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セミナー詳細

2010年01月19日

In vivo imaginag and reverse genetic analysis of oligodendrocyte development in zebrafish

日 時 2010年01月19日(火) 15:00
講演者 高田智夫(たかだのりお)/Norio Takada
講演者所属 University of Colorado Denver Health Sciences Center
お問い合わせ先 分子神経生理部門 田中謙二(内線:5246)
要旨

脊椎動物の中枢神経系の発生において、多様な神経細胞やグリア細胞は、活発に細胞分裂を行うmultipotent neural precursor から分化し、神経系の構築に寄与する。 成体期においては、ゆっくりと細胞分裂を行う少数の幹細胞によって、神経細胞やグリア細胞がつくられる。 Precursor や幹細胞から生じた細胞は、どのようにして神経系に組み込まれていくのだろうか? 私は、発生中の中枢神経系において、細胞の振る舞いを制御するメカニズムについて研究を行っている。 現在、主に、中枢神経系におけるミエリン形成細胞であるオリゴデンドロサイトの発生に関する研究に取り組んでいる。ミエリン鞘の役割や解剖学的特徴はよく理解されているが、生体内におけるオリゴデンドロサイトの分化メカニズムは、まだ十分に理解されているとは言えない。 私は、ゼブラフィッシュをモデルに、オリゴデンドロサイトがどのように中枢神経系内を移動し、どのように標的となる神経軸索を認識し、そして、どのうようにミエリンへと分化するか、の3 点について主に研究を行っている。 ゼブラフィッシュ胚やその幼生は透明であるため、蛍光タンパク質で細胞を標識することによって、中枢神経系内におけるイヴェントを生体の状態で観察することができる。 この利点を活かし、オリゴデンドロサイトを特異的に標識するトランスジェニックラインを作成し、共焦点顕微鏡を用いてオリゴデンロサイトの動態の解析を行ってきた。 一方、オリゴデンドロサイトの分化の分子メカニズムを理解するために、ゼブラフィッシュのオリゴデンロサイトに特異的に発現する新規遺伝子のスクリーニングを行った。 現在、loss-of-function とgain-of-function、および生体イメージングの技術を組み合わせて、得られた遺伝子のオリゴデンドロサイトの発生における機能を調べている。 これまでの解析によって、その内の一つは、spinal cord のprecursor domain において細胞分化に関わるとともに、オリゴデンドロサイトの分化を正に制御している因子であるとことが示唆れた。 今後、オリゴデンドロサイトの発生制御のメカニズムに関する研究をさらに深めるとともに、そのメカニズムの不具合が、どのように中枢神経系全体の構築や機能に影響するか、という問題にアプローチしていきたいと考えている。