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心理生理学研究部門

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非侵襲的機能画像を用いた高次脳機能の研究

 認知,記憶,思考,行動,情動,感性などに関連する脳活動を中心に,ヒトを対象とした実験的研究を推進しています。脳神経活動に伴う局所的な循環やエネルギー代謝の変化をとらえる脳機能イメーシングと,時間分解能にすぐれた電気生理学的手法を統合的にもちいることにより,高次脳機能を動的かつ大局的に理解することを目指しています。機能局在と機能連関のダイナミックな変化を画像化することにより,感覚脱失に伴う神経活動の変化や発達および学習による新たな機能の獲得,さらには社会能力の発達過程など,高次脳機能の可塑性に迫ります。現在,個人間の社会的相互作用のメカニズムの解明へ向けて、2個体同時計測(3Tesla)MRIと超高磁場(7Tesla)MRIを有機的に組み合わせることを進めています。

2022sadato-1.jpg運動学習の神経基盤 
7T fMRIを用いて、一次運動野(M1)が運動の記憶痕跡(engram)を符号化していることを、学習に関連したM1の運動準備活動の増加として可視化しました。さらに、運動学習時の他の脳領域との相互作用を、7T MRSと課題および安静時のfMRIを組み合わせて評価し、認知的制御に基づく運動学習は、前頭-頭頂実行ネットワーク(FPN)との遠隔結合を反映したM1のGABA/グルタミン酸比の局所的な変化と関連しており、ネットワークレベルの運動学習記憶形成を表していることが判明しました。

 

 

2022sadato-2.jpg

協力の神経基盤
協力のメカニズム解明には二人組の協力行動や脳活動を同時に計測・画像化する手法が必須です。そのような手法(hyperscanning fMRI)を開発し、右側頭頭頂接合部が他者との協調に重要であることを発見しました。(北海道大学・阿部匡樹准教授らと共同研究)

 

代表的な論文情報

*Hamano YH et al. Neurosci Lett 760:136081 (2021)
*Maruyama S et al. Sci Rep 11:18566 (2021)
*Abe MO et al. Neuroimage 191:150-161(2019)