Research

研究活動

多感覚統合システム研究部門

研究部門メンバー

多様な認知行動を導く多感覚時空間統合の脳回路機構の解明

 状況に応じて複数の感覚情報を統合し、運動出力に至る一連の認知行動・意思決定の神経ネットワークダイナミクスを明らかにします。さらに、霊長類の心や精神・知性の起源となる多感覚統合による認知的多様性の生物学的基盤の解明を目指します。人類を含む動物の意思決定・行動選択の複雑さ・多次元さを導く脳神経回路動態を解明するため、高次脳を有する非ヒト科霊長類モデル動物を用いた研究を主軸に、多種間での実証比較により、その進化的背景を問う必要があると考えています。
 具体的な手法として、ヴァーチャルリアリティ (VR)を導入し、自然環境をリアルに再現し、さまざまな環境下における多様な認知行動様式をマルチスケールに定量化しながら、大規模神経活動記録による計算論的解析と光遺伝学を導入した神経回路操作を同時に組み込むことで機能・因果両側面から明示しようとするのが狙いです。とりわけ、モーションシステム、空間認知ナビゲーションシステム、報酬獲得戦略、追跡・回避システム、さらには感覚情報の巧みな統合処理によって生まれる芸術性認知、そしてそこから引きおこる感動・情動の生成機序解明にも発展させていきます。

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代表的な論文情報

*Sasaki R et al. (2024) Science 383(6678):55-61
*Sasaki R et al. (2020) Nat Neurosci 23(8): 1004-1015
*Sasaki & Uka. (2009) Neuron 62(1): 147-157