日 時 | 2007年02月21日(水) 13:30 より 14:30 まで |
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講演者 | 東原 和成 先生 |
講演者所属 | 東京大学新領域創生科学研究科、助教授 |
お問い合わせ先 | 岡田泰伸 (機能協関) (内線 7731) |
要旨 |
多くの生物では、食物認知、個体認識、生殖行動の誘発など生存に不可欠な行 動や習性に匂いやフェロモンが深く関わる。匂いセンサーである嗅覚受容体 は、多重遺伝子群を形成しており、Gタンパク質共役型受容体のなかでも最大 のサブファミリーを形成している。我々は、嗅覚受容体の機能解析を、単一匂 い応答嗅神経細胞からの機能的クローニングという逆転の発想で成功させ、そ の後、嗅覚受容体が多種多様な幅広い匂い分子を正確に識別するメカニズムを 明らかにしてきた。また、カイコガ性フェロモンの受容体の同定および機能解 析に成功し、高感度・高選択性の昆虫フェロモンセンサー機構を明らかにし た。マウスでは、遺伝子にコードされている新規ペプチドがオスの涙腺から分 泌されてメスの鋤鼻器官に取り込まれ、V2R受容体発現神経を刺激することがわ かった。空間を飛びかう匂いやフェロモン、また、飛ばない不揮発性フェロモ ンの受容機構の解析を通して得られた知見をもとに、哺乳類、昆虫、植物など 生物全般の嗅覚を介した個体間コミュニケーションのやりかたの進化的変遷を 議論したい。 |