日 時 | 2008年07月14日(月) 13:00 より 14:00 まで |
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講演者 | 遠藤 利朗 先生 |
講演者所属 | 研究員 スウェーデン・カロリンスカ研究所 |
お問い合わせ先 | 伊佐 正(認知行動発達機構 内線 7761) |
要旨 |
脊髄には、上位の中枢からの指令や感覚のフィードバックなしに歩行や泳ぎ、ひっかき反射の際の体幹・四肢の運動リズムと基本的な運動パターン(左右の筋および伸筋―屈筋の交互の活動)を生成することの出来る神経回路が内在しており、その神経回路は中枢パターン生成器(Central Pattern Generator, CPG)と呼ばれている。これらの運動中に、四肢の伸筋と屈筋を支配する運動ニューロンはCPGからのシナプス入力を受け、それぞれ相互に逆位相となる律動的な活動を示す。CPGの基本的な構造については、互いに逆位相で活動する伸筋関連モジュールと屈筋関連モジュールがあり、それらの相互の結合によってリズムとパターンを生成する回路が形成されていると考えられている。しかし、内部の詳しい構造や、これらのモジュールが相互に対称な関係なのかどうかといった点についてはいまだ議論が分かれている。本研究では、新生仔マウスから単離した腰髄標本を用いて、薬剤(5-HT、NMDA、dopamine)によって誘発した歩行様活動中の運動ニューロンへの興奮性と抑制性のシナプス入力、すなわち CPGの出力パターンを定量的に解析することにより、CPGの構造と動作機序について推測することを試みた。その結果、各モジュールから運動ニューロンへのシナプス入力には、相互の相対的な大きさや歩行リズムとの位相関係において大きな非対称性が存在することが明らかとなった。この結果を基に、CPGの内部構造・動作機序について考察する。 |