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セミナー詳細

2008年08月12日

神経シナプスにおける情報伝達のダイナミクス

日 時 2008年08月12日(火) 16:00 より 18:00 まで
講演者 安田 涼平 博士
講演者所属 Assistant Professor, Neurobiology department, Duke University Medical Center
お問い合わせ先 鍋倉淳一 (生体恒常機能発達機構研究部門 )
要旨

スパインは樹状突起状にある小さな(~0.1フェムトリットル)構造で、ほとんどの興奮性シナプスはこのスパイン上に存在する。スパイン内へのカルシウム流入は、100種類を超えるたんぱく質からなる情報伝達ネットワークを活性化し、最終的にシナプスの伝達や構造の変化を引き起こす。私たちは、スパインにおける情報伝達のメカニズムを調べるために、2光子蛍光寿命顕微鏡を用いて、個々のスパイン内部のたんぱく質の活性を可視化する技術を開発している。最近、この技術を用いて、シナプス可塑性に重要なたんぱく質であるRasとCaMKII の活性を高い空間時間分解能で可視化することに成功した。これによって、 CaMKIIの活性はナノメートル単位で制御されているのに対し、Rasの活性は10マイクロメートル程度にわたり樹状突起上に広がることによって、複数のシナプスを同時に制御していることがわかった。このことから、CaMKIIはシナプス特異性および刺激特異性に重要であり、Rasは10マイクロメートルにおよぶ比較的長距離の情報伝達に重要であることが示唆される。