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セミナー詳細

2008年01月16日

AMPA受容体動態制御機構:蛋白質複合体解析によるアプローチ

日 時 2008年01月16日(水) 12:20 より 13:00 まで
講演者 深田 優子 准教授 
講演者所属 生体膜研究部門
お問い合わせ先 東島 眞一 (統合バイオ・神経分化)
要旨

神経シナプス間の情報伝達効率は外界刺激に応じてその機能が変化し、記憶や学習など脳の高次機能を担っている。脳内の主要な興奮性シナプス伝達を司る AMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)は神経活動に応じてその活性(質)とシナプス発現(量)が時間・空間的に制御され、シナプス伝達効率を規定している。したがって、AMPA受容体の機能や動態を制御する分子機構の解明は現在の脳科学の最重要課題の一つと考えられている。私どもはAMPA受容体に関連した脳内蛋白質複合体を精製することにより、1)AMPA受容体の動態を制御する主要制御分子がStargzainとPSD- 95であることを示し、また2)細胞外からAMPA受容体機能を特異的に促進する新規のリガンド・受容体LGI1/ADAM22を同定した。 Stargzain、LGI1、ADAM22いずれの変異もシナプス伝達の異常が原因と考えられるてんかん発症に関連しており、私どもの手法は遺伝学的にも支持されうる生理的なシナプス蛋白質ネットワークを同定したものと考えられた。現在は新規のシナプス伝達修飾分子と考えられるLGI1に着目し、 LGI1の作用機構とLGI分子ファミリーの機能多様性を解析している。本セミナーではシナプス伝達制御とその破綻のメカニズムに対するアプローチとしての蛋白質複合体解析について紹介したい。