Research

研究活動

セミナー詳細

2011年05月24日

活動電位は軸索の伝導中に制御される

日 時 2011年05月24日(火) 12:20 より 13:20 まで
講演者 佐々木 拓哉 先生
講演者所属 脳形態解析研究部門
お問い合わせ先 石橋 仁(生体恒常機能発達機構研究部門)
要旨

細胞体近傍で発生した活動電位は一定の強度で軸索を伝播すると考えられています。 この基本概念に反し、近年の研究では、細胞体付近で発生する活動電位の大きさがア ナログ的に変化し、より複雑な情報を伝播できるという可能性が示唆されつつありま す。しかしながら、すでに発生した活動電位が、軸索を伝播する中途で調節されるか については知られていません。これを検証するため、本研究では、新規に開発した蛍 光パッチクランプ電極を用いることにより、海馬スライス標本においてCA3野錐体細 胞の軸索からパッチクランプ記録を試みました。神経伝達物質であるグルタミン酸 を、軸索に局所適用すると、下流の軸索で記録される活動電位の幅が増大することが 明らかになりました。また、軸索周辺に分布するアストロサイトを活動させた場合に も、同様の作用を認めました。さらに、シナプス結合を持つ2つの神経細胞からパッ チクランプ記録を行うことで、活動電位の増幅が軸索終末でのシナプス出力の増強に 繋がることを明らかにしました。セミナーでは、このような局所的な活動電位の調節 が、軸索での高次な演算処理を担う可能性について考察してみたいと思います。