日 時 | 2010年06月29日(火) 12:30 より 13:30 まで |
---|---|
講演者 | 渡辺美穂先生 |
講演者所属 | 生理学研究所 生体恒常機能発達機構研究部門 |
要旨 |
成熟動物の脳内において主要な抑制性伝達物質であるGABAは発達期には興奮性 伝達物質として働き、神経回路形成・再編成や細胞分化や移動に重要な役割を 持つことが知られている。GABAに対する反応が興奮性であるか抑制性であるか は細胞内Cl-濃度により決定される。KCC2はCl-を細胞 外にくみ出すトランスポーターで、細胞内Cl-濃度の維持に関わる 主要な分子である。発達に伴いKCC2の発現が増加することにより、GABA応答は 興奮性から抑制性に変化する。成熟動物においても、障害や虚血などの神経障 害時にKCC2の発現が減少し、GABAが再び興奮性作用を示すことが報告されてい る。成熟動物におけるKCC2の機能制御についてはほとんど明らかにされていな いが、本研究では、正常/神経障害時のKCC2の機能制御においてチロシンキナー ゼによるリン酸化が重要な役割を持ち、リン酸化によるKCC2機能調節により急 速なGABA応答の変化がみられることを明らかにしたので紹介したい。 |