日 時 | 2008年07月24日(木) 12:20 より 13:00 まで |
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講演者 | 出馬 圭世 先生 |
講演者所属 | 生理学研究所 心理生理研究部門 |
お問い合わせ先 | 窪田芳之(大脳神経回路論) |
要旨 |
自分が他者からどう見られているか(評判: reputation)は我々の普段の行動に多くの影響を持つ。「自分に対する良い評判」は、食事をおごる、同僚の仕事を手伝う、寄付をする、などの向社会的行動のインセンティブの一つであると考えられている。そこで、本研究では、「自分に対する他者からの良い評判は、金銭報酬と同様に脳の報酬系を賦活させる」という仮説を検討した。機能的核磁気共鳴装置(fMRI)内で、自分に対する良い評判と金銭報酬を知覚させると、報酬系として知られる線条体の賦活が共通して見られた。これは、他者からの良い評判は、報酬としての価値を持ち、脳内において金銭報酬と同じように処理されているということを示している。この結果は、様々な異なる種類の報酬を比較し、意思決定をする際に必要である「脳内の共通の通貨」の存在を強く支持しており、複雑なヒトの社会的行動の神経科学的理解への重要な最初の一歩である。 |