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大脳皮質の錐体細胞に分布する抑制性シナプスの形態と機能

研究報告 2015年7月 8日

窪田芳之、畑田さゆり、山口登、川口泰雄
九州大学 根東覚
京都大学 野村真樹
同志社大学 苅部冬紀
ユーリッヒ研究所(ドイツ)Joachim Lüebke
ケナ大学(エジプト)Alsayed Alsayed Mohamed

ラットの大脳皮質前頭野の錐体細胞上に分布する抑制性シナプスに着目して、形態学的、生理学的な解析を行った結果、2つの抑制原理を理解するに至りました。まず、非錐体細胞の抑制性神経終末のジャンクションの面積とターゲットの大きさは奇麗に相関していました。ターゲットが小さい場合には小さい抑制シナプス電流を、大きい場合は大きい抑制シナプス電流を入れる事で均等な抑制効果を得るのであろうと考えられます。また、FSバスケット細胞の抑制様式は3つの様相(細胞体の抑制、樹状突起の抑制、棘突起の抑制)を持ち、それぞれ異なった機能を持つ事がわかりました。細胞体の抑制は最も強い抑制です。一方、樹状突起への抑制は小さく近傍のみに影響を与えます。棘突起への抑制はとても小さく棘突起頭部のみを抑制する効果がある事がわかりました。FSバスケット細胞は、この3つの抑制様相を使って、ターゲットの錐体細胞の活動を効率よく抑制している事が推測でき、大脳皮質の活動を上手に制御していると考えられます。

論文情報

Yoshiyuki Kubota, Satoru Kondo, Masaki Nomura, Sayuri Hatada, Noboru Yamaguchi, Alsayed A. Mohamed, Fuyuki Karube, Joachim Lübke, Yasuo Kawaguchi
Functional effects of distinct innervation styles of pyramidal cells by fast spiking cortical interneurons
eLife (2015) eLife.07919, online publication

図:大脳皮質FSバスケット細胞の5層の錐体細胞への抑制性神経支配様式

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