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セミナー詳細

2010年12月07日

神経伝達物質放出における律速段階

日 時 2010年12月07日(火) 18:30
講演者 坂場 武史 博士
講演者所属 Max Planck Institute of Biophysical Chemistry (Göttingen, Germany)
お問い合わせ先 神経シグナル 井本敬二
要旨

神経終末からの伝達物質放出はシナプス小胞の形質膜融合を介して起こる。伝達物質放出は多数の機能分子によって制御されていることはわかっているが、どれが機能的にもっとも大事であるかはわかっていない。生理学的には、反応にもっとも時間がかかるステップがボトルネックになり全体の反応速度を決定する可能性が高いので、そこに関与する分子が伝達物質放出速度全般を制御しているものと考えられる。また、そのステップの特性の違いが神経シナプス間でみられる機能的多様性の原因になっているとも考えられる。脳幹にあるカリックス型シナプスを用いた研究から、シナプス小胞が伝達物質放出部位に結合する過程がボトルネックの1つになりうると結論された。
このとき、シナプス小胞が放出部位に動員するよりも、受け手側の放出部位側が小胞を結合可能な状態にあるかどうかが重要であること、この過程には伝達物質放出関連の蛋白よりも、むしろその後のエンドサイトーシス関連の蛋白が関与している可能性があることが示唆された。