日 時 | 2006年09月21日(木) 12:20 より 13:00 まで |
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講演者 | 柴崎 貢志 助手 |
講演者所属 | 岡崎統合バイオサイエンスセンター 生命環境研究領域 細胞生理部門 |
お問い合わせ先 | 分子神経生理部門 小野 勝彦 |
要旨 |
古典的な研究により、我々が体温を維持していることにより神経活動が室温条件 下よりも活発になっていることが、温度条件を変化させた電気生理学的解析や脳 波解析により明らかとされている。しかしながら、どのような分子メカニズムで 体温を情報源とした神経活動上昇が起こるのかは全く未解明である。近年、様々 な温度により活性化する温度センサー蛋白質としてTRPチャネルが同定された。 現在までに9つのTRPチャネルが温度センサーとして機能することが明らかとなっ ている(2つが熱刺激の受容、2つが冷刺激の受容、残りの5つが体温近傍の暖か さを受容)。最近、演者は体温近傍の温度により活性化する温度センサー蛋白 質・TRPV4が脳に広範に存在すること、特に海馬において高発現が見られること を見いだした。TRPV4はカルシウム透過性の高い非選択的陽イオンチャネルであ る。ここに着目し、野生型、TRPV4欠損型の海馬神経細胞を用いた電気生理学的 解析を行い、体温によるチャネルの活性化、陽イオンの流入、海馬神経細胞の静 止膜電位の脱分極が引き起こされることを明らかとした。今回の昼食セミナーで は、TRPV4の発現分布、神経細胞内局在、神経機能への影響に焦点をあててお話 を進めたい。そして、我々が体温維持をすることにより神経細胞が興奮しやすい 土台環境を作り出していることを考察したい。 |