ご挨拶

2010年8月U   伊佐 正 

相変わらず暑い夏が続いていますが、トレーニングコースが終わった直後の9−12日は山に行ってきました。9日の夕方に岡崎を出て、夜は長野県の大町に泊まり、翌日(10日)早朝から扇沢から後立山連峰の爺ケ岳を経て冷池山荘泊。翌日(11日)は鹿島槍ヶ岳に登頂して来ました。初日は曇っていて何も見えなかったのですが2日目は立山や剣岳は見えるし、立山越しに日本海や富山湾、能登半島まで見えたのには感動しました。ここ10年くらいほぼ毎年一回は家族で登山(とは言っても山小屋に泊まる軟弱登山ですが)をしてきたのですが、さすがに子供たちは二人とも学生でそれぞれに用事があり、今年は妻と二人の山行きでした。やはり2500メートルを超える山の上は別世界。良いものです。山頂近くでサルの群れに遭遇したのは驚きでした。(藪がガサゴソいうので、一瞬熊かと思いました。)ただ、最近は尾根の上でも携帯は入るし、山小屋からラボに電話したりしてしまうのは良し悪しですが・・・

先週は体験入学の学生さんを受け入れ(若い人の相手はやはり楽しい)、今週からはいよいよ学会前の仕上げにかかります。ラボの皆はそれなりに経験者ばかりなのでそうそう手の焼ける演題はないはずですが、数が多くなってくると見落とし、間違いが無いか、気をつけてかからなくては・・・

一方で、ここのところ6−7編の論文を同時並行で投稿しています。しかし、なかなかScience, Nature Neuroscienceといったhigh impact journalには届きませんね。Reviewまで行っても落とされるし、これはreviewには行くだろうと思っているものもeditorレベルで落とされるし・・・なかなか苦しい戦いを続けています。しかし一方で、これはhigh impact journalに行くだろうと思っている論文は落とされてもだいたいJournal of Neuroscienceクラスには確実に通るようになってきました。思えば30歳前後の頃はExperimental Brain Researchに概ね通せるようになった(当時EBRは今よりずっと良い雑誌だったのですが)。40前後ではJournal of Neurophysiologyに確実に通せるようになった(JNPも10年前は今よりもう少し難しかったかな?)。50歳前後になってまだいわゆるhigh impact journalにはたまにしか通してもらえないけれどJournal of Neuroscienceにはある程度安定して通せるようになってきた。私の研究者人生、かくもスローで一歩一歩やっとこさで進化している感じです。まあ、最初から、有名どころや流行の分野にぶら下がるのではなく、大学院の頃の恩師の島津先生の「流行について行くな。流行は自分で作れ」という言葉を愚直に守って自分で大事と思うことを妥協せずに一つずつ積み上げてきたのだから仕方ないといえば仕方ないのですが、あと10数年の研究者人生、これまでの基盤をもとに大きく展開して、high impact journalにある程度コンスタントに出せるような(本当に、皆が知りたいことをやっていると名実ともに実感できる)境地に至りたいものです。



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 伊佐 正 教授 
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