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セミナー詳細

2007年01月11日

放出可能なシナプス小胞プールの補充のCa依存性とその機能的役割

日 時 2007年01月11日(木)
講演者 細井 延武 先生
講演者所属 マックス-プランク生物物理化学研究所 膜生物物理研究部門研究員
お問い合わせ先 井本敬二(神経シグナル 5886)
要旨

放出可能なシナプス小胞のプールはいったん枯渇すると数秒の時定数で補充される。Calyx of Heldシナプスにおいて、この補充過程は、シナプス前終末での活動依存的なCa2+濃度上昇によってCa2+/calmodulin依存的に促進されることが明らかにされている(Sakaba et al., 2001)。しかし、シナプス小胞プールの補充速度とCa2+濃度との間の定量的な関係は、いまだ明らかにされていない。そこで、プール補充の単純なモデルを構築し、ペアパルスを用いて、シナプス小胞プールを枯渇させた後のEPSCとシナプス前終末のCa2+濃度を同時に測定することによって、補充速度とCa 2+濃度の関係を定量的に調べた。その結果、小胞プールの補充速度は、シナプス前細胞のCa2+濃度に対して直線的に速くなり、 cooperativityは見られないことが明らかになった。実験データに基づいてプール補充のモデルから推定したところ、プール補充速度は、100 Hzの生理的なスパイク列の刺激中に、刺激前に比べて10倍ほど速くなっていることが分かり、この Ca2+依存性の補充速度の促進が、高頻度刺激中の持続的なシナプス伝達を維持していることが分かった。