日 時 | 2010年05月26日(水) 12:20 より 13:30 まで |
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講演者 | 鈴木喜郎 助教 |
講演者所属 | 細胞生理研究部門 |
お問い合わせ先 | 立山充博(神経機能素子研究部門) |
要旨 |
カルシウム(Ca2+)は生体において極めて重要であり、血中 Ca2+濃度は小腸における食物からの吸収および骨代謝、腎臓におけ る再吸収が全て調和することによって一定に保たれている。しかしながら生体 にとって唯一のCa2+流入路と考えられている腸において、管腔膜に おける細胞内へのCa2+流入路の分子実体については不明な点が多 い。留学先のHediger研究室において小腸Ca2+流入路の候補が同定 されたが、実際はCa2+選択的な膜6回貫通型のイオンチャネル (TRPV6)であった。Trpv6ノックアウトマウスを用いた解析によって、TRPV6は 小腸Ca2+流入および胎盤における母子間Ca2+輸送の一 部を担い得ることが示唆されたが、それらを担う別の分子の存在も同時に示唆 された。今回のセミナーでは、TRPV6が小腸Ca2+吸収に関与するこ とを示唆するような異なる角度からの証拠(ヒトCa結石との関係、およびヒト 進化における牧畜の開始との関係)について述べるとともに、TRPV6ではない別 のCa2+輸送分子の同定に向けた現在の研究を紹介したい。また、輸 送分子の立体構造に基づいた新規阻害剤のスクリーニング法の開発を試みてお り、今回はグリア型グルタミン酸輸送体(GLT-1)を例として紹介したい。 |