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酸味受容チャネル複合体PKD1L3-PKD2L1のオフ応答特性

研究報告 2008年6月12日

概要

リガンド作動性イオンチャネルは感覚受容や神経伝達において重要である。PKD1L3-PKD2L1チャネル複合体は、酸で活性化される酸味受容体の候補の一つである。我々は、プロトン作動性のPKD1L3-PKD2L1チャネルは酸刺激が取り除かれた後でのみ活性化されるという特徴的な性質を持つことを報告する。我々はこの性質をオフ応答と命名した(以前の報告では遅延応答と記述されていた)。電気生理学的解析によって、酸によって引き起こされる応答は、pH3.0以下の酸溶液が取り除かれた後にのみ観察されることが示された。pH2.5にさらされた後では、PKD1L3-PKD2L1チャネルの活性化にはわずかなpHの上昇で十分であった。これらの結果は、PKD1L3-PKD2L1チャネルは、刺激によって活性化されるが刺激が取り除かれるまでは開口しないオフチャネルとでも言うべき新しいタイプのチャネルであることを示す。PKD1L3-PKD2L1チャネルのオフ応答特性は酸味感覚で生じる生理学的な現象を説明できるかもしれない。

平成20年6月7日(土) 読売新聞 朝刊 他新聞各社に掲載されました。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news/20080606-OYT8T00934.htm

論文情報

Hitoshi Inada, Fuminori Kawabata, Yoshiro Ishimaru, Tohru Fushiki, Hiroaki Matsunami & Makoto Tominaga.
Off-response property of an acid-activated cation channel complex PKD1L3-PKD2L1.
EMBO Rep. 2008 Jun 6. [Epub ahead of print]

【 図 】 PKD1L3-PKD2L1チャネルのオフ応答特性

(A-C) PKD1L3-PKD2L1チャネルを発現する培養細胞のCa2+イメージング解析.PKD1L3-PKD2L1チャネルの応答は、酸刺激が取り除かれた後にのみ観察される.個々の細胞(B)または平均したもの(C)の応答.(D) PKD1L3-PKD2L1チャネルを発現する培養細胞のパッチクランプ解析.

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