ヒトの随意運動抑制過程を検討するため、体性感覚刺激Go⁄Nogo課題を行なった際に、脳波と脳磁図(MEG)を同時計測した。刺激後約170 msにおいて、Nogo試行時に特異的な脳反応が記録された。その発生源について信号源推定を行なったところ、運動指対側半球である左半球下前頭溝(inferior frontal sulcus)の後部周辺に推定された(図1)。このことは運動抑制過程に関係する前頭前野における神経活動の時間的経過を示したものと考えられる。
Nakata H, Inui K, Wasaka T, Akatsuka K & Kakigi R (2005) Somato-motor inhibitory processing in humans: A study with MEG and ERP. Eur J Neurosci, 22(7): 1784-1792.
左手の第2(赤い丸)・5指(青い丸)に電気刺激をし、Go試行時には右手の親指でボタン押しを行なうGo⁄Nogo課題。
Nogo試行時において、いずれの条件でも左半球下前頭溝の後部周辺に特異的な反応が見られた。