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イノシトールリン脂質による ATP 受容体チャネル P2X2 の 脱感作とイオン選択性の調節

2006年11月17日 研究報告

概要

イノシトールリン脂質 (PIPn) は、種々のイオンチャネルの活性を制御することが知られている。本研究において我々は、ATP 受容体チャネルP2X2もまた PIPn によって調節を受けることを明らかにし、さらに、その構造基盤にアプローチすると共に、活性調節とポアの拡大現象との連関について解析した。ツメガエル卵母細胞を発現系として用いた 2本刺膜電位固定法による電気生理学的解析において、PI3 kinase のブロッカーは、P2X2チャネルの脱感作を加速した。また、C 末端細胞内部の膜貫通部位直下領域(近位細胞内領域)に存在する陽電荷を持ったアミノ酸残基の点変異 K365Q, K369Q によっても、脱感作は加速した。さらに、ATP 投与後、N-methyl-D-glucamine (NMDG) に対する透過性が一時的に増加し、その後、脱感作の進行に伴って減少すること、その減少速度が、PI3 kinase のブロッカー、および上記点変異により加速することを観察した。また、近位細胞内領域のレコンビナント蛋白を用いた解析により、ニトロセルロース膜上でのPIP およびPIP2 に対する結合が確認された。さらに近位細胞内領域にEGFP を付加して培養細胞に発現させた実験により、この領域が細胞膜に結合していることが観察された。以上の結果から、細胞膜に存在するPIPnが、P2X2 チャネル C末端の近位細胞内領域の陽電荷に富む領域に、静電的相互作用によって結合することによって、チャネル活性の維持とイオン選択性の調節に、重要な役割を果たしていることが示唆された。

論文情報

Fujiwara Y and Kubo Y (2006) Regulation of the desensitization and ion selectivity of ATP-gated P2X2 channels by phosphoinositides. Journal of Physiology 576: 135-149.

【図1】

20061117_1.jpg

膜に結合した PIPn と、P2X2 チャネル近位細胞内領域の静電的相互作用が、チャネル活性の維持に役割を果たしている。ポアの拡大に伴っておこる構造変化により、両者の結合が不安定化し、脱感作状態に向かう。また、PIPn 量の減少や、近位細胞内領域の陽電荷を持ったアミノ酸残基の変異により、脱感作に向かいやすくなる。

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