日 時 | 2010年03月02日(火) 16:30 より 18:00 まで |
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講演者 | 八木 健 教授 |
講演者所属 | 大阪大学 大学院生命機能研究科 |
お問い合わせ先 | 吉村由美子 |
要旨 |
脳は複雑なシステムであり、個々に個性をもった神経細胞が複雑ネットワークを形成している。これまでの理論的研究では、神経細胞が緊密な関係をもちながら、全ての神経細胞が短距離で繋がり合う複雑ネットワーク(スモールワールド)の形成には、神経細胞間の規則的な繋がりと確率的(ランダム)な繋がり両方の性質を兼ね備えたネットワーク形成が必要となる。私たちが研究しているCNR/プロトカドヘリン(cPcdh)ファミリーは、脳神経系で発現するカドヘリン様の細胞膜分子群であり、約60種の遺伝子がゲノム上で遺伝子クラスターとぁてコードされている。このcPcdhタンパク質は、細胞接着活性を示すとともに、興味深いことに、個々のメンバーが、神経細胞ごとに異なった発現をし、確率的(ランダム)な発現をしていることが明らかになっている(Esumi et al, 2005; Esumi et al, 2006; Kaneko et al, 2006)。このCNR/cPcdhファミリーが脳の複雑ネットワーク形成に関わる遺伝的プログラムに関与しているのではないかと考え、1)CNR/cPcdhファミリーの脳システム形成における役割(Hasegawa et al 2008; Katori et al 2009)、2)CNR/cPcdhファミリーの確率的な遺伝子制御機構を明らかにすることにより、脳の複雑ネットワークを形成する遺伝的プログラムを明らかにしたいと考えている。 |