日 時 | 2007年07月12日(木) 16:00 より 17:00 まで |
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講演者 | 小川 泰弘 研究員 |
講演者所属 | University of Connecticut Health Center・神経科学 |
お問い合わせ先 | 池中 一裕 (分子神経生理部門) |
要旨 |
ニューロンは情報のアウトプットを、軸索を介して行う。この情報処理を調節する部位がAxon Initial Segment (AIS)と考えられており、ナトリウムチャネルの局在が観察される。また、有髄繊維と呼ばれる軸索は、グリア細胞の細胞膜が幾重にも巻かれた構造をしており、結果として伝達の効率化を担う構造になっている。これは、Node of Ranvierと呼ばれるミエリン間のギャップにおいてナトリウムチャネル(Nav)の局在化がおこることによる。このミエリン様の構造は、さまざまな進化系譜上でも観察されていることは興味深い。 今回我々は、Ranvier構造のうち、ナトリウムチャネルが局在するNodeの両脇に位置するParanode膜の性質がLipid Raftであることを見いだし、この性質を利用することでParanode膜の精製を行い、それに含まれるタンパク質を同定した。そのうち、膜の裏打ちタンパク質としてαII-、βII-spectrinが Juxtaparanode及びParanodeに、AnkyrinBがParanodeに局在し、これらは膜タンパク質及び互いに結合することを示した。さらに、未発表データとして、エンドサイトーシス関連タンパク質、endophilinA2が末梢神経系において、 Paranodeに局在することを示す。これらの所見は、Paranode構造をメンテナンスするものと示唆される。 また、Paranodeを挟んでNodeの反対側をJuxtaparanodeと呼びKv1チャネルが局在しているが、興味深いことにAISにおいて、NavチャネルだけでなくKv1チャネルが局在し、この局在には、チャネルの足場となるPSD-93が必要であることを示す。 【参考文献】
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