日 時 | 2006年12月15日(金) 15:00 より 16:00 まで |
---|---|
講演者 | 釜澤 尚美 先生 |
講演者所属 | Department of Biomedical Sciences, Colorado State University |
お問い合わせ先 | 脳形態解析研究部門 重本 隆一 |
要旨 |
Freeze-fracture Replica Immunogold Labeling (FRIL)は、藤本が開発した SDS-FRL法(1)を基に、レキサンを利用した replica grid mapping法(2)を組み 合わせた手法で、電子顕微鏡の観察結果を組織の切片像と対応させて解析する ことができるため、中枢神経系のような複雑な組織の解析に有用である。本講 演では、FRILの手法を紹介するとともに、FRILを用いた研究例として、ギャッ プ結合の構造の多様性について、またギャップ結合と神経伝達物質受容体の局 在と両者の関連性について考察したい。 Rashらは中枢神経系において、ギャップ結合を構成するタンパク、コネキシ ン(Cx)の細胞種特異的な発現をFRILの結果を基に提案してきた(3)。従来ギャ ップ結合は斑状 (plaque) を呈すると考えられてきたが、 最近我々は、コネク ソンがひも状や網状に会合したギャップ結合を網膜の神経細胞間に見いだした (4)。また、ギャップ結合の数、大きさも中枢神経系の部位によって非常に多様 であり、数個から数千個のコネクソンで形成されるギャップ結合が存在した。 さらに、ギャップ結合は神経伝達物質受容体と高頻度に隣接して観察された。 これらの多様な形態および局在様式は、ギャップ結合の未知の役割を示唆する と考えられ、超微構造学から得られた新しい知見として興味深い。
|