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セミナー詳細

2005年07月06日

電位センサーをもつイノシトールリン脂質ホスファターゼ Ci-VSPの機能

日 時 2005年07月06日(水) 12:20 より 13:00 まで
講演者 村田 喜理
講演者所属 岡崎統合バイオサイエンスセンター・神経分化研究部門・特別研究員
お問い合わせ先 本田 学(心理生理学)
要旨

従来、膜電位変化による情報伝達は、電位依存性イオンチャネルによる、イオ ンの移動を介して行われる経路のみが知られていた。今回我々は、脊椎動物の 祖先と関連が深い尾索動物ホヤ(Ciona intestinalis) のゲノムから、イオンチ ャネルとは異なる仕組みで電気的情報を細胞内へ伝達する新しいタンパク質を 発見した。Ci-VSP (Ciona Voltage Sensor-containing Phosphatase) と名付け られたそのタンパク質は、電位感受性イオンチャルと同様の、4つの膜貫通ド メインを持つ電位センサーをもちながら、イオン透過路を欠いており、その代 わりに、ホスファターゼ活性を示すPTENと相同性を示す、酵素ドメインを持っ ていた。
我々は、Ci-VSPが実際に膜電位感受性を持つこと、酵素ドメインがPTENと同様 のイノシトールリン脂質を基質とするホスファターゼ活性を示すことを確か め、さらに、この膜電位感受性と酵素活性がカップルしていることを見いだし た。Ci-VSPは、イオンの移動なしで、膜電位変化を直接酵素活性の制御に用い る、全く新しい情報伝達分子である。

  • Murata Y., Iwasaki H., Sasaki M., et al., Phosphoinositide phosphatase activity coupled to an intrinsic voltage sensor. Nature. 2005 Advance Online Publication, doi:10.1038/nature03650
  • Okamura Y., Nishino A., et al., Comprehensive analysis of the ascidian genome reveals novel insights into the molecular evolution of ion channel genes. Physiol. Genomics, in press