日 時 | 2008年06月13日(金) 12:20 より 13:00 まで |
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講演者 | 足澤 悦子 先生 |
講演者所属 | 生理学研究所 脳形態解析研究部門 |
お問い合わせ先 | 窪田芳之(大脳神経回路論) |
要旨 |
中枢神経系の主要な興奮性シナプス伝達は主にAMPAおよびNMDA受容体により担われている。これら受容体のシナプス内発現様式は入力線維の違いにより発現レベルや発現密度、シナプス内二次元分布の点で異なることが報告されているが、シナプス応答特性にどのように影響しているのかはわかっていない。そこで、ラット外側膝状体の中継細胞上に形成される2種類のグルタミン酸作動性シナプス、retinogeniculate (RG)シナプスとcorticogeniculate (CG)シナプスにおいて、受容体の発現レベルや発現密度、またシナプス内二次元分布がどのように異なり、それらがシナプスの伝達特性にどのように影響するかをSDS-FRL法 (SDS-digested freeze-fracture replica labeling法)およびシミュレーションにより解析した。その結果、両シナプスには同レベルのAMPA受容体が発現するが、AMPA受容体密度やシナプス内二次元分布は異なることが明らかになった。一方NMDA受容体は両シナプス間で発現レベルは異なるが、二次元分布は類似していた。SDS-FRL法から得られたシナプス内受容体分布情報をもとにシナプス応答のシミュレーションを行った結果、AMPAおよびNMDA受容体応答の大きさは、どちらもその受容体発現数に依存することが示唆された。また、AMPA受容体応答はNMDA受容体応答に比べてシナプスの大きさや受容体密度、さらに、受容体のシナプス内二次元分布の影響を受けやすいことが示唆された。これらの受容体発現様式が個々のシナプス応答特性の基盤になっていると考えられる。 |