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研究活動

バイオフォトニクス研究部門

研究部門メンバー

光技術を駆使した革新的バイオイメージングによる生理機能の解明

 私たちは、レーザー光学、材料化学等の先端的の技術を駆使し,革新的なバイオイメージング法の研究開発とその基礎医学への応用を牽引しています。特に、多光子励起過程、非線形光学過程を活用し、生きた個体、組織での非侵襲的なイメージング法や操作法を広範囲化、超解像化、超高速化を世界的に先導しています。これにより、生理機能の定量的な可視化解析法を実現し、神経回路や神経活動、開口放出などの可視化解析から、生体リズムなどを含む生理機能の創発原理やその分子基盤の理解を目指します。
 最近、私たちは近赤外超短光パルスレーザーや補償光学を用い、世界最深部の生体断層蛍光イメージングが可能な多光子顕微鏡の開発に成功しました。生きたマウスの生体脳の表面から約1.6mmという世界深部の海馬歯状回の神経細胞の断層撮像を実現したのみならず,海馬CA1ニューロンの活動をビデオレートで観察することに成功しました。また,細胞機能の長期イメージング技術を駆使し、哺乳動物における生体リズム,24時間周期の概日性リズムの生成とその機能についての研究を推進しています。一方、生細胞における微細な形態や分子の動態を電子顕微鏡に迫る分解能で撮像を可能とする超解像顕微鏡法の研究開発も推進しています。さらに、高速3次元イメージングを用いて、局所神経回路の機能の創発原理の解明、内分泌・外分泌腺や植物細胞の生理機能、疾患発症の分子機構の基礎の解明に応用しています。
 本研究部門では、生命科学はもとより、応用物理、有機化学、基礎医学、薬学にわたる多様な研究室と広く連携し、共同研究を展開しています。そして、生体内での生理現象をありのままで捉えることが可能なイメージング法の高度化と神経・分泌の細胞生理学とをそれぞれ縦、横の糸として、新しい学際領域の創成を推進したいと考えています。新しい学問の開拓への情熱を共有できる大学院生や若手研究者を募集しています。




(A)2光子STED顕微鏡による超解像イメージング。(B)画像処理を用いた生体脳超解像イメージング。(C)視交叉上核ニューロンのCa2+および転写リズムの寒冷による停止とリセット。(D) 視交叉上核ニューロンにおける細胞質-核内Ca2+の同位相リズム。

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代表的な論文情報

*H.Ishii et al.,PLoS One, 18, e0290550
*M. Tsutsumi, et al., Front. Cell. Neurosci, 17, 1243633 (2023)
*R. Enoki, et al., iScience,26, 108390, (2023)
*S. Hiro,et al., Front. Neurosci.17, 1323565 (2023)