日 時 | 2010年09月28日(火) 12:20 より 13:20 まで |
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講演者 | 村田和義 准教授 |
講演者所属 | 形態情報解析室 |
お問い合わせ先 | 立山充博(神経機能素子研究部門) |
要旨 |
生体分子の構造を直接観察するためには電子顕微鏡が必要である。しかし、試料を真空中に置かないといけないため、これまでは、試料を化学固定したあと樹脂に包埋したり、重金属で染色したり、レプリカ膜を作製したりする必要があった。一方、クライオ電子顕微鏡は、生物試料を急速凍結して非晶質の氷の中に閉じ込め、これをそのままの状態で観察する。このことによって、自然により近い状態で試料を観察でき、また、生体反応の決定的な瞬間をも捉えることができる。本セミナーでは、このクライオ電子顕微鏡を使った生体分子イメージングの最新の2つの研究を紹介する。一番目は、電子線トモグラフィーを使ったT7様ファージの宿主への感染過程の解析である。得られたトモグラムから様々なステージにあるファージを分類することによって、感染過程におけるファージの構造変化を明らかにすることができた(文献1)。二番目は、電顕用Zernike位相板を使ったファージ粒子の構造解析である。位相板を使って像のコントラストを上げることにより、これまでよりも3倍少ないデータでより詳細なナノ、サブナノメートルの構造解析ができた(文献2)。クライオ電子顕微鏡は、これらの研究例をはじめとして、今後、構造生物学と細胞生物学とをつなぐ新しい研究手法として期待される。 文献: |