図った ため、コモンマーモセットの飼育ケージに簡単に装着できるものとなった。この装置を用いて、知覚・認知・記憶等さまざまな機能を検査できる。
11/06/13 慶應義塾大学
"Regulation of Cortical Neuron Migration by the Reelin Signaling Pathway. (T. Honda et al.)"-Neurochemical Researchにて掲載(慶應大・本田助教、仲嶋教授他)

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<概要>
リーリンは、ニューロンの遊走、皮質層・神経核形成、神経突起形成、シナプス 伝達制御など、脳の健康な形成過程を制御する分子である。さらに、ゲノム解析等により、統合失調症等との関連も繰り返し報告されている。また、妊娠中のイ ンフルエンザ感染や甲状腺ホルモン等の環境因子によって発現が変化することも知られている。本総説は、リーリンによるニューロン遊走の制御機構に焦点をあ て、従来の知見を総括するとともに、今後検証すべき仮説を提示した。
11/06/10 新潟大学
"Intrasulcal electrocorticography in macaque monkeys with minimally invasive neurosurgical protocols. (T. Matsuo et al.)"-Frontiers in Systems Neuroscienceにて掲載(新潟大・長谷川教授他)

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<概要>
脳に針を刺さずに表面から電気記録する皮質脳波法は、BMIや神経科学への発 展性が期待されている。しかしヒトやサルなどの霊長類では大脳皮質の半分以上は脳の表面でなく皺(脳溝)の中にある。新潟大と東大等の共同研究で、マカク ザルの脳溝から皮質脳波を直接記録する方法を超薄型電極と顕微鏡脳手術の応用で開発し、記録と刺激における有用性を証明した。これにより全脳同時記録への重要な一歩を踏み出した。
11/06/06 東京医科歯科大、理研BSI
"Association study of Nogo-related genes with schizophrenia in a Japanese case–control sample. (D. Jitoku et al.)"-American Journal of Medical Genetics Part B: Neuropsychiatric Geneticsにて掲載(東京医科歯科大・治徳助教、西川教授他、理研・吉川チームリーダー他)

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<概要>
最近注目されている統合失調症の病理の1つに、死後脳を用いた研究から得られた、神経軸索を取り巻くミエリン系の遺伝子発現低下がある。我々は、ミエリンに関係する4つの遺伝子(RTN4, MAG, OMG, RTN4R)につき、統合失調症との遺伝的関連を調べた。その結果、RTN4R以外の3つの遺伝子は、日本人統合失調でも弱い関連が検出され、上記病理は 日本人にも当てはまることが裏付けられた。
11/06/06 東京大学
「シナプス刈り込みの分子メカニズムを解明」
"Postsynaptic P/Q-type Ca2+ channel in Purkinje cell mediates synaptic competition and elimination in developing cerebellum. (K. Hashimoto et al.)"-PNASにて掲載(東大・狩野教授他)

5/31日本経済新聞13版(社会面)にて掲載「運動担う神経細胞に不可欠 たんぱく質を特定」(東大・狩野教授)

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<概要>
生後発達期の脳では、神経回路の再編成(シナプスの刈り込み)が起こって正常 な脳機能が獲得される。この過程は神経細胞の活動に依存し、よく使われる結合が強められ、使われない結合は消滅するとされていた。今回、生後発達期の小脳 プルキンエ細胞において、P/Q型電位依存性カルシウムチャ ネルという分子が、シナプスの刈り込みに必須の活動を担っていることを明らかにした。発達期のシナプス刈り込みの異常がその後の社会性の障害につながる可能性が指摘されているが、本研究は、その基本的原理を明らかにしたものである。
11/06/03 【公募情報】※終了しました
平成23年度「脳科学研究戦略推進プログラム」実施機関の公募について
・公募を開始しました(6/2・木)
・公募説明会(6/14・火 15時00分~16時30分 @文部科学省3階 講堂)

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11/05/27 国立精神・神経医療研究センター
"Association of interleukin-1beta genetic polymorphisms with cognitive performance in elderly females without dementia. (D. Sasayama et al.)"-Journal of Human Geneticsにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・篠山研究生、功刀部長他)

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<概要>
近年、インターロイキン(IL)-1βの遺伝子多型が高齢健常男性の認知機能 低下と関連することが報告された。本研究では女性においても同様の関連があるか否かをみるために、60歳以上の健常女性99名にウェクスラー成人知能検査 を行って遺伝子関連解析を行った。その結果、IL-1βの2つの一塩基多型(rs1143634, rs1143633)と言語性IQとの間に有意な関連を認め(P=0.0037, P=0.010)、女性においても認知機能低下と関連する可能性が示唆された。
11/05/13 国立精神・神経医療研究センター
「ストレスホルモンの調節異常と睡眠の質の低下とが関連することを明らかに」
"Poor sleep is associated with exaggerated cortisol response to the combined dexamethasone/CRH test in a non-clinical population. (H. Hori et al.)"-Journal of Psychiatric Researchにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・堀研究員、功刀部長他)

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11/05/12 慶應義塾大学
「脳の海馬形成過程における精神疾患候補遺伝子の機能を解明~精神疾患の病態理解に進展~」
"Disrupted-in-Schizophrenia-1 (Disc1) is necessary for migration of the pyramidal neurons during mouse hippocampal development. (K. Tomita et al.)"-Human Molecular Geneticsにて掲載(慶應大・仲嶋教授他)

5/26日経産業新聞朝刊11面(先端技術面)にて掲載「脳の海馬正しく形成 必要な遺伝子特定」(慶應大・仲嶋教授)

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11/04/25 慶應義塾大学   日本大学
4/18日本経済新聞12面(科学技術)にて掲載「脳科学 活用への道筋~リハビリなど医療に~」(慶應大・里宇教授、牛場講師、日大・片山教授)

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11/04/11 東京大学
"Neuronal Protease-Activated Receptor 1 Drives Synaptic Retrograde Signaling Mediated by the Endocannabinoid 2-Arachidonoylglycerol. (Y. Hashimotodani et al.)"-The Journal of Neuroscienceにて掲載(東大・狩野教授他)

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11/04/11 理研BSI
"Role of polyunsaturated Fatty acids and Fatty Acid binding protein in the pathogenesis of schizophrenia. (M. Maekawa et al.)"-Current Pharmaceutical Designにて掲載(理研・前川研究員、吉川チームリーダー他)

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11/04/08 国立精神・神経医療研究センター
"Difference in Temperament and Character Inventory scores between depressed patients with bipolar II and unipolar major depressive disorders. (D. Sasayama et al.)"-Journal of Affective Disordersにて掲載(国立精神・神経医療研究センター・篠山研究生、功刀部長他)

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11/04/06 生理学研究所
「光スイッチで神経の"つながり"をオン・オフ可能に、新技術開発」
"Selective Optical Control of Synaptic Transmission in the Subcortical Visual Pathway by Activation of Viral Vector-Expressed Halorhodopsin. (K. Kaneda et al.)"-PLoS ONEにて掲載(生理研・伊佐教授、金田助教他)

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11/03/09 奈良先端科学技術大学院大学
日経産業新聞朝刊7面にて掲載「人工視覚装置 網膜刺激 負担少なく」(奈良先端大・太田教授)
3/8日経BPnetにて掲載「眼球に埋め込んで使うCMOSベースの人工視覚素子、奈良先端大などが電気刺激の安全性を向上」(奈良先端大・野田助教)

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11/03/07 ATR
日経産業新聞11面にて掲載「核心直談~脳波での操作、まず医療で~」(ATR・川人所長)

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11/03/02 大阪大学、ATR、東京大学
"Real-time control of a prosthetic hand using human electrocorticography signals. (T. Yanagisawa et al.)" -The Journal of Neurosurgery(阪大・柳澤助教、平田特任准教授、吉峰教授他、ATR・神谷室長他、東大・横井教授他)

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11/02/28 【公募情報】 ※終了しました
大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所「脳科学研究戦略推進プログラム」の実施に伴う特任助教公募

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11/02/24 横浜市立大学
「視覚を失うと触覚の機能が向上~ラットでメカニズム解明~」
"Serotonin Mediates Cross-Modal Reorganization of Cortical Circuits. (S. Jitsuki et al.)"-Neuronにて掲載(横浜市大・実木助教、高橋教授他)

日本経済新聞夕刊16面(社会面)、日刊工業新聞、日経産業新聞11面にて掲載

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11/02/18 福島県立医科大学
"A Lentiviral Strategy for Highly Efficient Retrograde Gene Transfer by Pseudotyping with Fusion Envelope Glycoprotein. (S. Kato et al.)"-Human Gene Therapyにて掲載(福島県立医科大・加藤助教、小林教授他)

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11/02/15 ATR
"Reconstruction of two-dimensional movement trajectories from selected magnetoencephalography cortical currents by combined sparse Bayesian methods. (A. Toda et al.) "-NeuroImageにて掲載(ATR・川人所長他)

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11/02/09 ATR
"The protein kinase Mζ network as a bistable switch to store neuronal memory. (H. Ogasawara et al.)"-BMC Systems Biologyにて掲載(ATR・川人所長他)

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11/02/09 ATR
"Cerebellar Internal Models: Implications for the Dexterous Use of Tools. (H. Imamizu et al.)"-The Cerebellumにて掲載(ATR・川人所長他)

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11/02/09 ATR
「個性を考慮した周期的全身運動の予測」-電子情報通信学会論文誌Dにて掲載(ATR・松原研究員、森本室長他)

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11/02/09 ATR
"Mutual Benefits of Using Humanoid Robots in Social Neuroscience."-The Oxford Handbook of Social Neuroscienceのchapter64にて掲載(ATR・川人所長)※Thierry Chaminade氏との共著

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11/01/19 大阪大学
1/17日本経済新聞20面(経済教室欄)にて掲載「個人主義と経済の関係は?」(大阪大・大竹教授、玉川大学・春野准教授)

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11/01/18 東京大学
1/12(水)20時~NHK教育「福祉ネットワーク」にて統合失調症についての特集を放送。東大・笠井教授グループの早期診断研究のことが放映されました。1/19(水)正午に再放送。

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11/01/13 大阪大学
1/11日本経済新聞夕刊14面にて掲載 「脳波使いパソコン操作 ALS患者向けに-阪大病院など研究」 (大阪大・吉峰教授、平田特任准教授)

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11/01/07 大阪大学
読売新聞朝刊1面にて掲載「介助ロボ 脳波で操作」(大阪大・吉峰教授、平田特任准教授)

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