日 時 | 2012年07月02日(月) 15:00 より 16:00 まで |
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講演者 | 森田 賢治 先生 |
講演者所属 | 東京大学 大学院教育学研究科 身体教育学コース |
お問い合わせ先 | 生理研 大脳神経回路論部門 川口泰雄(内線5281) |
要旨 |
中脳ドーパミン細胞の一過性の活動は、手に入ると予測された報酬(価値)と実 際に手に入った報酬(価値)の差、いわゆる報酬予測誤差を表すと考えられるこ とが、多くの実験から示唆されてきた。そして、放出されたドーパミンが、大脳 皮質-基底核間の結合の可塑性を制御することによって、「強化学習」様の学習 が行われるという考えが、広く支持されている。しかし、そうしたドーパミン細 胞の一過性の活動が、どのような入力に基づいて生み出されるかについては、未 だ明らかになっていない。本セミナーでは、ドーパミン細胞の上流に当たる大脳 基底核、そしてさらに上流の大脳皮質に関しての最近明らかになった解剖学的・ 生理学的知見(Morishima & Kawaguchi, J Neurosci, 2006; Morishima et al., J Neurosci, 2011)に 基づく新たな仮説(Morita et al., Trends Neurosci, 2012)についてお話ししたい。この仮説によって、大脳皮質・基底核神経回路に おける強化学習と運動制御、さらに価値の時間割引などの機構が包括的に説明さ れうることを示し、また、潜在的な臨床的意義や、仮説に基づく数理モデル・シ ミュレーションと実験との対応などについても、少し触れたい。 |