日 時 | 2012年02月27日(月) 12:20 より 13:20 まで |
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講演者 | 畠中 由美子 先生 |
講演者所属 | 大脳神経回路論研究部門 |
要旨 |
大脳皮質、特に新皮質はほ乳類で高度に発達した脳の部位で、その発達が複雑な神経機能の基盤となっている。この部位の形態学的特徴としては領野や層構造を持つことがあげられ、これらは主に神経細胞の約8割を占める興奮性神経細胞の配置に依存している。近年の解析により、これら神経細胞は、大脳皮質の神経上皮に由来することが明らかになった。しかし、そこから、層形成に至る移動過程や、皮質内外への軸索投射形成過程については未解明の点も多い。そこで、エレクトロポレーション法を用いてin vitroまたは in vivoのもと、神経上皮細胞をGFPなどの蛍光タンパク質で標識したのち、生じてくる神経細胞の発達過程を固定切片上や、スライス培養下のtime-lapse imaging法などで解析している。今回、これらの細胞がどのように軸索を形成するかに焦点をあてて解析したところ、神経上皮から分化した幼弱細胞が、上皮の極性を失い、しばらくの間短い複数の突起を交互に伸縮させた後、突然軸索伸長を開始すること、そして層形成のための移動はその後に起こることを見いだした。 |