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研究活動

セミナー詳細

2007年05月23日

遺伝子改変マウスの表現型解析を起点とした精神疾患の研究

日 時 2007年05月23日(水) 16:00 より 17:00 まで
講演者 宮川 剛 教授 
講演者所属 藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医科学研究部門
お問い合わせ先 池中 一裕 (分子神経生理)
要旨

演者らはこれまで、「脳で発現する遺伝子の機能の最終アウトプットレベル は行動である」という発想から、多くの遺伝子改変マウスの系統について「網羅的行動テストバッテリー」を行うことにより遺伝子の機能探索を行ってきた。この戦略により演者らは、カルシニューリン(CN)が統合失調症の発症と関係しているであろうことを報告したり、ダウン症の症状の多くを説明 するメカニズムを明らかにするなどの成果を上げてきた。演者の研究室では、2003年の発足以来、国内外40以上の研究室との共同研究で、50以上の異なる系統のマウスに対して既に一通りの網羅的行動テストバッテリーを行っており、遺伝子改変マウスの行動表現型の網羅的解析について国内で突出した最大の拠点となっている。この結果、既に数系統の精神疾患様の顕著な行動異常を示すマウスを同定することに成功しているが、本セミナーでは、これらのマウスのうち、主に CaMKIIαヘテロノックアウト(HKO)マウスの行動と脳の異常を例にとって紹介し、遺伝子改変マウスの表現型解析を活用した精神疾患研究の今後の展望についても議論する。