Research

研究活動

セミナー詳細

2009年09月25日

(1)Second Harmonic Generationイメージングを用いた神経細胞細部での定量的膜電位計測
(2)蛍光タンパク質を巧妙に用いた生理機能・動態の可視化

日 時 2009年09月25日(金) 15:00 より 17:00 まで
講演者 (1)塗谷 睦生先生(慶應義塾大学医学部薬理学教室)
(2)永井 健治先生(北海道大学電子科学研究所ナノシステム生理学研究分野教授)
お問い合わせ先 根本知己(内線:7753)
要旨

(1)セミナー1

多光子顕微鏡はその応用により、生物学、特に脳科学にこれまでにない多くの知見をもたらして来ました。 しかし2光子励起顕微鏡に比べ、その他の多光子顕微鏡技術の生物学への応用はまだまだ遅れをとっています。Second Harmonic Generation (SHG,光第二次高調波発生)もそのような光学現象の一つと言えます。 私達はこれまでにこのSHGイメージングが細胞膜電位の定量的な可視化に利用できる事を示してきました。 これを応用すれば、これまで電極を用いた電気生理学的手法での解析が困難であった微細構造における電位の定量的な視化が可能となると期待されます。そこで本セミナーにおいては、このSHGイメージングの神経細胞膜電位計測への応用とその結果についてお話しします。

(2)セミナー2

GFPと言えば2008年度のノーベル化学賞の受賞対象となった分子であり、今や生物学の様々な研究領域で使用されているポピュラーなツールです。とはいえ、まだまだその性能を如何なく発揮させて使用している研究者は少ないと言えるかもしれません。我々はGFPの物理化学的特性に基づいてエンジニアリングし、細胞内の様々な 機能・動態を可視化するための蛍光プローブを開発してきました。半合理的デザインにより開発された最短波長蛍光を発する群青色蛍光タンパク質Siriusがその良い例です。Siriusの蛍光はpH感受性がないため、これまで困難であった酸性環境下でのタンパク質動態追跡を可能にしました。SiriusとCFPなどの 異なる波長変異体の間で生じるFRETを利用すれば生理機能を可視化するプローブを作ることも可能です。 しかしながら、高性能な生理機能プローブを作成するのは容易くはありません。GFP間FRETに潜む落とし穴があるからです。 そこで、本セミナーでは蛍光タンパク質間FRETを実践する上で、見落としてはいけない重要なポイントを解説します。 このようなポイントを十分に踏まえた上で合理的設計に基いて開発された光変換蛍光タンパク質やタンパク質動態を簡便に定量化する方法、さらには蛍光プローブを迅速に作成するためのワンステップDNAコンストラクション法などについてもお話しします。

  1. W. Tomosugi et al. Nature Methods 6 (2009) 351.
  2. M Iwano et al. Plant Physiol. 150 (2009) 1322.
  3. T. Matsuda, A. Miyawaki and T. Nagai. Nature Methods 5 (2008) 339.
  4. K. Saito K et al.. Cell Struct Funct. 33 (2008) 133.
  5. I. Kotera and T. Nagai. J. Biotechnol. 13 (2008) 1.
  6. K. Takemoto et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104 (2007) 13367.
  7. K. Okamoto et al.. Nature Neurosci 7 (2004) 1104
  8. T. Nagai et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 10554.
  9. T. Nagai et al. Nature Biotechnol. 20 (2002) 87.
  10. T. Nagai et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98 (2001) 3197.