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メチルパラベンがTRPA1チャンネルを活性化して疼痛を引き起こす

研究報告 2007年6月14日

概要

パラベン類はその防腐効果のために多くの食品や化粧品などに添加されています。しかし、その防腐作用のメカニズムはよくわかっていません。また、化粧品の中に皮膚に刺激性の成分があることはよく知られていましたが、それがどの成分なのかは明らかではありませんでした。侵害刺激受容体の1つTRPA1チャネルの刺激物質であるワサビの主成分アリルイソチオシアネートやシナモンの主成分シナモアルデヒドに抗菌作用があることはよく知られています。そこで、パラベン類がTRPA1に作用するかもしれないと考えて、実験を行いました。Ca-imaging法、パッチクランプ法を用いて解析したところ、パラベン、とくにメチルパラベンがTRPA1を特異的に活性化することが異所性発現系および感覚神経細胞で明らかになりました。また、マウス個体レベルでも、メチルパラベンがTRPA1活性化を介して疼痛関連行動を惹起することが判明しました。これがメチルパラベンによる皮膚刺激作用の1つのメカニズムだと考えられます。本実験結果は、広く用いられているパラベン類について注意をうながす成果ですし、TRPA1阻害による鎮痛薬開発にも役立つものと思われます。

論文情報

Methyl p-hydroxybenzoate causes pain sensation through activation of TRPA1 channels Fujita F, Moriyama T, Higashi T, Shima A, Tominaga M. Br J Pharmacol 151: 134-141, 2007.


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