日 時 | 2015年11月10日(火) 12:10 より 13:00 まで |
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講演者 | 佐藤幸治 先生 |
講演者所属 | 生理学研究所 生体制御シグナル研究部門 |
場 所 | 生理研山手地区 3号館2階共通セミナー室 |
お問い合わせ先 | 乾 幸二(生理研・感覚運動調節研究部門 #7754) |
要旨 |
嗅覚や味覚などの化学感覚系では、種ごとに多様化した受容体やシグナル伝達関 連分子が機能しており、外界の化学物質認識に寄与している。脊椎動物の匂い応 答では、細胞内に流入したカルシウムはイオンチャネルのネガティブフィード バックによる脱感作や、クロライドチャネルの活性化による応答増幅、転写因子 の核移行など様々な細胞生理機能に関わっている。我々は細胞内カルシウム濃度 を自在に制御し、その細胞機能を解析するために、カルシウムチャネルを活性化 する光スイッチ(BACCS)を開発した。BACCSは光受容部にLOVドメインを用い、 光刺激によりOrai1チャネルを特異的に活性化できるようにデザインした。Orai1 はユビキタスなチャネルであり、BACCSは様々な動物種から作製することができ る。BACCSを発現した細胞では、光刺激によりカルシウム流入が生じ、遺伝子発 現などのカルシウムが関与する細胞機能が活性化される。我々は、匂い応答にお ける細胞内カルシウムの役割について検討するため、このチャネルをマウス嗅神 経細胞特異的に発現させた。本講演ではBACCSを発現したマウス嗅上皮表面にお ける、光刺激による細胞外電位変化について発表する。また最近、光受容部に CRY2を用いたツールも発表され(Kyung et al., Nat. Biotech. AOP)、その比 較も試みる予定である |