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研究活動

セミナー詳細

2009年03月03日

終脳パターニングにおける分泌性シグナル因子FGF8の機能

日 時 2009年03月03日(火) 16:00 より 17:00 まで
講演者 岡田 俊昭 先生
講演者所属 理化学研究所 脳科学総合研究センター 小川正晴研究ユニット
お問い合わせ先 岡田 泰伸 機能協関研究部門
要旨

終脳は高度に領域化された組織であり機能的、形態的に異なる多様な構造から成っている。終脳はその発生の初期に前後軸や背腹軸に沿ってパターン化され、結果として様々な領域が形成されるが、このパターニングにはSHH, WNT, BMP, FGF等の分泌性シグナル因子の働きが重要である。我々は終脳に発現するシグナル因子の一つ、FGF8のパターニング機能について研究を行っている。 FGF8はまず大脳皮質の前後パターンを制御する機能を持つと報告された。その後、ミュータントマウスの解析からは終脳のmidlineと背腹パターンの形成異常が報告され、それらの発生にも関与することが示されたが、詳しいメカニズムについては不明な点が多い。我々はFGF8やその関連遺伝子をエレクトロポレーションにより終脳原基に導入し、まずmidlineにおいてFGF8がどのような機能を持つか検討した。結果としてFGF8はmidlineの発生に重要な複数の転写調節因子(Zic2やVax1)の発現を制御する因子である事を示した。SHHミュータントも重篤なmidlineの形成不全を示すことで知られるが、SHHはmidline転写調節因子の一部の発現のみを制御した。SHHシグナルは、FGF8を介して終脳midlineの発生に関与する可能性が考えられる。現在は、FGF8が終脳の背腹パターニングにどのように関与しているかについて研究を進めており、こちらもあわせて紹介したい。