第9回 盲点の不思議と脳の適応性を体験
2010.7 vol.16
岡崎市立河合中学校の生徒さんが、脳と視覚の不思議を体験しました。
環境に適応する脳
ダーツの的に2メートルほど離れて慣れるまで矢を投げます。的の中央に矢が当たるようになったら、視界が左に30度ずれる偏光メガネをかけます。
メガネをかけて放った矢は的の左側へ飛び出しました。でもしばらく続けると、視界がずれていても真ん中あたりに集まるようになります。これは脳が的に当てようと学習し補正して環境に適応しているからです。
脳が補う視覚の死角!?盲点
外から入ってくる光を網膜の細胞が感じて電気信号に変えます。この電気信号が神経を通って脳へ伝わることで、私たちは「見ている」と感じますが、網膜には一か所だけ光を感じない部分があります。それは網膜からの神経が集まる部分で、盲点といいます。光を感じる細胞がないため光をキャッチできないのです。
でも、見ている景色の一部が黒く抜け落ちることはありません。脳が回りの状況から判断して画像を作り出し、消えた部分を補うからです。
盲点のテストチャート
(A4の大きさまで拡大コピーして試してください)
片方の目だけでAの+をじっと見つめて、図を前後に動かし距離を調節すると、あるところ(ほぼ20cm程度)で右側にある黒い点が消えてしまいます。これが盲点です。Bでも黄色い円の抜けたところが消えて黄色の円だけに、Cは赤い丸が消えて縞模様だけになります。
未来の研究者に夢をたくす -岡崎市立河合中学校の生徒さんの感想ー
生理学研究所で、脳についての講話を聞かせていただき、とても貴重な体験となりました。僕は、理科が苦手ですが、体験を交えながらの講話だったので、脳の仕組みや盲点のことなどがよく分かりました。人の体の仕組みを科学的に解明する第一歩を体験することができ、よかったです。おかげで理科にも少しだけですが、興味を持つことができました。
自分の体のことでもあるので、この体験を今後の生活にも生かしていきたいと思います。もし、今後もこのような機会があれば、積極的に参加したいと思いました。
(3年 平山 将也)
講演や体験で、もっとも印象に残ったのは、プリズム眼鏡です。
プリズムのついた眼鏡をかけたとき、ダーツの矢を的へ何回投げても初めはなかなかあたりませんでした。その状態でしばらく練習をすると、的の中心に当たるようになってきましたが、再びその眼鏡をはずして矢を投げてみると、全く見当違いの方に飛んでいったので、とても驚きました。その後先生に「この現象は、粘土に跡をつけるようなもので、一度慣れると、もとに戻すのは大変だ」と、教えていただきました、。また、盲点では知っていたことよりも詳しく教えていただきました。
今回は貴重な体験させていただき、ありがとうございました。
(3年 足利 穂高)
南部先生のお話を聞き、脳のことについて詳しくなれました。まずは、盲点の話でした。盲点は、目の設計ミスと聞き、体験していくうちにまさにその通りと思いました。次は、プリズムのことでした。プリズム効果をつけたゴーグルをつけ、ダーツをしました。何もつけずにダーツを投げると、真ん中あたりに当たりましたが、そのゴーグルをつけると、左にそれてしまいました。慣れてきて、真ん中あたりにあてることができるようになった頃にそのゴーグルをはずしてダーツの矢を投げると、今度は右にそれてしまいました。自分の前にやった人のを見て仕組みが分かっていたものの、実際にやるとそれてしまい、とても不思議でした。今回のお話で脳や科学に興味を持つことができ、とてもよかったです。
(2年 向井 斐紀)
僕は、生理学研究所で人間の脳について話を聞きました。
はじめに、盲点と錯視の実験をしました。人間の目の中で光を感じない部分があり、そこが盲点であるということ。そして、そこだけが見えなくなるという実験をしました。しかし、日常生活ではその盲点を感じずにいるということも教わりました。
次の錯視の実験では、プリズムのついた特殊な眼鏡をかけてダーツをすると、それをかけないときと比べてどのようになるかというものでした。その眼鏡をかけてすぐの時や、外してすぐの時はダーツの矢が思ったところに投げられなくなり、不思議でした。
このようなよい経験ができる機会を与えてくださり、ありがとうございました。
(2年 横田 凱人)
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