第12回 ヒトはどのように色を見ているのか
2011.1 vol.20
岡崎市立矢作中学校の生徒さんが、色と視覚の不思議を学びました。

色を数値で表してみよう!
言葉で伝えるよりも数値で表して伝えると確実です。
色を電磁波の波長ごとの強さで表す方法と、色度数で表す方法の二つを試してみました。
色度数は色相や彩度といった色のみえにも対応しています。
①波長ごとの強さを測る

波長ごとの強さは分光放射輝度計で測ります。色が違う光は波長ごとの強さの分布が違います。しかし波長ごとの強さの分布が違う光でも同じ色の見える場合があります。それは色が脳で作られるためです。
②色度図で表す

色度は色彩輝度計で測ります。
波長ごとの強さの分布によらず、
同じ色は一つの色度で表すことができます。
例えば、X=0.6, Y=0.35 は赤色となります。
色を言葉で表現してみよう!

青と同じ色のカードを言葉のみで伝えて、Bグループがそれをあてる

ゲームです。生徒さんはうまく伝えられたようですが、やはり微妙な
色の差を言葉で伝えるのは難しいようです。
ヒトが色を知覚するメカニズム

「未来の研究者」に夢をたくす ~岡崎市立矢作中学校の生徒さんの感想~

特に印象深かったことは、自分の目がだまされたことです。全く同じ色なのに、周りの明るさが違うだけで異なる色に見え、思わず自分の目を疑いたくなるような気持ちになりました。また、簡単なゲームを通じて色を言葉で伝えることの難しさも学びました。今回のような貴重な体験ができる機会が再びあれば、積極的に参加し新たな知識を増やしたいです。
(3年 松井聡)
普段から当たり前のように認識している「色」というものが、実は電磁波の一種の可視光線というものだと知り、少し不思議な感覚でしたが、色に対する見方が変わりました。また、人間の目が色を識別する際、その色だけでなく、周りの色や明るさなども含めて総合的に判断していることにはとても驚きました。実際に実験をしてみて、とても不思議に思いました。科学に一層興味を持つことができ、よい経験となりました。
(3年 原田達郎)
小松先生のお話を聞いて印象に残ったことは、同じ色でも周りの色によって違って見えるということです。実験で、周りが明るかったり暗かったりすると濃く見えたり薄く見えたりするので、とても不思議でした。また、テレビなどの画面の白色は、顕微鏡で見ると、赤青緑の色に別れて見えていたので驚きました。今まで何気なく見ていた色について詳しく知ることができたのでとてもよかったです。
(3年 白藤百香)
普段の生活の中で当たり前に見える「色」は、言葉で伝えようとするととても難しいものでした。例えば、青の中にも濃い青色や淡い青色、清んだ青色やにごった青色あり、濃淡や色味の違いを、確実に相手に伝えるということは簡単そうでとても難しく、色はとても奥深いものだと知りました。今回の見学会で、わたしはこのようなことなどを知っていい体験ができたなあと思いました。
(3年 足立千夏)
「色を数値化する」という話を最初聞いたときは、いったいどういうことなのだろうと思いました。しかし、それは、物質から発せられる光の波長を計るという、人間の知覚とは全く違う識別の方法で、見方の違いが面白いと思いました。その中でも、白と灰色を比べたとき、調べた数値はほとんど一緒で「輝度」だけ違うというというのは、目と機会の違いを端的に表しているのではないかと思いました。人間の知覚の不思議さについて、もっとお話を聞きたかったし実験もしたかったです。ありがとうございました。
(3年 神谷 健)

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